2016年10月27日

沿海地方の銅鉱床(Lazurnoe鉱床)

極東ロシア、沿海地方のシホテアリンベルトに産するポーフィリー銅鉱床の中で最も研究されているLazurnoe銅Cu-モリブデンMo鉱床を紹介します。
Lazurnoe鉱床では白亜紀前期の堆積岩を貫く2つの岩体があり、西側はおよそ0.8×1.6q、東側は2.0×1.5 qの大きさがあります。
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図.Lazurnoe 鉱床の地質平面・断面図(Gonevchuk et al.,2009)

西側の貫入岩体は更に、北部ストックと南部ストックに分けられます。
北側ストックは漏斗型の形状を示していて、中心部の岩相はモンゾ閃緑岩ポーフィリーとなっています。
北側ストックの方が銅品位が高く、黄銅鉱、斑銅鉱、輝銅鉱、輝水鉛鉱などが確認されます。

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図 . Lazurnoe 鉱床西鉱体の地質平面図(Sakhno et al.,2011)

西側の貫入岩体では、弱い黒雲母化、長石化、緑泥石化を受けています。
鉱化作用は主にプロピリティック変質と弱珪化変質、カリ長石変質帯中に鉱染状の黄銅鉱、輝水鉛鉱および黄鉄鉱が認められます。
硫化鉱物を含む石英脈のストックワークゾーンはおよそ東西500×南北60m の範囲です。
細脈および鉱染状の鉱石は、深度300mまで続いています。

また閃緑岩中の角礫化ゾーンでは、フラグメントが鉱染状の細粒輝水鉛鉱を含む暗灰色石英によってセメンチングされているのが確認されます。
母岩側でも硫化鉱染は認められます。

東側の貫入岩体では緑泥石が2 次鉱物として普遍的に認められ、鉱化作用は鉱染状の黄銅鉱、輝水鉛鉱、黄鉄鉱と稀に閃亜鉛鉱、方鉛鉱を伴う白色石英脈で特徴づけられます。

東側と西側の両岩体とも、アプライトや花崗閃長岩のダイクを含有します。
貫入岩はCu を含むとともに錫Sn もわずかに含みます。

このLazurnoe 鉱床はRio Tinto とロシア貴金属鉱山会社Polymetal 社の親会社であるロシア投資会社ICT Group 社とのJV により探鉱されています。
ICT Group 社の2012 年2 月1 日付けPress Release によると、本ポーフィリーは70 年間にわたり調査がなされていたが、わずか32.2Mt@0.48%Cu, 0.24g/tAu が計上されていたのみであったとのこと。
2005 年にPhelps Dodge 社がオークションによりLazurnoe 鉱床の25 年間のライセンスを獲得し、その後、紆余曲折を経て、サンクトペテルブルグの探鉱会社に権益が渡り、RioTintoのキプロス子会社とICT Group 社がこの探鉱会社を買収しています。

引用文献
Gonevchuk V. G., Krylova T. L., Orekhov A. A., Gonevchuk G. A.and Kokorina D.K.(2009): Specific features of the fluid regime during the formation of systems with copper-molybdenum-gold and copper-tin mineralizations (Iskra-Soboliny knot, Kavalerovo ore district, Primorye) ., Russian Journal of Pacific Geology,Vol.3(1), p3-18.
Sakhno.V.G., Kavakenko, S.V., Alenicheva, A.A.(2011): Monzonitoid magmatism of the copper-porphyritic Lazurnoe deposit (South Primor’e): U-Pb and K-Ar geochronology and peculiarities of ore-bearing magma genesis by the data of isotopic-geochemical studies., Doklady Earth Sciences, Vol.438, No.1, p569-577.
ラベル:沿海地方
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2016年10月13日

沿海地方の銅鉱床(概要)

極東ロシアの沿海地方Приморский крайの銅鉱床について紹介していきます。
沿海地方といってもなじみはないでしょうが、ウラジオストクがある州と言えば分りやすいでしょうか。
沿海地方の面積は16.6万km2、人口は約200万人です。

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図.沿海地方の位置図と首府ウラジオストクの位置

沿岸地方の西側には三畳紀〜ジュラ紀の花崗岩体が分布しています。
沿岸地方の東側には白亜紀〜古第三紀にかけて広い範囲で様々な組成の火成活動があり、火山深成岩帯はシホテアリンベルトと呼ばれています。
シホテアリンベルトは北はハバロフスク地方まで続き、様々なポーフィリー鉱床が分布します。

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図.沿岸地方〜ハバロフスク地方のポーフィリーベルト(Mihalasky et al.,2010)

沿海地方にはロシアでも有数の錫Sn-タングステンW鉱床および鉛Pb-亜鉛Zn鉱床がありますが、銅鉱床ではあまり大きいものがありません。
これまでに開発された銅鉱床はなく、Vostok-2 W-Cuスカルン鉱山でタングステン精鉱と共に副産物として銅精鉱が生産されているのみです。

ロシア地質調査研究所VSEGEIの鉱産図を見ても、錫やタングステンは大規模な鉱床がありますが、銅鉱床は小規模なものしかありません。
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図.沿岸地方の鉱産図(VSEGEI)

これから沿海地方の銅鉱床や鉱徴地を紹介していきます。

引用文献
Mihalasky et al.(2010): Porphyry Copper Assessment of Northeast Asia−Far East Russia and Northeasternmost China. U.S. Department of the Interior U.S. Geological Survey.
Scientific Investigations Report 2010–5090–W.p118.
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お気に入りのコップ

カムチャッカ地方の銅鉱床の紹介が終わりましたので、ここで休憩です。
お気に入りのコップでティータイムです。

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ブログ本編はこれから沿海地方の銅鉱床の紹介に入ります。

ラベル:ロシア
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2016年10月11日

カムチャッカ地方の銅鉱床(まとめ)

これまで紹介してきたカムチャッカ地方の銅鉱床をまとめます。
銅鉱床としてはポーフィリーカッパー鉱床と塩基性岩に伴われるCu-Ni鉱床があります。

カムチャッカ半島にはCentral Kamchatkaと呼ばれるポーフィリーベルトがあります。
代表的な鉱床としてKirganik鉱床Krasnogorskoe鉱床Malakhitovoe鉱床があります。

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図.極東ロシアのポーフィリーカッパーベルト(Volkov et al.,2006)

カムチャッカ半島の付け根にはKoryakと呼ばれる別のポーフィリーベルトがあります。代表的な鉱床はLalankytap鉱床です。

塩基性岩に伴われるCu-Ni鉱床としては、カラギンスキー島のKaragin Group鉱床、カムチャッカ半島の南西部にあるニッケルベルトにはShanuch鉱床Kvinum鉱床があります。このうちShanuch鉱床では、高品位ニッケル鉱体の開発が始まっています。

引用文献
Volkov A.V., Savva N.E., Sidorov A.A., Egorov V.N., Sharavalov V.S., Prokofev V.Y., and Kolova E.E.(2006): Spatial distribution and formation conditions of Au-bearing porphyry Cu-Mo deposits in the Northeast of Russia., Geology of Ore Deposits, Volume 48, Number 6, 448-472.
ラベル:カムチャッカ
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2016年10月01日

カムチャッカ地方の銅-ニッケル鉱床(Kvinum鉱床)

カムチャッカ半島の南西部にはニッケル鉱床が多く分布するニッケルベルトがあります。
このニッケルベルトの南部にはKvinum鉱床があります。
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図.Kvinum鉱床の地質図(Tararin et al.,2007)

鉱床は小規模シル状の塩基性岩が変成した原生代の片岩や古生代の千枚岩との低角度の衝上断層に沿って、貫入したものです。
塩基性岩の分布は延長約1000m、厚さは数mから中央部で最大200mです。
接触部の母岩は強い黄鉄鉱化を受けた紅柱石-ザクロ石-雲母ホルンフェルスとなっています。
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図.Kvinum鉱床の概略地質断面図(Tararin et al.,2007)

Kvinum鉱床ではKvinum-1とKvinum-2の2つの鉱床が知られています。
Kvinum-1では塩基性岩は不均質であり、上位では斑レイ岩-ノーライト質であり、下位では橄欖岩(コートランダイト)質となっています。
鉱体は南東部では5〜20mの厚さで、北西部では断層に切られ2つに分かれています。
塩基性岩の下部には鉱染状の鉱体があり、特に試錐で確認された角礫化した塊状鉱(着鉱幅2.5m)で品位が高いとのことです。

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図.Kvinum-1鉱床の地質平面・断面図(Tararin et al.,2007)

Kvinum-2はKvunum-1より北西1.2qに位置します。
約20mの厚さの強く変質したシート状の橄欖岩が分布します。
橄欖岩は鉱染状、ポケット状、細脈状の磁硫鉄鉱主体の硫化物を含み、高品位鉱は塩基性岩下位に分布する厚さ2.0〜2.5mの塊状鉱です。
橄欖岩上位には硫化鉱物はほとんど認められません。
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図.Kvinum-2鉱床の地質平面・断面図(Tararin et al.,2007)

Kvinum鉱床では鉱石鉱物はペントランド鉱、磁硫鉄鉱、黄銅鉱を主体とし、黄鉄鉱、閃亜鉛鉱、硫砒鉄鉱、レーリンジャイト、Ni-As鉱物などを随伴します。
鉱床は小規模とされ、Niは最大1.0%、Cuは最大0.5%です。

引用文献
Tararin I.A., Chubarov V.M., Ignatev E.K. and Moskaleva S.V(2007):Geology, Mineralogy, and PGE Mineralization of the Copper-Nickel Occurrence of the Kvinum Ore Field, Srediny Range, Kamchatka. Russian Journal of Pacific Geology.Vol.1,p82-97.
ラベル:カムチャッカ
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 09:04| Comment(0) | カムチャッカ地方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする