2016年05月21日

極東ロシアにある世界最北の原発(ビリビノ原子力発電所)

このブログではロシアの地下資源を紹介していますが、資源を開発するためには電力が必要になります。
今月紹介しているチュクチ自治管区は、日本の約2倍弱の面積がありながら、人口はわずか5万人。道路や電線は部分的しかつながっておらず、陸の孤島のような地方です。

このチュクチ自治管区に極東ロシア唯一の原子力発電所があります。
北極圏に位置するビリビノBilibino市は、チュクチ自治管区の第2都市で人口はおよそ5,000人。1920年代にロシア人地質技師Yury Bilibin氏がこの地で金を発見したことから、Bilibin氏の名前からBilibinoという街の名前になりました。ビリビノの北約20kmにあるKaralveem金鉱床では、現在も年間約1.5トンの金が採掘されています。
ビリビノ周辺には、金だけではなく、銀、錫、タングステンなどの多くの鉱山がかつてあり、鉱山と街に電力を供給するため、発電所の建設に原発が選ばれました。

ビリビノ市は北極海の港町ペヴェクPevekより内陸にあり、冬だけ通行できるウインターロードでつながっています。ビリビノ市までは物資は北極圏を通ってペヴェク経由で運ぶか、飛行機で運搬するしかありません。
冬が10ヶ月も続く北極圏の辺鄙なところへのディーゼル燃料の運搬費用と小型のため発電単価は高くなる原子力発電所のコストを比較して、最終的に原発が建設されることになりました。
図1.ビリビノ原子力発電所位置図.gif
図.ビリビノ原子力発電所位置図(原子力百科辞典ATOMICA)

ビリビノ原子力発電所は1970年に建設が始まり、1974年から1977年にかけて1.2万kW×4基の原子炉が運転を開始しました。
Bilibino原子力発電所.jpg
図.ビリビノ原子力発電所(Wikipediaより)

ビリビノ原子力発電所は、北極海の港町ペヴェクにある火力発電所およびヤクーツク共和国の東端のチェルスキーCherskyにある火力発電所と送電線で連係しています。

極東ロシアの発電所と電力網.jpg
図.極東ロシアの発電所と電力網(Kalashnikov,1997)

ビリビノの周辺鉱山の閉山が相次ぎ、ビリビノ市の人口も減ったこともあり、現在は電力需要が減ったため、この世界最北の原子力発電所は、出力を落として操業をしています。

引用文献
原子力百科辞典ATOMICA ビリビノ熱併給原子力発電所 (14-06-01-17)
Kalashnikov V.D.(1997):Electric Power Industry of the Russian Far East: Status and Prerequesites for Cooperation in North-East Asia. Commissioned by the Nautilus Institute, funded by the Northeast Asian Forum of the East West Center, and presented at the Workshop on the Future of Regional Electric Power Grids in Northeast Asia, organized by the East-West Center, Honolulu, Hawaii, 28-29 July 1997, p56.
タグ:極東ロシア
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 22:33| Comment(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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