2016年07月02日

極東ロシアの銅鉱床(概要)

このブログではロシアの地下資源を紹介していますが、ロシアは広いので先ずは日本に近い極東ロシアの資源を紹介しています。
ここからは銅鉱床の紹介になります。
ロシアは2014年実績で世界第7位の産銅国です。
しかし極東ロシアには稼働している銅鉱山はありません。タングステン鉱山や多金属鉱床の副産物として回収されているにすぎません。

大規模な銅鉱床としては、斑岩型銅鉱床Porphyry Copper depositと堆積性銅鉱床Sediment-hosted Copper depositの二つのタイプがあります。
アメリカ地質調査所USGSによる分布図をみると、極東ロシアには両方のタイプの銅鉱床があることが分かります。
copper-deposits-map(USGS).jpg
図.斑岩型銅鉱床と堆積性銅鉱床の分布(USGS)

斑岩型銅鉱床は環太平洋の地域に多いので、極東ロシアにもっとあってもよさそうな気がします。

極東ロシアで始めて斑岩型銅鉱床が発見されたのは、1960年代後半のことです。チュクチ自治管区のBaimsky地区でPeschanka鉱床が発見されたことにより、これまで銅は不毛と考えられた極東地区においても、斑岩型銅鉱床について注目が向けられるようになりました。
Zvezdov et al.(1993) はソビエトの斑岩型銅鉱床ベルトについて報告し、極東地区では4つのベルトについて記述しました。
Zvezdov et al.,1993.jpg
図.ソビエトの主なポーフィリーカッパーベルト(Zvezdov et al.,1993)

またVolkov et al.(2006)は、極東ロシアには110ヶ所を超える斑岩型銅-(モリブデン)鉱床があることを報告し、生成年代の異なる9つのベルトを定義しました。これらのベルトは太平洋側ほど生成年代が若い傾向があります。
Volkov et al.,2006.jpg
図.極東ロシアのCu-Moポーフィリーベルトの分布(Volkov et al.,2006)

それではこれから極東ロシアのいろいろな銅鉱床を紹介していきます。

引用文献
Zvezdov V. S., Migachev I.F., Girfanov M.M. (1993):Porphyry copper deposits of the CIS and the models of their formation.,Ore Geology Reviews, 7,p551-549.
Volkov A.V., Savva N.E., Sidorov A.A., Egorov V.N., Sharavalov V.S., Prokofev V.Y., and Kolova E.E.(2006): Spatial distribution and formation conditions of Au-bearing porphyry Cu-Mo deposits in the Northeast of Russia., Geology of Ore Deposits, Volume 48, Number 6, 448-472.
ラベル: 極東ロシア
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 10:58| Comment(0) | 地下資源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月07日

極東ロシアの原油・天然ガス資源

2016年5月6日、ロシアのソチで開かれた日ロ首脳会談で、安倍晋三首相は経済分野を柱とする8項目の協力プランをプーチン大統領に提示しました。エネルギー分野の協力計画も織り込まれ、ますます日本に近い極東ロシアのエネルギー資源が着目されます。
極東ロシアのエネルギー資源と言えば、まずサハリンの原油・天然ガスを思い浮かべる方も多いと思います。
このブログでは、ロシア地質調査研究VSEGEIのデータから、極東ロシアの原油・天然ガスを紹介します。

極東ロシアの原油・天然ガス分布.jpg
図.極東ロシアの原油・天然ガス鉱床(VSEGEI)
原油・天然ガス凡例.jpg
図.凡例

凡例には原油нефтяное〜ガスгазовоеの鉱床について、その規模に応じてシンボルで示しています。分布図を見ると、やはりサハリン島北部に多くの油田があることが分かります。下図にサハリン島北部、オハ地区の拡大図を示します。海岸沿いに多くの油田があると共に、海底にも大きな油田があります。
サハリン拡大.jpg
図.サハリン島北部の原油・天然ガス鉱床(VSEGEI)

またサハリン島北部では原油と天然ガス混じりの鉱床が多いことから、石油パイプラインとガスパイプラインがそれぞれ、サハリン島南部方面(プリゴロドノエ)と極東ロシア積み出し港(ウラジオストク方面)に伸びています。
東シベリア・極東ロシアのパイプライン.png
図.東シベリア・極東ロシアのパイプライン(荒井、2014)

次に紹介するのはサハ共和国南部のヤクーチャ地区です。ここにはチャヤンダガス田があります。このガス田はまだパイプラインがつながっていませんが、パイプラインを敷設する計画があります。
ヤクーチャ地区拡大.jpg
図.ヤクーチャ地区の原油・天然ガス鉱床(VSEGEI)

極東ロシアで原油・天然ガス鉱床は以下にもあります。
・サハリン島南部、ユジノサハリンスク周辺(ガス田)
・カムチャッカ半島西側(ガス田)
・チュクチ自治管区南部、アナデイリ南部(油田)
・サハ共和国ヤクーツク西部(ガス田、パイプラインあり)

また最近では極東ロシアの北極海の原油・天然ガス資源が着目されています。
ロシア石油大手のGazpromによるロシアの油田・ガス田分布図を見ると、チュクチ自治管区の北側の海、チュクチ海と呼ばれる北極海にも原油があります。
ロシア油田分布(gazprom-neft.ruに加筆).png
図.ロシアの油田・ガス田地帯の分布(gazprom-neft.ru)
ロシア油田分布の凡例.png
図.凡例の拡大



引用文献
荒井智裕(2014):どこに向かうのかロシア−東方に敢然と流れ出す石油天然ガス−.石油・天然ガスレビュー.2014.9 Vol.48 No.5.p55-67.
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 23:52| Comment(0) | 地下資源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月08日

ユダヤ自治州の金鉱床

ユダヤ自治州の金鉱床を紹介します。ユダヤ自治州はハバロフスク地方の西側に位置する極東ロシアで最も小さな州です。面積は約3.6万km2であり、小さな州ながら、実は九州とほぼ同じ大きさがあります。人口は約19万人です。
首府はビロビジャンであり、ハバロフスクからシベリア鉄道の特急で約2時間、ローカルの普通電車でも約3時間で到達できます。小生もシベリア鉄道で旅行した時に、列車がビロビジャン駅に停車しているはずですが、どんなところだったか全く記憶にありません…

ユダヤ自治州.jpg
図.ユダヤ自治州の位置図

ユダヤ自治州という名前になっていますが、ユダヤ人は人口の約2%に過ぎず、ほとんどはロシア人です。ユダヤ自治州の北西側には古生代の深成岩類が分布します。一方、南東部は沖積層に覆われています。
鉱産物としてはロシア地質調査研究所VSEGEIによる鉱産図をみると、鉄Feと錫Snで大きな鉱徴地があるようですが、金鉱床としては小規模なものしかありません。また特筆すべき事項としては小規模ながら砂金の産地が登録されているだけで、ユダヤ自治州の西側に131ヶ所もあることです。

ユダヤ自治州の鉱産図.jpg
図.ユダヤ自治州の鉱産図(VSEGEI)

ユダヤ自治州は小さな州ですが(それでも九州ぐらいの大きさがあります)、たくさんの砂金の産地があります。もしかすると削剥を免れていたら、こられの砂金のソースとなった山金があるかもしれませんね。
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 10:18| Comment(0) | 地下資源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月10日

ロシアの金生産量

トップバッターとして金Goldについて説明したいと思います。
個人的に金が好きだからです。
ロシアの金生産量はアメリカと並んで世界3位です。

世界の金生産量(2013年:アメリカ地質調査所データ)
1位 中国:430t
2位 オーストラリア:260t
3位 アメリカ:230t
3位 ロシア:230t
5位 南アフリカ:160t
番外 日本:7.4t(主に鹿児島県の菱刈鉱山です)

ロシアでは主に極東に大きな金鉱山があります。
資源分布.jpg
図.ロシアの主要鉱山位置図(JOGMEC,2010)

まとめ
・ロシアは世界第3位の金生産国。
・金の鉱山は極東ロシアに多い。
これからロシアの金鉱山をこのブログで紹介していきます。

引用文献
JOGMEC(2010):世界の鉱業の趨勢2010 ロシア.p151-160.
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 03:32| Comment(0) | 地下資源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

極東ロシアの基本データ

ロシアの地下資源について、先ずは日本に近い極東ロシアから説明したいと考えていますが、
どこまでの範囲が極東でしょうか?
地質的にはいろいろ解釈がありますが、行政単位では極東連邦管区が極東に相当します。
極東連邦管区は、面積は日本の約16倍、人口は約600万人で、その本部はハバロフスクに置かれています。

極東ロシア位置図.jpg
図.極東連邦管区位置図(Wikipedia)

極東連邦管区は更に9つの構成主体に分かれます。
極東連邦構成主体.jpg
図.極東連邦構成主体(Wikipedia)

州・自治州・共和国・地方・自治管区といろいろな呼び方があります。9つの構成主体のデータを以下に示します。人口構成をみると沿海地方とハバロフスク地方で極東の人口半分を占めています。中心都市であるウラジオストック市(人口約58 万人)およびハバロフスク市(人口約58 万人)であり、50万を超える都市は2つしかありません。
また一番人口が少ないのはチュコト自治管区で5万人にも満たないです。
極東ロシア全体の人口密度は1.0 人/q2と極めて低く、都市周辺を除きインフラの整備は遅れているのが現状です。

表. 極東地区の特徴(新エネルギー・産業技術総合開発機構,2011)
極東地区の特徴.jpg

“近くて遠い”と言われる極東ロシア地域には、金、銀、錫、タングステン、鉛、亜鉛、プラチナ族、ウラン、ダイヤモンド、石炭、石油など様々な資源があります。最近では特に金鉱床探査で、外資が入って積極的に探鉱していて成果をあげています。中国企業も極東ロシアに進出してきています。

極東ロシアには様々な年代の火山深成岩帯があり、火成活動に伴い多種の金属鉱床を産します。これらの鉱床は付加体形成(白亜紀)前、同時期、形成後の3時期に分類されます。付加体形成前の鉱床は、塊状硫化物鉱床、層準規制銅鉄鉱床などの銅鉱床があります。付加体形成後の鉱化帯の多くは、白亜紀後期−新生代に大陸縁辺部で生じた著しい火山深成活動によって生成したものであり、鉱化作用は太平洋側へ向かって若くなる傾向があります。主要な銅鉱床のタイプは、斑岩型銅鉱床とスカルン型、多金属鉱脈型があります。

引用文献
新エネルギー・産業技術総合開発機構(2011):ロシア極東・東シベリアにおける石炭資源の開発状況と輸出ポテンシャルの調査.平成22年度 海外炭開発高度化等調査.平成23年3月.頁222.
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 03:27| Comment(0) | 地下資源 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする