2016年09月24日

ロシアの石炭生産量は世界何位?(2015年版)

ロシアの石炭生産量は世界何位でしょうか?
2015年のデータ(出典:BP)で見てみましょう。

石炭国別生産量ランキング表2015.png
石炭国別生産量ランキング図2015.png

石炭生産量一位は断トツで中国で、世界全体の約半分を占めています。
ロシアの石炭生産量(3.73億トン)は世界6位でした。
トップテンの順位は2014年と変わりありません(→2014年版はこちら)。
またロシアはアメリカに次いで世界第2位の可採埋蔵量を持っています。
資源量を生産量で割ったR/P比は421です。
つまりロシアは400年間分以上の豊富な石炭資源を持っていることになります。

石炭生産量第6位のロシアですが、日本にとってはオーストラリア、インドネシアに次いで第3位の石炭輸入先となっている重要な国です。
日本の輸入先はオーストラリアがダントツのトップで、ロシアからの輸入は今のところ、オーストラリアの約9分の一しかありません(JOGMEC,2014)。
しかし日本に近い極東ロシアには豊富な石炭資源があります。

2016年9月3日(土)、ロシアのウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」にて、JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)とロシア連邦沿海地方は、石炭資源開発の相互協力に関する覚書を締結しました。
http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_06_000179.html
沿海地方はウラジオストクを首府とする日本海に面した地方で、多くの炭田があることで知られています。

ロシア地質調査研究所VSEGEIによる極東ロシアの石炭鉱床の分布図を見ると、石炭鉱床は沿海地方のウラジオストク周辺に多く分布していることが分かります。
またサハリンやシベリア鉄道沿いにも点在しています。
わざわざ遠いオーストラリアから人件費&採掘コストの高い石炭を輸入しなく、日本の近くに石炭はあります。
pi_tgor.jpg
図.極東ロシアの石炭・褐炭・ウラン鉱床(VSEGEI)
pi_tgor L.jpg
図.凡例(上から石炭・褐炭・ウラン)

ロシア内陸の石炭は、一番遠いところでは6,000km離れたクズネツク炭田から、シベリア鉄道で沿海地方の石炭積出港まで運搬されます。
そのため沿海地方はロジの観点からも重要な地域です。
沿海地方にはボストーチヌイ港、ナホトカ港、ポシェット港の石炭積出港があります。
ウラジオストク港では取り扱いがありません。
沿海地方の石炭積み出し港.jpg
図.沿海地方の石炭積出港(杉内ほか、2005)

ポシェット港はほぼ石炭専用港として位置づけられていますが、他の港は一般雑貨用バースを利用して石炭を取り扱っており、石炭積出能力は限界に達しています。
このため港湾の整備が計画されています。

ロシアの石炭生産量は世界何位?
答え:世界第6位(2015年)。可採埋蔵量は世界第2位で、400年分以上の石炭埋蔵量を持つ。
日本にとって第3位の輸入先。極東ロシアの石炭は主に沿海地方の積出港まで運搬され、輸出される。
極東ロシアの石炭は日本に距離的に近いため、今後の動向が着目される。

引用文献
BP(2016):BP Statistical Review of World Energy June 2016
JOGMEC(2014):平成25 年度海外炭開発支援事業 海外炭開発高度化等調査「世界の石炭事情調査−2013年度−」平成26 年3 月.655頁.
杉内信三・佐川 篤男・小泉 光市(2005):ロシア・東シベリア以東の石炭輸送インフラの現状と将来.IEEJ.2005 年 7 月.頁18

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2016年08月21日

ロシアのレアアース生産量は世界何位?

不定期にお伝えしているロシアの資源ランキング。今回はレアアースを紹介します。
アメリカ地質調査所のデータから、2014年のレアアースの産出量を見てみましょう。
レアアース生産量ランキング表.png
レアアース生産量ランキング図.png
*生産量トン数はレアアース酸化物(REO)としてのトン数
*レアアーストン数はランタノイドとイットリウムを含む。スカンジウムは含まない。


2014年のレアアース生産量世界第一位は中国で、世界シェアの85%を占めています。ロシアの生産量は2,500tで、これは世界第4位でした。
2010年に尖閣諸島で起きた中国漁船の衝突事件をきっかけに、中国はレアアースの輸出規制を行いました。現在でも、中国が生産量のほとんどを占めていることには変わりありません。しかしながら中国にしかレアアースがない訳ではありません。
レアアースの鉱床自体は世界中にあります。しかし中国は安いコストで環境を顧みずに開発を進めるために、他の国では高品位鉱床や開発しやすい環境下の鉱床でしか生産ができないのです。

レアアースの埋蔵量でみると、ロシアは世界第2位の埋蔵量を占めています。
レアアース埋蔵量ランキング表.png
*USGS(2016)のロシア埋蔵量はNAとなっているため、木原(2013)による埋蔵量を使用。
*その他の国々の埋蔵量はUSGS(2016)のOther countriesの埋蔵量から木原(2013)のロシア埋蔵量を引いた数字。


ロシアで商業的にレアアースを採掘しているのはムルマンスク州のロヴォゼロLovozero鉱床です。
オペレーターであるLovozero Mining and Concentrating CompanyはロパライトLoparite精鉱を生産しています。
ロパライトは(Ce,Na,Ca)(Ti,Nb)O3の化学式を持つレアアースを含んだ灰チタン石グループの酸化鉱物です。
ロパライト精鉱はペルミ地方のSolikamskにあるプラントに運ばれ、ここでレアアース複合炭酸塩となります。
ロシア国内にはまだレアアースの分離・製錬設備がないため、中間生成物であるレアアース複合炭酸塩はほぼ全量輸出されます。

ロシアの主なレアアース鉱床はムルマンスク州やイルクーツク州に多くあります。
ロシアのレアアース鉱床図.png
図.ロシアの主なレアアース鉱床(大木、2011)

ロシアのレアアース鉱床はアパタイト鉱石タイプが多く、酸化物ΣREOの平均品位は0.4%以下で、他の国の開発中の鉱床に比べ低品位とされています(木原,2013)。

ロシアのレアアース生産量は世界何位?
(答え)2014年は世界4位(シェア2.0%)。
レアアースの生産は中国が大きなシェアを占める。
埋蔵量ではロシアは中国に次ぐ第2位。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 MOLYBDENUM.
木原栄治(2013):ロシア等における鉱業の現状.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構平成25年度第7回金属資源関連成果発表会会議資料.p23.
大木雅文(2011):ロシア・CIS レアアースビジネス情勢.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構平成23年度第9回金属資源関連成果発表会会議資料.p3.
タグ:ランキング
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2016年06月19日

ロシアの天然ガス生産量は世界何位?(2015年版)

2016年6月イギリスの石油大手BPはStatistical Review of World Energy 2016(世界エネルギー統計2016)を発表しました。
2015年の国別天然ガス生産量が判明しましたので、2015年版のロシアの天然ガス生産量を説明します。
(→2014年の天然ガス生産量ランキングはこちら
天然ガス生産量ランキング表2015.png天然ガス生産量ランキング図2015.png

かつてはロシアが世界最大の生産国でしたが、2009年にアメリカに抜かされ、現在ロシアは世界2位となっています。アメリカの生産量が急激に増加したのは、シェールガスが商業ベースに乗ったことが大きな理由となっています。
第3位はイランです。イランは2015年にカタールを抜かし第3位になりました。イランは実は世界最大の天然ガス埋蔵量を持っています。ロシアの埋蔵量は世界2位です。
第4位以降はカタール、カナダ、中国、ノルウェー、サウジアラビア、アルジェリア、インドネシアと続きます。

ロシアの天然ガスは主に北極海に面したヤマル半島で産出します。ヤマル半島からヨーロッパの国々にパイプラインで送られていますが、備蓄が効かないパイプライン輸送は末端の需要に大きく左右されやすい特徴があります。
ロシア-欧州天然ガスパイプライン網.jpg
図.ロシアから欧州への天然ガス・パイプライン網(荒井,2014)

2015年のロシアの天然ガス生産量は5,730億m3でしたが、そのうち約3分の1にあたる1,930億m3がパイプラインで輸出されました。2015年の天然ガスの輸出先ランキングは以下です。
1位 ドイツ 452億m3
2位 トルコ 266億m3
3位 イタリア 240億m3
4位 ベラルーシ 168億m3
5位 ベルギー 109億m3
6位 フランス 95億m3
7位 ポーランド 88億m3
8位 ウクライナ 70億m3
9位 ハンガリー 58億m3
10位 カザフスタン 50億m3

一方、日本はロシアから天然ガスを輸入していますが、ロシアと日本の間にはパイプラインがありませんので、天然ガスは積み出し港で液化されLNG(液化天然ガスLiquefied Natural Gas)として専用の船で日本まで運ばれます。

東シベリア・極東ロシアのパイプライン.png
図.東シベリア・極東ロシアのパイプライン(荒井、2014)

2015年のロシアのLNG輸出量は145億m3でしたが、そのうち約8割に当たる115億m3が日本向けでした。日本への天然ガスはサハリン島北部で産出したものがほとんどです。

日本は外国とのパイプラインがないため、天然ガスをLNGで輸入しています。2015年の輸入実績は1,206m3でした。2015年の日本のLNGの輸入先ランキングは以下です。
1位 オーストラリア 250億m3
2位 カタール 219億m3
3位 マレーシア 203億m3
4位 ロシア 115億m3
5位 インドネシア 78億m3
6位 UAE 77億m3
7位 ナイジェリア 65億m3
8位 ブルネイ 59億m3
9位 オマーン 47億m3
10位 パプアニューギニア 30億m3

オーストラリアは2015年実績で世界第14位の天然ガス生産量(498億m3)でしたが、LNGの輸出はほぼ日本向けです。以下に天然ガスの輸送方法(パイプライン・LNG)ごとにわけた輸出のフォロー図を示します。
天然ガスフロー.jpg
図.2015年の天然ガス(パイプライン・LNG)輸出フロー(BP,2016)

ロシアの天然ガス生産量は世界何位?
答え:2015年は世界第2位。

引用文献
BP(2016):Statistical Review of World Energy 2016.
荒井智裕(2014):どこに向かうのかロシア−東方に敢然と流れ出す石油天然ガス−.石油・天然ガスレビュー.2014.9 Vol.48 No.5.p55-67.



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ロシアの原油生産量は世界何位?(2015年版)

2016年6月にイギリスの石油大手BPはStatistical Review of World Energy 2016(世界エネルギー統計2016)を発表しました。それでは2015年の国別原油生産量を見てみましょう。
(→2014年の原油生産量ランキングはこちら

原油生産量ランキング表2015.png
原油生産量ランキング図2015.png
(注)原油生産量は、原油、シェールオイル、オイルサンド、NGLを含み、バイオマス、石炭派生物、天然ガスなどによる液体燃料は除きます。

2015年の原油生産量第1位はアメリカでした。2014年に39年ぶりに1位に返り咲いたアメリカが首位を維持しました。世界生産量の14%を占める12,704バレル/日の生産量で、前年比+8.4%の増となっています。
第2位は前年同様サウジアラビア、ロシアも第3位を維持しました。

アメリカは、「シェール革命」によるシェールオイルの増産が寄与して生産量が毎年増えています。アメリカではこれまで原油を輸出することが禁止されていましたが、生産量が増えすぎた結果、原油在庫が増えるという事象が発生しました。そのためアメリカは40年ぶりに原油の輸出を再開しました。

アメリカやカナダの北米のシェールオイルが着目されていますが、ロシアではシェールからの原油生産はほとんどないとされています。でもシェールオイルは北米の専売特許ではありません。ロシアにも実はシェールオイル・シェールガスはあります。
アメリカエネルギー情報局US Energy Information Administration(EIA)による世界のシェールオイル・シェールガスの分布図を示します。
赤色はシェールオイル・シェールガスの埋蔵量が計算されている盆地です。肌色は存在が確認されているものの、埋蔵量が計算されていない盆地です。
ロシアにも広くシェールオイル・シェールガスが分布しているのがわかります。今後探査が進めば埋蔵量も増えてくるでしょう。ただしロシアの場合、コストの安い油田がありますので、わざわざコストが高くつくシェールオイルを現時点で活用する必要性があまりありません。
シェールガスシェールオイル分布.jpg
図.世界のシェールオイル・シェールガス分布図(EIA website)

世界第4位原油生産量はカナダ、第5位は中国となりました。第6位のイラクは前年8位より順位を上げました。第10位にはベネズエラが入りましたが、実はベネズエラは現在、世界最大の原油埋蔵量を持っています。ベネズエラのヘビーオイル(超重質油)も埋蔵量に加算されるようになったため、10年前の2005年末に比べ3.75倍に埋蔵量が増えました。

最後に日本とロシアの原油輸入・輸出状況をBP(2016)から説明します。
日本は2015年に1,678万トンの原油を輸入しました。その内、83.2%にあたる1,397万トンは中東の国々からの輸入です。ロシアからの原油輸入量は142万トンで、日本の輸入量の8.5%でした。
ロシアは2015年に2,547万トンの原油を輸出しましたが、ヨーロッパ向けが62.2%の1,585万トンでした。日本への輸出量は142万トンですので、ロシアの原油輸出量の5.6%は日本向けです。

ロシアの原油生産量は世界何位?
答え:2015年は世界3位。

引用文献
BP(2016):BP Statistical Review of World Energy June 2016
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2016年06月09日

ロシアのモリブデン生産量は世界何位?

地下資源の産出量国別ランキングは、今回、レアメタルの一つであるモリブデン(元素記号Mo)を紹介します。
モリブデンは二硫化モリブデンが潤滑油やエンジンオイルの添加剤に用いられることがありますが、メインの用途は各種合金鋼の添加元素に利用され、硬化を高めるために使用されます。
それではアメリカ地質調査所のデータから、2014年のモリブデン産出量を見てみましょう。
モリブデン生産量ランキング表.pngモリブデン生産量ランキング図.png

モリブデン生産量第一位は中国でした。次にアメリカ、チリ、ペルーと続き、ロシアは世界第8位の4,800トン(世界シェア2%)の生産量でした。
モリブデンの鉱物はいろいろがありますが、モリブデンの資源としては重要なのは輝水鉛鉱Molybdeniteです。モリブデンの鉱山には主に2種類あります。輝水鉛鉱を主体とするプライマリーMo鉱山と、斑岩銅鉱床で銅精鉱の副産物として回収されるバイプロダクトMo鉱山の2種類です。
2011年Mo操業山.jpg
図.2011年の主要Mo操業鉱山(中山、2013)

モリブデン生産量第1位の中国は90%以上がプライマリーMo鉱山です。第2位のアメリカは両方あります。第3位のチリ、第4位のペルーはほとんどがバイプロダクトMo鉱山です。

世界第8位のロシアでは主要なMo鉱山は、2つのプライマリーMo鉱山があります。上図の36番のSorsky鉱山、37番のZhireken鉱山です。いずれの鉱山もSRK社というロシアのモリブデン生産会社により、オーピンピットにて採掘が続けられている鉱山です。

Sorsky鉱床は1937年に発見され、1950年より採掘がはじまりました。現在の年間採掘量はおよそ10Mtです。
Zhireken鉱床は1958年に発見され、1961-66年に一時採掘されました。1988年以降採掘が再開され、現在の年間採掘量はおよそ4Mtです。

ロシアのモリブデン生産量は世界何位?
(答え)2014年は世界第8位。ロシアの主要モリブデン鉱山はSorsky鉱山、Zhireken鉱山の2つ(プライマリーMo鉱山)。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 MOLYBDENUM.
中山健(2013):モリブデン、タングステンおよびバナジウム 資源の存在状況と探査・生産動向.平成24年度(第10回)金属資源関連成果発表会.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構.平成25年3月.頁29.
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2016年05月22日

ロシアのタングステン生産量は世界何位?

資源大国のロシアが、いろいろな地下資源で生産量で世界何位なのかを紹介しています。
今回はタングステン(元素記号W)です。
タングステンは金属のうちでは最も融点が高く、電球のフィラメントとして使われていましたが、現在はLEDが普及してきたので、フィラメントとしての利用は減っています。
タングステンは、高温度での硬度や耐熱性保持などの特性から、主として炭化物(WC)の形で超硬工具に用いられています。かつて「ほこ×たて」というTV番組で最強金属として紹介され、最強ドリルと闘った金属です。

タングステンの国別産出量を以下に示しますが、とある国が大部分の生産量を占めています。
タングステン生産量ランキング表.pngタングステン生産量ランキング図.png

タングステンは中国の独壇場です。2014年の実績では中国の産出量シェアは82%。
ロシアの生産量は2,800トンで、これは世界3位、世界シェア3.2%でした。
埋蔵量においても中国が世界の埋蔵量の半分以上を占めます。
コバルト資源も偏在していますが、タングステンに関してはもっと偏在が顕著です。
中国の低価格輸出攻勢で1980年代から2000年頃までに多くの鉱山が閉山してしまいました。
生産量が反日のとある国に偏り過ぎると、安定供給に関して(特に日本への輸入に対して)大きなリスクとなりえます。

極東ロシアの沿海地方には、ヴォストーク2鉱床、レルモントフスコエ鉱床の二つの大規模タングステン鉱床があります。位置図を示します。
沿海地方のW鉱床.jpg
図.沿海地方の主要錫・タングステン鉱床位置図(石原、2008)

ヴォストーク2鉱床は、1961 年に発見されたスカルン型タングステン鉱床で1980年代から現在でも生産が続いています。
鉱床は石灰岩との接触部に形成された高傾斜シート状の形状を示すスカルン鉱体です。
鉱量は大規模と分類され、その規模は最大厚さ70m、走向延長(NE-SW)は600m以上、傾斜延長は(60-85°NW)は800m以上です。主鉱体のほか、3つの副鉱体があるそうです。
Vostok-2 鉱床の地質断面図と試錐品位.jpg
図.Vostok-2鉱床の地質断面図と試錐品位(Soloviev&Krivoshchckov,2011)

タングステン資源として重要な鉱物は灰重石(sheelite:CaWO4)と鉄マンガン重石(wolframite:(Fe,Mn)WO4)の2種類がありますが、Vostok-2では製錬がしやすく価値の高い灰重石の鉱化作用が認められています。しかもタングステン品位は1.64%WO3(Noklerberg et al.,2005) と高品位なタングステン鉱床です。

ロシアのタングステン生産量は世界何位?
(答え)2014年は世界3位(シェア3.2%)。
タングステンは中国に偏在しているため、日本への安定供給にはリスクのある金属。
極東ロシアにはVostok-2鉱山などのタングステン鉱山がある。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 TUNGSTEN.
石原舜三(2008):ロシア共和国,プリモーリエ準州の主要鉱床,特にスズ−ベースメタル鉱床とインジウム資源.地質ニュース641号,5 ― 16頁,2008年1月
Soloviev S. G. and Krivoshchekov N. N.(2011): Vostok-2 gold-base-metal-tungsten skarn deposit, Central Sikhote-Alin, Russia. Geology of Ore Deposits, Vol.53(6), p478-500.
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
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2016年05月09日

ロシアの錫生産量は世界何位?

鉱産物の国別生産量ランキング、今回は錫(スズ)を紹介します。
さっそく2014年の錫産出量を見てみましょう。
錫生産量ランキング表.png
錫生産量ランキング図.png

錫の産出量は第1位が中国(シェア34%)、第2位がインドネシア(シェア27%)でした。この2つの国が錫の2大生産国となっています。
ロシアはかつて錫の主要な産出国でしたが、現在は10位以内にランキングしていません。2014年の生産量はわずか240トンでした。

錫と言えばかつてはマレーシアでしたが、マレーシアも同様に2014年はランク外となりました。
30年前の1984年の生産量と比較すると衰退がよくわかります。
       1984年→2014年
マレーシア 46.9(1)→3.87
タイ    19.7(4)→0.20
ロシア   18.5(6)→0.24
単位は千トン、()内は世界順位
マレーシア、タイ、ロシアはかつて主要産出国であったのに、現在は生産量はわずかです。

錫の場合は埋蔵量が明らかになっていない国々もありますが、ロシアは錫埋蔵量では世界6位の350千トンです。ロシアの主要な錫鉱山は、極東ロシアの沿海地方(プリモーリエ地方)のカバレロボ市周辺にありました。
カバレロボ市は極東ロシアの中心都市ウラジオストクから北東に約300kmに位置する鉱山で発展した街です。しかし鉱山の閉山で、廃墟となったアパート群も多くあります。
沿海地方の錫鉱床.jpg
図.極東ロシア沿海地方の主要錫鉱山(石原、2008)

現在、極東ロシアでの錫の生産量はわずかですが、未開発の錫鉱床は極東ロシアに数多くあります。ロシア地質調査研究所の鉱産図を下に示します。茶色のマークが錫鉱床です。また錫鉱床の中にはタングステンが伴われる鉱床があり、それらの鉱床は茶色とピンクが半々になったマークです。
極東ロシアの非鉄金属鉱床.jpg
図.極東ロシアの非鉄金属鉱床鉱産図(VSEGEI)

沿海地方のみならず、ハバロフスク地方、マガダン州、サハ共和国、チュクチ自治管区にも多くの錫鉱床があります。

ロシアの錫生産量は世界何位?
(答え)2014年はランク外。かつての主要生産国であったロシアも現在の錫生産量はわずか。
埋蔵量は世界第6位。錫鉱床は極東ロシアに多い。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 TIN.
石原舜三(2008):ロシア共和国,プリモーリエ準州の主要鉱床,特にスズ−ベースメタル鉱床とインジウム資源.地質ニュース641号,5 ― 16頁,2008年1月
タグ:地下資源
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2016年04月30日

ロシアのコバルト生産量は世界何位?

国別生産量ランキングは、ニッケルに続いてコバルトを紹介します。
ロシアのコバルト生産量は世界何位でしょうか?

コバルト生産量ランキング表.png
コバルト生産量ランキング図.png

2014年のコバルト産出量は、世界合計で12.3万トンでした。これはニッケルの245万トンの約20分の1にしかすぎません。
コバルト産出量の世界第一位はコンゴ民主共和国で、世界全体の51%も占めています。
ロシアのコバルト産出量は6300トンで、世界シェア5%の第4位となっています。ただ、コンゴ民主共和国が圧倒的すぎて、2位以下はドングリの背比べみたいなものです。

なぜコンゴ民主共和国がコバルトが多いかと言うと、コンゴ民主共和国南部からザンビア北部にまたがるカタンガ層という地層に、カッパーベルトというコバルトを伴う堆積性の銅鉱床が続いているからです。ですので、コンゴ民主共和国は銅の産出量でも世界第5位の地位を占める鉱業国です。またカッパーベルトが続くザンビアも、銅で世界8位、コバルトでは世界6位です。

ロシアの場合は、銅-ニッケル硫化鉱鉱石の副産物として、コバルトが含まれます。シベリア北部のノリリスク鉱山がもっとも産出量が多いです(下図の水色の◆)。

資源分布.jpg
図.ロシアの主要鉱山位置図(JOGMEC,2010)

コバルトはニッケルと地球化学的挙動が比較的似ているため、ニッケルラテライトにも若干コバルトが含まれます。ニッケル産出量第1位のフィリピン、第5位のニューカレドニアは、コバルトでもランキングに入ってきます。

ロシアのコバルト生産量は世界何位?
(答え)2014年生産量は世界第4位。コンゴ民主共和国が圧倒的すぎて、順位はあまり意味ないかも?
ロシアでは銅-ニッケル鉱石にコバルトが随伴する。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 COBALT.
JOGMEC(2010):世界の鉱業の趨勢2010 ロシア.p151-160.
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2016年04月17日

ロシアのニッケル生産量は世界何位?

資源大国のロシアが、いろいろな天然資源で世界何番目の生産量なのかを紹介しています。
今回はニッケルです。
さっそくアメリカ地質調査所USGSのデータに基づき、生産量ランキングを見てみましょう。

ニッケル生産量ランキング表.png
ニッケル生産量ランキング図.png

2014年のニッケル生産量世界一位はフィリピンでした。ロシアは23万9千トンのニッケル生産量で、世界第3位(シェア10%)でした。
2013年まではニッケル生産量はフィリピンとインドネシアがほぼ並んでいました。しかしインドネシア政府がニッケル原鉱などの処理していない粗鉱の輸出を禁止したため、インドネシアは2013年の2位から、2014年は6位まで落ちました。
ニッケル生産量の60%はラテライトなどの酸化鉱、40%は硫化鉱からです。フィリピン、インドネシア、そしてニューカレドニアは酸化鉱です。ロシア、カナダ、南アフリカ、そしてオーストラリアの一部は、ニッケルは硫化鉱の鉱山からによるものです。

ロシアのニッケルの産地は主に2ヶ所です。下図の水色がニッケル鉱山です。
資源分布.jpg
図.ロシアの主要鉱山位置図(JOGMEC,2010)

シベリアの北側、タイミル半島にあるノリリスクニッケルの鉱山で、ロシアのほとんどのニッケルが生産されます。ノリリスク市の周りには、銅とプラチナを含む巨大なニッケル硫化鉱鉱床が広がっており、一部は露天掘りですが、基本は坑内掘りの鉱山が数多く分布します。ノリリスク市の周辺には、ノリリスクニッケル社の選鉱場や製錬所もあり、同社の一大拠点となっています。
Norilisk Nickelのマーク.jpg
Polar divisionの操業.jpg
図.ノリリスクニッケル社の北極圏部門の生産拠点(ノリリスクニッケル社Website)

またコラ半島にあるノリリスクニッケルの鉱山でもニッケルが生産されています。

ロシアのニッケル生産量は世界何位?
(答え):2014年生産量は世界第3位。
ロシアではノリリスクニッケルのノリリスク鉱山が主要なニッケルの生産地。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 NICKEL.
JOGMEC(2010):世界の鉱業の趨勢2010 ロシア.p151-160.
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2016年04月07日

ロシアのプラチナ・パラジウム生産量は世界何位?

不定期でお届けしているロシアの天然資源についての生産量ランキングですが、今回はプラチナとパラジウムを紹介します。プラチナやパラジウムなどの白金族の金属は、その産出が大きく偏在しています。
2014年のプラチナ生産量は、世界合計で147トンでした。ロシアは世界第2位の生産量であり、プラチナ生産量は23トン分でした。プラチナは約2/3が南アフリカで採掘されています。南アフリカのブッシュフェルト貫入岩体にはクロムとプラチナに富む正マグマ性鉱床があります。ジンバブエにもグレートダイク岩体というプラチナに富む貫入岩がありますので、ジンバブエが世界第3位のプラチナ産出国になっています。
プラチナは上位5カ国で世界シェアの96%を占めています。

プラチナ生産量ランキング表.pngプラチナ生産量ランキング図.png

またプラチナの鉱石にはパラジウムも含まれるのが普通です。パラジウムの生産量も見てみましょう。

パラジウム生産量ランキング表.pngパラジウム生産量ランキング図.png

パラジウムではロシアが世界1位の生産量(83トン)となりました。
パラジウムは水素吸蔵合金やジュエリー用にも使われますが、一番なじみがあるのは銀歯ではないでしょうか。銀歯には20%以上のパラジウムが含まれますが、そのパラジウムの供給の約6割はロシアからと言われています。

ロシアでプラチナやパラジウムが産出するのは主にノリリスクNorilisk鉱山です。北シベリアのノリリスクで探査が行われ、銅とニッケルの優勢な鉱化帯が発見されたのは1919年のことです。その鉱石サンプルを分析したところ、銅、ニッケルの他にプラチナが含まれていることが判明しました。
1935年には鉱業所が設立され、銅・ニッケル・プラチナ・パラジウムの生産が始まりました。ノリリスク・ニッケル社によってノリリスク鉱山の採掘は現在でも続いています。

ロシアのプラチナ生産量は世界何位?
答え:2014年生産量は世界第2位。
ロシアのパラジウム生産量は世界何位?
答え:2014年生産量は世界第1位。
ロシアの最も重要なプラチナ・パラジウム生産鉱山はノリリスク鉱山。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 PLATINUM-GROUP METALS.
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 08:56| Comment(0) | 生産量国別ランキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする