2016年03月07日

ロシアの鉛・亜鉛生産量は世界何位?

鉛Pbは採掘対象の資源としては、ほとんどが硫化物である方鉛鉱(PbS)として存在しています。方鉛鉱は亜鉛Znの鉱物である閃亜鉛鉱(ZnS)と共存することが多く、鉛は亜鉛鉱山で亜鉛と共に生産されることが多いです。
ロシアの鉛生産量(9万トン)は2014年で世界8位でした。これは世界シェアの1.8%にしかすぎません。鉛の場合も中国が世界生産量の約半分を占めます。

鉛生産量ランキング表.png鉛生産量ランキング図.png

次に亜鉛の国別ランキングを見てみましょう。
ロシアは2014年実績では亜鉛ではランキング外の12位(亜鉛生産量21.7万トン)となりました。
ロシアにはウラル山脈の南側に比較的大きな亜鉛鉱山がありますが、それでもランクインできませんでした。
亜鉛の場合もやはり中国が世界第一位です。

亜鉛生産量ランキング表.png亜鉛生産量ランキング図.png

鉛と亜鉛は地球化学的挙動が似ている元素であるため、鉛と亜鉛のランキングに出てくる国々の顔触れも似ています。

ロシアの鉛生産量は世界何位?
答え:8位
ロシアの亜鉛生産量は世界何位?
答え:12位

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 LEAD.
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 ZINC.
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2016年02月12日

ロシアのボーキサイト・アルミニウム生産量は世界何位?

ボーキサイトはアルミニウムの原料となる鉱石で、ギブス石gibbsite(Al(OH)3)、ベーム石boehmite(AlO(OH))、ダイアスポアdiaspore(AlOOH) などの水酸化アルミニウム鉱物の混合物です。ジャングルなどに分布する熱帯性土壌であるラテライトを経てボーキサイトが生成すると考えられています。そのため、ボーキサイト鉱床は風化が早く進む熱帯雨林地域または過去に熱帯雨林であった地域に多く見つかっています。
それでは寒い印象があるロシアはボーキサイト生産量で世界何位でしょう?

ボーキサイト生産量ランキング表.pngボーキサイト生産量ランキング図.png
※ボーキサイト生産量にアルミナは含みません。

ロシアは2013年は国別で第9位でしたが、2014年は第7位になりました。ボーキサイト生産量は559万トンで、これは世界生産量の2.3%に相当します。
2013年の第2位だったインドネシアで、政府がボーキサイトやニッケル元鉱などの処理していない粗鉱の輸出を禁止したため、2014年はインドネシアが圏外(第11位)に落ち、更にロシアはカザフスタンを抜かし、世界第7位になりました。
ボーキサイト生産量はオーストラリア、中国、ブラジルの三か国で世界シェアの約2/3を占めています。またギニアやジャマイカはボーキサイトで有名な国です。暖かい国々がランクインする中、寒いロシアもなかなか頑張っている感じです。

ロシアにはアルミニウムを生産しているルサールРУСАЛという会社がありますが、この会社は世界的なアルミニウム製造メーカーで、ロシア、ウクライナ、アルメニア、ギニア、ナイジェリア、ガイアナ、オーストラリア、イタリア、スウェーデンなどに主要な工場を持っています。
ルサールのWebsiteにロシアを含めた生産箇所の位置図が示されています。図中の赤丸がボーキサイトの鉱山です。
ルサールのボーキサイト位置図.png
図.ルサールの生産拠点位置図(Rusal website)

ボーキサイトからアルミニウムを精練するのに銅の約11倍、亜鉛の約3.5倍の電力が必要となると言われています。水力発電が多く、電気代が安いロシアの製錬所はコスト競争力を持っています。ボーキサイトの生産量は世界7位ですが、製錬されたアルミニウムの生産量ではロシアは順位を上げ、世界第2位になります。

アルミニウム生産量ランキング表.pngアルミニウム生産量ランキング図.png

アラブ首長国連邦やバーレーンは豊富な石油を元にした火力発電で、またカナダやノルウェーは地形を生かした水力発電で、アルミニウムの製錬を行っています。

ロシアのボーキサイト生産量は世界何位?
答え:2014年は世界第7位(世界生産量の2.3%)。ロシアのルサールРУСАЛという会社は世界的なアルミニウムメーカーである。
ロシアのアルミニウム製錬量は世界何位?
答え:2014年は世界第2位(世界生産量の7.0%)。水力発電により電気代が安いロシアはコスト競争力あり。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 BAUXITE AND ALUMINA1.
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 ALUMINUM.


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2016年02月07日

ロシアの銅生産量は世界何位?

ロシアの2014年の金生産量は世界3位でした。銀生産量は7位でした。それでは次に銅生産量を見てみましょう。

銅生産量ランキング表.png銅生産量ランキング図.png

2014年のロシアの鉱山における銅生産量は74.2万トンでした。これは世界7位であり、世界生産量の4.0%を占めています。
なお一位は断トツでチリの575万トン、世界生産量の約3割です。チリと言えば銅。銅と言えばチリですね。
大規模な銅鉱床のタイプとしては、斑岩型銅鉱床Porphyry Copper depositと堆積性銅鉱床Sediment-hosted Copper depositの二つのタイプがありますが、チリの場合は、大規模な斑岩型銅鉱床が分布しています。この斑岩型銅鉱床のベルトは、ペルーまで続いていますので、ペルーも世界第3位の産銅国となっています。

copper-deposits-map(USGS).jpg
図.斑岩型銅鉱床と堆積性銅鉱床の分布(USGS)

コンゴ民主共和国の南部からザンビア北部にかけてはカッパーベルトと呼ばれる地帯に、堆積性銅鉱床があります。ですのでコンゴ民主共和国は世界第5位、ザンビアは世界第8位の産銅国となっており、さらにカッパーベルトの銅鉱石は副産物としてコバルトを伴いますので、これらの国はコバルトの産出国にもなっています。

ロシアには斑岩型銅鉱床も堆積性銅鉱床もありますが、採掘の中心となっている銅鉱床は正マグマ鉱床と呼ばれる塩基性岩に伴われる硫化物鉱床です。
シベリア北部にノリリスクという街がありますが、ここは巨大な銅・ニッケル・プラチナ鉱床があります。ここで採掘をしている会社はノリリスクニッケルという鉱山・製錬会社です。ノリリスク・ニッケルは銅の世界では10本の指に入る鉱山会社で、ニッケルとパラジウムでは世界最大手です。
ノリリスク鉱床のような正マグマ鉱床はカナダのサドベリーにもありますので、ロシアとカナダはニッケルやプラチナの主要な産出国となっています。

さて、ロシアの銅のホットな話題と言えば、動き出したウドカンプロジェクトです。ウドカンУдоканは東シベリアのブリヤート共和国にある世界最大級の未開発銅鉱床(堆積性銅鉱床)です。1949年に発見されましたが、永久凍土の問題やアクセスの問題があり、開発の話が浮かんでは消え、入札しても不調、開発会社のライセンス取り消しなどがあり、これまで開発されてきませんでした。ウドカンならず“動かん”と称されていた塩漬け案件(氷漬け案件?)ですが、ようやく現在開発に向けて建設が始まりました。
ノリリスクニッケルの銅・ニッケル鉱山やウドカンについても、いつかこのブログで詳しく取り上げます。

ロシアの銅生産量は世界何位?
答え:2014年は世界7位。ロシアの大きな産銅会社はノリリスクニッケル。
開発に向けて動き出したウドカンプロジェクトも注目。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 COPPER.
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2016年02月05日

ロシアの銀生産量は世界何位?

2014年の国別の金生産量ではロシアは世界3位でしたが、銀は世界何位でしょうか?
2014年のロシアの銀生産量は1,330トンで、これは世界7位の生産量でした。

銀生産量ランキング表.png銀生産量ランキング図.png

銀はメキシコが世界第1位(シェア19%)になるのが特徴的です。メキシコは金のランキングではランク外ですが、鉛で世界第5位、亜鉛で世界第6位の地位も占めています。産出する鉱石が多金属であり銀-鉛-亜鉛を含んでいるためです。
一方、ロシアの場合は、銀は通常は金に伴われて産出します。金に乏しく銀に富む鉱床もあり、下図の銀色のマークが銀の主要鉱山です。マガダン州やハバロフスク地方には金が少なくて銀に富む浅熱水性鉱床があります。これらの銀鉱床についてもこのブログで紹介していきます。

資源分布.jpg
図.ロシアの主要金属鉱山(JOGMEC)

ロシアの銀生産量は世界何位?
答え:2014年は世界7位。主要な銀鉱山は極東ロシアにある。

引用文献
USGS(2016):Mineral Comodity Summaries 2016 SILVER.
JOGMEC(2010):世界の鉱業の趨勢2010 ロシア.p151-160.
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2016年02月04日

ロシアの金生産量は世界何位?

ロシアの金生産量は世界何位でしょうか?
アメリカ地質調査所USGSによる2014年金産出量データによると、ロシアは世界第3位の247トンの金を生産しました。

金産出量ランキング表.png金産出量ランキング図.png
※数字は採掘された鉱石中の金含有量であり、リサイクルによる金は含みません。

産金量の世界第一位は中国(世界シェア15%)ですが、実はもうあまり埋蔵鉱量がありません。私が心配してもしようがありませんが、枯渇への道を進んでいるような気がします。中国の金生産量が今後落ち込むのは避けられないと思っています。
一方ロシアは近年、新たな金鉱床の発見や、金鉱山の開発が相次いでいます。ロシアの金産出量は年々着実に増加し、2013年にはアメリカと並び、2014年は完全にアメリカを追い抜き世界第3位となりました。
ロシアのどこに金鉱床があるかといえば、下図のとおりシベリア〜極東ロシアに多いことが分かります。
このブログでは日本に近い極東ロシアの金に主に着目しています。少しずつですがロシアの金鉱床について、今後も紹介していきます。

資源分布.jpg
図.ロシアの主要鉱山位置図(JOGMEC,2010)

ロシアの金生産量は世界何位?
答え:2014年の金生産量は中国、オーストラリアに次いで世界第3位。
中国はいずれ落ち込む?ロシアは新規金鉱山開発の進捗で順調に成長。
ロシアでは特に極東に金鉱床が多い。

引用文献
USGS(2016):Mineral Comodity Summaries 2016 GOLD.
JOGMEC(2010):世界の鉱業の趨勢2010 ロシア.p151-160.
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2016年02月03日

ロシアのダイヤモンド生産量は世界何位?

ロシア産ダイヤモンドは美しいものが多いと言われていますが、ロシアのダイヤモンド生産量は世界何位でしょうか?ここでは工業用ではなく宝石用のダイヤモンドの生産量を見てみましょう。
アメリカ地質調査所USGSの報告書によると、2014年の宝石用ダイヤモンドはロシアが生産量一位(21.5百万カラット)でした。これは世界生産量の3割になります。

ダイヤモンドランキング表.pngダイヤモンドランキング図.png

ダイヤモンド生産量2位はボツワナです。ボツワナが資源ランキングに入ってくるのは、ダイヤモンドくらいです。3位はカナダ。4位以降はアフリカの国々が続きます。
ロシアのどこでダイヤモンドが採れるかというと、ロシア産ダイヤモンドの99%は極東のサハ共和国産になります。ロシア地質調査研究所VSEGEIによる極東ロシアの貴金属・ダイヤモンド鉱床図を示します。

極東ダイヤモンド分布.jpg
図.極東ロシアの貴金属・ダイヤモンド鉱床図(VSEGEI)
極東ダイヤモンド凡例.jpg
図.鉱床図の凡例

凡例は上から金Золото、銀Серебро、プラチナПлатина、ダイヤモンドАлмазыです。凡例サイズの大きさが鉱床の規模分類に相当します。更に金とダイヤモンドは現地性Коренныеと漂砂型Россыпныеに分かれています。
赤色のヘキサグラムがダイヤモンドの産地ですが、サハ共和国の数ヶ所に集中していることが分かります。ダイヤモンドはマントル起源の火成岩であるキンバーライトに含まれます。

サハ共和国でダイヤモンド採掘の中心都市はミールヌイ(Мирный)です。人口約4万人のこの街にはロシア最大のダイヤモンド会社アルローサ(ALROSA)の本社があります。
Mirパイプと名付けられたキンバーライトのパイプ状鉱体は、1957年より露天掘り採掘が始まりました。露天掘りは2001年に終掘し、深さ525m、直径1,250mの巨大な採掘ピット跡は観光地になっています。

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図.Mirパイプ露天ピット写真(ALROSA Website)

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図.ピット、処理プラント、ミールヌイ市街の写真(ALROSA Website)

Mirパイプでは2009年から坑内掘りへ移行しています。またミールヌイより南西16kmにはInternatsionalnayaパイプと呼ばれる別の鉱体もあります。

ロシアのダイヤモンド生産量は世界何位?
答え:2014年生産量は世界第1位。ロシア産ダイヤモンドの99%はサハ共和国産。

引用文献
USGS(2016):Mineral Comodity Summaries 2016 Gemstone.
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2016年02月02日

ロシアの鉄鉱石生産量は世界何位?

ロシアの鉄鉱石の生産量は世界何位でしょうか?
2014年の鉄鉱石(粗鉱)生産量は1億2百万トンでした。
これは世界第5位の生産量になります。

鉄鉱石ランキング表.png鉄鉱石ランキング図.png

中国の鉄鉱石は鉄品位が低いと言われていますが、それでも採掘量はダントツの一位(シェア44%)。その次はオーストラリア、ブラジル、インド、ロシアと続きます。中国・オーストラリア・ブラジルの三か国で世界生産量のおよそ3/4を占めています。
埋蔵量で見れば、ロシアはオーストラリアに次いで世界2位です。
鉄鉱床のほとんどは先カンブリア紀の原生代に形成されています。藻類などの光合成が盛んとなり、大気中や海水中の酸素濃度が上昇しました。その結果、海中に溶けていた鉄イオンは酸素と結び付き、酸化鉄として大量に海底に堆積しました。酸化鉄とケイ酸塩鉱物が交互に積み重なり、縞模様が認められる鉄鉱石なので、縞状鉄鉱層と呼ばれます。縞状鉄鉱層は英語ではBanded Iron Formationというので、頭文字をとって、BIFと呼んでいます。
BIF(James&Sims,1973).png
図.代表的な縞状鉄鉱層BIFの鉱石(James&Sims,1973)

約22〜27億年前という大変古い地層の縞状鉄鉱層は長いベルトとして続いています。露天掘りをしている大規模な鉄鉱床はこのベルト(オーストラリア〜インド〜南アフリカ〜ブラジル〜アメリカ〜カナダ〜ウクライナ〜ロシア)に偏在しています。

パンゲア大陸における縞状鉄鉱層の分布.png
図.パンゲア大陸における縞状鉄鉱層の分布(岩波書店)

ロシアではウクライナの国境付近の州であるクルスク州を中心に鉄鉱石鉱床が多くあります。下図はロシアの鉄鉱石資源量を示したものですが、Курская(クルスク)と書かれた地域に最も多く埋蔵されています。

ロシアの鉄鉱石資源分布.jpg
図.ロシアの鉄鉱石資源分布図(WWW.mineral.ru)

ロシアの鉄鉱山会社でもっと大きい会社はMetalloinvestという会社です。同社はロシアの資源量の半分以上となる146億トンの鉄鉱石資源量を保有しています。
Metalloinvest.png
図.Metalloinvestの鉄鉱山と製鉄所

特にクルスクには105億トンの鉄鉱石が埋蔵されています。これはアメリカの埋蔵量にほぼ匹敵します。
クルスクでは古くは1778年に磁気の異常が発見されました。その後の調査で磁気異常は鉄鉱層に由来するものであり、延長850kmに及ぶ巨大な異常であることが分かりました。クルスクでのBIFの鉄鉱物は磁鉄鉱がほとんどで、赤鉄鉱は数%です(Alexandrov,1973)。

鉄鉱石についても、今後このブログで今後紹介していきます。

ロシアの鉄鉱石生産量は世界何位?
答え:2014年粗鉱生産量は第5位。埋蔵量では第2位。
古い地層があるところに大規模鉄鉱石鉱床があり、ロシアではクルスク州に大規模縞状鉄鉱層がある。

引用文献
USGS(2016):Mineral Comodity Summaries 2016 IRON ORE.
岩波書店:岩波地球科学選書.地球の資源/地表の開発.
James. H.L. and Sims, P.K.(1973): Precambirian ironformation of the world. Economic Geology. Vol.68.p913-914.
Alexandrov E.A.(1973):The Precambrian Banded Iron-Formations of the Soviet Union. Economic Geology. Vol.68.p1035-1062.

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2016年01月25日

ロシアの石炭生産量は世界何位?(2014年版)

ロシアの石炭生産量について、2014年のデータ(出典:BP)を見てみましょう。

石炭ランキング表.png石炭ランキング図.png

石炭生産量一位は断トツで中国で、世界全体の約半分を占めています。ロシアの石炭生産量(3.58億トン)は世界6位でした。
可採埋蔵量で見ると、ロシアはアメリカに次いで2位です。炭田はアメリカとロシアに多く分布しています(下図)。資源量を生産量で割ったR/P比は439です。つまりロシアは400年間分以上の石炭資源を持っていることになります。
世界の石炭資源分布.jpg
図.世界の石炭資源分布(JOGMEC,2014)

ロシアの主要な炭田を下図に示します。
ロシアの主要炭田.jpg
図.ロシアの主要炭田(JOGMEC,2014)

日本にとってもロシアは、オーストラリア、インドネシアに次いで第3位の石炭輸入先です。以下に石炭の輸出入の流れを示すコール・フローを示しますが、日本の輸入先はオーストラリアがダントツの年間1.137億トン。ロシアからの輸入は1,240万トンで、オーストラリアの約9分の一しかありません。
コールフロー(褐炭を含む).png
図.2012年見込みのコール・フロー(JOGMEC,2014)

図をみると中国の輸入量も多いことが分かります。中国は上述のとおり世界の約半分を占める石炭生産量ですが、それでもまだ石炭が足りず輸入しています。この国はどれだけCO2を出しているのでしょうか?またロシアから中国への石炭の輸出は最近急激に増えています。これは中国がロシアの炭鉱開発に融資した見返りです。

現在、日本を含めた東アジア向けのロシア石炭生産地の西の限界はクズネツク炭田となっています。そこから極東の港までの鉄道輸送距離は6,000km以上です。積出港に近い極東地域にも炭田は分布していて、主に鉄道に沿った地域から炭田開発が進んでいます。
シベリア鉄道の輸送インフラ.png
図.ロシアシベリアの輸送インフラ(JOGMEC,2014)

しかしながら鉄道の輸送量増加に対し輸送能力が追い付いていません。渋滞による速度低下、機関車の老朽化、鉄道と港湾の接続部のボトルネック(臨港地区の操車場での滞留)、積出港の能力不足が輸出拡大のネックとなっています。そのためロシア政府はバイカル・アムール鉄道の近代化(複線、電化、トンネル)や港湾の能力増強などのインフラを整備する予定です。

ロシアの石炭採掘コストは全般的に非常に安く、オーストラリアの半分の30〜40ドル/t程度と言われています。そして日本に一番近い石炭積出港は極東ロシアの港です。
鉄道での運搬距離が短い極東の炭田であれば、運搬に関するボトルネックが解決すれば、オーストラリアの石炭に取って代わる可能性があると思います。
東シベリア極東の炭田分布図.jpg
図.東シベリア・極東の炭田分布図(JOGMEC,2014)

ロシアの石炭生産量は世界何位?
答え:世界第6位(2014年)。可採埋蔵量は世界第2位で、400年分以上の石炭埋蔵量を持つ。極東ロシアの炭田は、日本に距離的に近いため、今後の動向が着目される。

引用文献
BP(2015):BP Statistical Review of World Energy June 2015
JOGMEC(2014):平成25 年度海外炭開発支援事業 海外炭開発高度化等調査「世界の石炭事情調査−2013年度−」平成26 年3 月.655頁.

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2016年01月23日

ロシアの天然ガス生産量は世界何位?(2014年版)

ロシアの天然ガス生産量は世界何位でしょうか?
イギリスの石油大手BPはStatistical Review of World Energy 2015(世界エネルギー統計2015)による、2014年の国別天然ガス生産量を見てみましょう。

天然ガスランキング表.png天然ガスランキング図.png

かつてはロシアが世界最大の生産国でしたが、2009年にアメリカに抜かされ、現在は世界2位となっています。アメリカの生産量が急激に増加したのは、シェールガスが商業ベースに乗ったことが大きな理由となっています。
ロシアは3位カタールを大きく引き離し、堂々の2位ですが、2014年は前年比-4.3%と大きく減少しています。他の国が生産量を増やす中、一体ロシアはどうしたのでしょうか?
実はロシアの天然ガス生産量は、西ヨーロッパの景気に大きな影響を受けます。ロシアの天然ガスは主にヤマル半島からパイプラインで西ヨーロッパに送られていますが、備蓄が効かないパイプライン輸送は末端の需要に大きく左右されやすい特徴があります。
ウクライナ問題を発端として、西ヨーロッパ諸国はロシアへの経済制裁を強化しつつありますが、原油や天然ガスの輸入禁止はまだ行われていません。ガスパイプラインの一部はウクライナ国内を通過するにも係わらずです。安いロシア産天然ガスが入ってこなくなると困るのは西ヨーロッパの国々で、経済に与える影響は甚大です。
ロシア-欧州天然ガスパイプライン網.jpg
図.ロシアから欧州への天然ガス・パイプライン網(荒井,2014)

ロシアの天然ガス埋蔵量(2013年末)はイランに次いで世界第2位。2014年の生産量5,790億m3から考えると、約56年分の埋蔵量を持っていると言えます。
一方、アメリカはシェールガスが今、芳しくありません。2015年8月住友商事はテキサス州のシェールガス開発事業の権益の一部をとても安価で売却しました。シェールガス開発に想定以上の採掘コストが膨らみ、採算割れしたことが理由です。
ロシアが天然ガス生産量で世界1位に復活するのも近いかもしれませんね。


ロシアの天然ガス生産量は世界何位?
答え:2014年は世界第2位。アメリカのシェールガス(コスト高)が、更につまづけば、豊富な埋蔵量を持つロシアが首位に返り咲くかも。

引用文献
BP(2015):Statistical Review of World Energy 2015.
荒井智裕(2014):どこに向かうのかロシア−東方に敢然と流れ出す石油天然ガス−.石油・天然ガスレビュー.2014.9 Vol.48 No.5.p55-67.
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ロシアの原油生産量は世界何位?(2014年版)

ロシアは地下資源が豊富で、ロシアというとまず原油(石油)を思い浮かべる方も多いと思います。
イギリスの石油大手BPはStatistical Review of World Energy 2015(世界エネルギー統計2015)を発表しましたので、2014年の国別原油生産量を見てみましょう。

原油ランキング表.png原油ランキング図.png

(注)原油生産量は、原油、シェールオイル、オイルサンド、NGLを含み、バイオマス、石炭派生物、天然ガスなどによる液体燃料は除きます。


原油生産量はアメリカ、サウジアラビア、ロシアの三つ巴の状態が続いています。
2014年の一位は39年ぶりに首位に返り咲いたアメリカで、シェールオイルの増産が寄与して1975年以来のトップです。前年度+15.9%と大きく生産量が増えました。カナダも同様に大きく生産量が増え、2014年の北米はシェールオイルバブルだったとも言えます。サウジとロシアは毎年競い合っていますが、2014年もロシアはサウジに負け、更にアメリカにも抜かされ3位でした。

2014年の平均原油価格は93.13USドル/バレル(テキサス産軽質油:WTI)となりましたが、2015年は約半分の価格である48.75USドル/バレルに低下しました。更に2016年1月22日にはの一時26USドル/バレルと12年ぶりに安値をつけました。
競争力のないコスト高のシェールオイルは休止させざるを得ません。原油価格の低迷で、勢力図も大幅に変わることになるでしょう。

ロシアの原油確認埋蔵量は1,030億バレルですが、2014年原油生産量のペースで考えると、約26年分の埋蔵量を現在持っていると言えます。ロシアの油田・ガス田がある地域は東から、サハリン北部、東シベリア地域、西シベリア地域、ティマン・ペチョラ地域、ウラル・ヴォルガ地域です(下図)。
世界の油田・ガス田地帯.jpg
図.世界の油田・ガス田地帯の分布

なかでも西シベリア地域はロシア最大の産油地域となっており、油田を多く有するチュメニ州(ハンティ・マンシ自治管区とヤマロ・ネネツ自治管区を含む)の石油生産量だけで、ロシア全体の約3分の2を占めています。下図はGazprom社によるロシアの油田(黒色)・ガス田(黄色)地帯の分布です。西シベリア地域にいかに多くの油田があることが分かると思います。油田はヤマル半島よりも更に北のカラ海まで分布しています。

ロシア油田分布(gazprom-neft.ruに加筆).png
図.ロシアの油田・ガス田地帯の分布(gazprom-neft.ruに加筆)


ロシアの原油生産量は世界何位?
答え:2014年は世界3位。原油安により今後ロシアが首位になるかも?
ロシアの油田はチュメニ州に多い。

引用文献
BP(2015):BP Statistical Review of World Energy June 2015
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 12:34| Comment(0) | 生産量国別ランキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする