2016年12月02日

沿海地方の銅鉱床(Malakhitovoe鉱床)

ウラジオストクの北東500kmの沿海地方の北端、ハバロフスクの南150kmにMalakhitovoe銅鉱床は位置しています。
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図.沿岸地方の鉱産図Malakhitovoe鉱床周辺の拡大(VSEGEI)

鉱床の名前は酸化銅鉱物である孔雀石Малахитを意味しています。
Malakhitovoeポーフィリー型Cu-Mo鉱床は白亜紀前期の砂岩/シルト岩および頁岩を母岩と、これらを貫く安山岩ポーフィリーおよび角礫ゾーンからなります。
変質帯の大きさは200×200mです。
鉱物組み合わせは
(1) 石英-黒雲母-緑閃石-輝石&緑廉石;
(2)石英-黒雲母-緑閃石;
(3) 石英-黒雲母-セリサイト(±緑泥石);
(4) 石英-加水雲母(+炭酸塩)
です。ストックワーク帯では(1)〜(3)の組み合わせが認められ、黄銅鉱、斑銅鉱、黄鉄鉱を伴う最大2〜3cm幅の石英-緑簾石-緑閃石細脈およびレンズ状脈からなっています。
角礫化したチャートとシルト岩は深さ100mまで試錐探鉱されています。
角礫ゾーンでの鉱石鉱物は黄銅鉱、斑銅鉱、輝水鉛鉱、黄鉄鉱を主体とし、稀に磁硫鉄鉱、キューバ鉱、硫砒鉄鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱を伴います。
炭酸塩脈もしばしば黄銅鉱を伴う特徴があります。
品位はストックワーク帯のポーフィリーで0.1〜1.6%Cu,角礫ゾーンで最大0.5%Cuであるとされています(Petrachenko & Petrachenko,1985)。

ロシア地質調査研究所VSEGEIの沿海地方の鉱産図ではMalakhitovoe鉱床(501番)は銅鉱床として極めて小規模として登録されています。

引用文献
Petrachenko, E.D., and Petrachenko, R.I., 1985, Copper molybdenum mineralization in the Kuril-Kamchatka arc and the East Sikhote-Alin volcanic belt: U.S.S.R. Academy of Sciences, Far East Geological Instiute,Vladivostok, 275 p. (in Russian).
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2016年11月30日

沿海地方の銅鉱床(Sukhoi Creek鉱床)

Sukhoi Creek鉱床は沿海地方の北端、ウラジオストクから北東に730kmにあります。
むしろハバロフスクの方が近いです。
ハバロフスクのから東に約230kmのところにこのポーフィリー型銅鉱床は位置します。
シホテアリンのPoベルト.png
図.沿岸地方〜ハバロフスク地方のポーフィリーベルト(Mihalasky et al.,2010)

Mihalasky et al.(2010)ではSukhoi Creekという鉱床名ですが、ロシアではSukhoi Logと呼ばれています。乾いた渓谷(水無し川)という意味です。
でもGoogle Earthで確認すると、川には水が流れているように見えます。
ロシアではSukhoi Logという別の金鉱床もありますが、この鉱床は未開発の銅鉱床です。


Sukhoi Creek鉱床は、白亜紀前期の堆積岩とその上位の白亜紀後期の火山岩類を貫く花崗岩質貫入岩からなる鉱床で、数百mにわたる変質帯があります。
鉱化作用は著しく熱水変質を受けた花崗閃緑岩や花崗岩類に関連しています。
そしてK/Ar 年代測定により鉱床は73Maに形成されたことがわかっています。
鉱石鉱物は黄銅鉱、輝水鉛鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、錫石、灰重石と黄鉄鉱です。

花崗岩質貫入岩には一部、グライゼンが伴われ、少量のSn,W 鉱物を随伴するのが特徴的です。
地表での品位は0.2%Cu,0.01%Moとされ(Petrachenko et al.,1988)、品位は低いですが、深部は探鉱されていません。

引用文献
Mihalasky et al.(2010): Porphyry Copper Assessment of Northeast Asia−Far East Russia and Northeasternmost China. U.S. Department of the Interior U.S. Geological Survey.
Scientific Investigations Report 2010–5090–W.p118.
Petrachenko, R.I., Oleinikov, A.V., and Petrachenko, E.D.,1988, Ore in Cretaceous to Paleocene plutonic complexes of the northern Sikhote-Alin Area, in Vlasov, G.M., ed., Porphyry-type mineralization in the Russian Far East: U.S.S.R. Academy of Sciences, Institute of Tectonics and Geophysics, Vladivostok, p.75-93 (in Russian).
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2016年11月29日

沿海地方の銅鉱床(Nesterovskoe鉱床)

Nesterovskoe鉱床はウラジオストクの北東約580kmにある銅鉱床で、日本海までは約6kmの距離にあります。緯度では稚内よりも北になります。

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図.Nesterovskoe鉱床の位置図(Google Earth)

Nesterovskoe鉱床は、50m×200mの範囲で熱水変質岩が認められるポーフィリー型銅鉱床です(Petrachenko et al.,1989)。
鉱石鉱物は黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱そして輝水鉛鉱からなります。
酸化帯にはマラカイトも認められます。
鉱床は花崗閃緑岩や母岩である安山岩を切る断層帯に分布します。
鉱化帯は脈と鉱染状の銅鉱物を含み、深部数十mまで続きます。

鉱量や品位は不明です。新しい情報は見つかりませんでした。
日本海に近いため、今後の動向が着目される鉱床です。

引用文献
Petrachenko, E.D., Oleinikov, A.V., and Petrachenko, R.I.,1989, Geological conditions for the emplacement of endogenous mineralization, central Sikhote-Alin, in Khomich, V.G., ed.: U.S.S.R.Academy of Sciences, Far East Geological Institute,Vladivostok, p. 193-195 (in Russian).
タグ: 沿海地方
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2016年11月25日

沿海地方の銅-(錫)鉱床(Verkhnezolotoe鉱床)

Verkhnezolotoe銅-(錫)鉱床はウラジオストクから北東約500kmにある白亜紀後期の閃緑岩質のポーフィリー型Cu-Sn鉱床です。
シホテアリンのPoベルト.png
図.沿岸地方〜ハバロフスク地方のポーフィリーベルト(Mihalasky et al.,2010)

貫入の境界部は、黒雲母変質の境界と一致しています。
鉱体は不規則で、部分的には鉱染状です。鉱染状鉱体は局所的に破砕ゾーンで高品位を示すことがあります。
黄銅鉱と白鉄鉱が主要鉱石鉱物であり、少量の閃亜鉛鉱、方鉛鉱、輝水鉛鉱そしてスズ石を含みます。
高品位部はCu-Snに富む他、タングステンを局所的に含みます。地表から20〜30mまでは酸化しています。

平均品位は3g/tAu, 86g/tAg, 0.35〜2.27%Cu, 0.69%Pb,0.26%Sn とされますが(Orlovsky et al.,1988)、鉱床規模は小さいようです。
ロシア地質調査研究所VSEGEIの沿海地方の鉱産図ではVerkhnezolotoe鉱床(503番)は銅鉱床として極めて小規模として登録されています。

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図.沿岸地方の鉱産図Verkhnezolotoe鉱床周辺の拡大(VSEGEI)

引用文献
Mihalasky et al.(2010): Porphyry Copper Assessment of Northeast Asia−Far East Russia and Northeasternmost China. U.S. Department of the Interior U.S. Geological Survey.
Scientific Investigations Report 2010–5090–W.p118.
Orlovsky, V.V., Gryazev, V.A., Levshuk, A.E., and others,1988, On two porphyry mineralization types in the northern Primorye, in Vlasov, G.M., ed., Porphyrytype
mineralization in the Russian Far East: U.S.S.R. Academy of Sciences, Institute of Tectonics and Geophysics, Vladivostok, p. 121-134 (in Russian).
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2016年11月19日

沿海地方の銅-(金)鉱床(Malinovskoe鉱床)

Malinovskoe銅-金鉱床はウラジオストクから北東約300kmにあるポーフィリー型のCu-Au鉱床です。
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図.沿岸地方〜ハバロフスク地方のポーフィリーベルト(Mihalasky et al.,2010)

前期白亜紀の堆積岩に貫入した後期白亜紀の複合岩体からなり、その後いくつかのステージの鉱化作用がオーバーラップしています。
主に石英-セリサイト変質部に細脈および鉱染状の銅鉱物が産します。
鉱石鉱物は黄銅鉱、黄鉄鉱、磁硫鉄鉱、白鉄鉱、硫砒鉄鉱、自然金、輝蒼鉛鉱、グラウコドート鉱および閃亜鉛鉱です。若干の輝銀鉱、銀四面銅鉱、方鉛鉱、辰砂および硫砒銅鉱を伴います。
局所的にタングステン鉱物である灰重石、鉄マンガン重石も産します。
Auの鉱化作用は、Cuの鉱化よりも時代が後とされ、Au品位は0.6〜12.9g/t,Cuは0.42〜4.5%となっています(Nokleberg et al.,1997)。
鉱床の規模は小さいとされますが、詳しいことはわかりません。

引用文献
Mihalasky et al.(2010): Porphyry Copper Assessment of Northeast Asia−Far East Russia and Northeasternmost China. U.S. Department of the Interior U.S. Geological Survey.
Scientific Investigations Report 2010–5090–W.p118.
Nokleberg et al.(1997):References for significant metalliferous and selected non-metalliferous lode mineral deposits and placer districts, and for metallogenesis of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian cordillera. U.S. Department of the interior U.S. Geological Survey. Open-File Report 96-513-B.
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2016年10月27日

沿海地方の銅鉱床(Lazurnoe鉱床)

極東ロシア、沿海地方のシホテアリンベルトに産するポーフィリー銅鉱床の中で最も研究されているLazurnoe銅Cu-モリブデンMo鉱床を紹介します。
Lazurnoe鉱床では白亜紀前期の堆積岩を貫く2つの岩体があり、西側はおよそ0.8×1.6q、東側は2.0×1.5 qの大きさがあります。
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図.Lazurnoe 鉱床の地質平面・断面図(Gonevchuk et al.,2009)

西側の貫入岩体は更に、北部ストックと南部ストックに分けられます。
北側ストックは漏斗型の形状を示していて、中心部の岩相はモンゾ閃緑岩ポーフィリーとなっています。
北側ストックの方が銅品位が高く、黄銅鉱、斑銅鉱、輝銅鉱、輝水鉛鉱などが確認されます。

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図 . Lazurnoe 鉱床西鉱体の地質平面図(Sakhno et al.,2011)

西側の貫入岩体では、弱い黒雲母化、長石化、緑泥石化を受けています。
鉱化作用は主にプロピリティック変質と弱珪化変質、カリ長石変質帯中に鉱染状の黄銅鉱、輝水鉛鉱および黄鉄鉱が認められます。
硫化鉱物を含む石英脈のストックワークゾーンはおよそ東西500×南北60m の範囲です。
細脈および鉱染状の鉱石は、深度300mまで続いています。

また閃緑岩中の角礫化ゾーンでは、フラグメントが鉱染状の細粒輝水鉛鉱を含む暗灰色石英によってセメンチングされているのが確認されます。
母岩側でも硫化鉱染は認められます。

東側の貫入岩体では緑泥石が2 次鉱物として普遍的に認められ、鉱化作用は鉱染状の黄銅鉱、輝水鉛鉱、黄鉄鉱と稀に閃亜鉛鉱、方鉛鉱を伴う白色石英脈で特徴づけられます。

東側と西側の両岩体とも、アプライトや花崗閃長岩のダイクを含有します。
貫入岩はCu を含むとともに錫Sn もわずかに含みます。

このLazurnoe 鉱床はRio Tinto とロシア貴金属鉱山会社Polymetal 社の親会社であるロシア投資会社ICT Group 社とのJV により探鉱されています。
ICT Group 社の2012 年2 月1 日付けPress Release によると、本ポーフィリーは70 年間にわたり調査がなされていたが、わずか32.2Mt@0.48%Cu, 0.24g/tAu が計上されていたのみであったとのこと。
2005 年にPhelps Dodge 社がオークションによりLazurnoe 鉱床の25 年間のライセンスを獲得し、その後、紆余曲折を経て、サンクトペテルブルグの探鉱会社に権益が渡り、RioTintoのキプロス子会社とICT Group 社がこの探鉱会社を買収しています。

引用文献
Gonevchuk V. G., Krylova T. L., Orekhov A. A., Gonevchuk G. A.and Kokorina D.K.(2009): Specific features of the fluid regime during the formation of systems with copper-molybdenum-gold and copper-tin mineralizations (Iskra-Soboliny knot, Kavalerovo ore district, Primorye) ., Russian Journal of Pacific Geology,Vol.3(1), p3-18.
Sakhno.V.G., Kavakenko, S.V., Alenicheva, A.A.(2011): Monzonitoid magmatism of the copper-porphyritic Lazurnoe deposit (South Primor’e): U-Pb and K-Ar geochronology and peculiarities of ore-bearing magma genesis by the data of isotopic-geochemical studies., Doklady Earth Sciences, Vol.438, No.1, p569-577.
タグ:沿海地方
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2016年10月13日

沿海地方の銅鉱床(概要)

極東ロシアの沿海地方Приморский крайの銅鉱床について紹介していきます。
沿海地方といってもなじみはないでしょうが、ウラジオストクがある州と言えば分りやすいでしょうか。
沿海地方の面積は16.6万km2、人口は約200万人です。

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図.沿海地方の位置図と首府ウラジオストクの位置

沿岸地方の西側には三畳紀〜ジュラ紀の花崗岩体が分布しています。
沿岸地方の東側には白亜紀〜古第三紀にかけて広い範囲で様々な組成の火成活動があり、火山深成岩帯はシホテアリンベルトと呼ばれています。
シホテアリンベルトは北はハバロフスク地方まで続き、様々なポーフィリー鉱床が分布します。

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図.沿岸地方〜ハバロフスク地方のポーフィリーベルト(Mihalasky et al.,2010)

沿海地方にはロシアでも有数の錫Sn-タングステンW鉱床および鉛Pb-亜鉛Zn鉱床がありますが、銅鉱床ではあまり大きいものがありません。
これまでに開発された銅鉱床はなく、Vostok-2 W-Cuスカルン鉱山でタングステン精鉱と共に副産物として銅精鉱が生産されているのみです。

ロシア地質調査研究所VSEGEIの鉱産図を見ても、錫やタングステンは大規模な鉱床がありますが、銅鉱床は小規模なものしかありません。
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図.沿岸地方の鉱産図(VSEGEI)

これから沿海地方の銅鉱床や鉱徴地を紹介していきます。

引用文献
Mihalasky et al.(2010): Porphyry Copper Assessment of Northeast Asia−Far East Russia and Northeasternmost China. U.S. Department of the Interior U.S. Geological Survey.
Scientific Investigations Report 2010–5090–W.p118.
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2016年02月05日

沿海地方の金鉱床(その他の鉱床)

沿海地方には大規模な金鉱床はないようです。その他の金鉱床についてまとめて以下に紹介します。

・Krinichnoe鉱床
白亜紀後期の花崗閃緑岩体中に金-黄鉄鉱-石英ゾーン、石英-炭酸塩ゾーンが認められ、含金石英脈は様々な形状・サイズの鉱体中に認められます。鉱石鉱物は自然金、黄鉄鉱、硫砒鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、輝水鉛鉱、磁硫鉄鉱、テルル蒼鉛鉱、磁鉄鉱です。鉱床規模は小規模で、品位は最大2.8g/tAu、171g/tAgです(Noklerberg et al.,2005) 。

・Progress鉱床
硫化物に乏しい黄鉄鉱-硫砒鉄鉱-金-石英脈や細脈、鉱化を受けたフラクチャーゾーン、マイロナイトゾーン、炭酸塩-緑泥石-セリサイト変質岩ゾーンからなる花崗岩類に関連した金鉱床です。脈状、レンズ状、ストックワークなど形状で石英-硫化物鉱石が分布しています。
鉱石鉱物は黄鉄鉱、硫砒鉄鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、白鉄鉱、自然金です。鉱床の深度は20〜30mは見込まれており、鉱床規模は中規模とされます。平均品位は5.89g/tAuです(Noklerberg et al.,2005) 。

・Porozhistoe鉱床
硫化物に乏しい含金脈と鉱染状が斑レイ岩中のカタクラスチックと片状ゾーンに認められます。主要鉱石鉱物は黄鉄鉱、磁硫鉄鉱、黄銅鉱です。Auは緑泥石を含む斑レイ岩体中に鉱染状として産する他、細い脈状・ネットワーク状の細脈として産するものもあるそうです。鉱床は白亜紀後期の花崗岩体に伴われ、規模は小規模、平均品位は5.39g/tAuです(Noklerberg et al.,2005) 。

・Maiskoe鉱床
 ホウ素スカルンで有名なDalnegorski地区に位置しており、日本海から15qと近いところにある金鉱床です。鉱床は白亜紀前期の陸生岩と白亜紀後期のイグニンブライト、流紋岩質凝灰岩とのコンタクトに沿ったシアゾーンに発達する浅熱水性Au-Ag鉱床です。主要鉱石鉱物は銀四面銅鉱、針銀鉱、エレクトラムです(Noklerberg et al.,2005) 。

・Tayozhnoe鉱床
NW〜N-Sトレンドの裂罅帯に沿った高傾斜の石英脈からなる鉱床で、白亜紀前期の砂岩を母岩とします。鉱脈は走向延長100〜500mで幅は0.5〜2mです。主要鉱石鉱物は銀硫塩鉱物で黄鉄鉱、硫砒鉄鉱は稀です。鉱床の浅部では銀は四面銅鉱、銀四面銅鉱、ステファン鉱、濃紅銀鉱、雑銀鉱、下部では針銀鉱およびステファン鉱が卓越するようになり、含銀黄鉄鉱、アラルジェンタム(Ag6Sb)なども認めらます。鉱床規模は中規模とされ、品位は1g/tAu、50〜2,000g/tAgです(Noklerberg et al.,2005) 。1980年代より採掘されているそうですが、現状は分かりません。

ロシア地質調査研究所VSEGEIによる鉱産図にそれぞれの鉱床の位置を示します。いずれの鉱床も日本海に近いことが分かります。

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図.沿海地方の金鉱床位置図(VSEGEI)

引用文献
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 10:04| Comment(0) | 沿海地方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

沿海地方の金鉱床(Askold鉱床)

ウラジオストクから約50km南東に位置する無人島アスコリド島にあるAskold鉱床を紹介します。
日本海に浮かぶアスコリド島は本土との定期航路もないため訪れる観光客は稀です。
かつて中国人が無断で金を採掘していたため、ロシアと争いが起こった島とされています。

Askold鉱床は花崗岩類に関連した金鉱床で、古生代の火山岩類・堆積岩類に貫入したグライゼン化した中生代の花崗岩中に含金石英脈のストックワークが認められます。
Askold鉱床地質図.jpg
図.Askold鉱床の地質平面・断面図(Noklerberg et al.,2005)

鉱石鉱物は自然金、黄鉄鉱、硫砒鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、四面銅鉱、輝水鉛鉱です。
脈に伴われる変質鉱物である白雲母のK-Ar年代からは、鉱床は約84百万年前の白亜紀に形成されたことが示されています(Ishihara et al,1997)。
鉱脈の平均品位は5.9-7.6g/tAuです(Noklerberg et al.,2005)。
ボーリングも実施されており、鉱床は深度100m以上続くと予測され、鉱床規模は中規模とされます。Wikipediaではフォーキノ (沿海地方)の記述に
「同島には何十トンもの埋蔵量の金があると推定されている。」とありますが、これはいくらなんでも盛りすぎだと思います。

引用文献
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
Ishihara S., Gonevchuk G.G., Gonevchuk G.A., Korostelev P.G., Saydayn G.R., Semenjak B.I. and Ratkin V.V.(1997): Mineralization Age of Granitoid-Related Ore Deposits in the Southern, Russian Far East., Resource Geology,4 7(5), 255-261.
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2016年02月04日

沿海地方の金鉱床(概要)

極東ロシアの沿海地方Примо́рский крайの金鉱床について紹介していきます。沿海地方といってもなじみはないでしょうが、ウラジオストクがある州と言えば分りやすいでしょうか。
沿海地方の面積は16.6万km2、人口は約200万人です。

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図.沿海地方の位置図と首府ウラジオストクの位置

沿岸地方の西側には三畳紀〜ジュラ紀の花崗岩体が分布しています。白亜紀〜古第三紀にかけて広い範囲で様々な組成の火成活動があり、火山深成岩帯はシホテアリンベルトと呼ばれています。
シホテアリンベルトは北はハバロフスク地方まで続き、様々なポーフィリーが産する特徴があります。沿海地方東部のシホテアリン山脈に分布するSn鉱床の鉱化年代は白亜紀後期を示し、その年代と鉱床の特徴は日本の山陽帯と類似することが指摘されています(Ishihara et al.,1997)。
ポーフィリー形成以降の新しい時代の火成岩は、主に新第三紀-第四紀の玄武岩質火山岩からなり、シホテアリンの全域に点在し、特にウラジオストク周辺や日本海岸沿いに集中しています。

沿海地方にはロシアでも有数の錫Sn-タングステンW鉱床および鉛Pb-亜鉛Zn鉱床がありますが、金Au鉱床ではあまり大きいものがありません。ロシア地質調査研究所VSEGEIによる鉱産図ではいずれのAu鉱床も小規模とされています。

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図.沿海地方の金属鉱産図(VSEGEI)


引用文献
Ishihara S., Gonevchuk G.G., Gonevchuk G.A., Korostelev P.G., Saydayn G.R., Semenjak B.I. and Ratkin V.V.(1997): Mineralization Age of Granitoid-Related Ore Deposits in the Southern, Russian Far East., Resource Geology,4 7(5), 255-261.
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