2016年08月07日

シュムシュ島の多金属鉱床(Koshkina鉱床)

シュムシュ島(占守島)は千島列島北東端の島で、ロシア語でも同じくシュムシュ島と呼ばれています。
シュムシュ島では小規模な銅-鉛-亜鉛の鉱徴地が知られています。

コシュキナヤ川の谷にはKoshkina Cu-Pb-Zn多金属脈鉱床があります。花崗閃緑岩や閃緑岩に隣接した熱水変質岩中に胚胎する走向200mの鉱脈からなっています。
ロシア地質調査研究所VSEGEIの鉱産図(下図)の@がKoshkina鉱床です。
シュムシュ島地下資源.png
図.シュムシュ島のKoshkina 鉱床の位置図(VSEGEI,2001)

鉱脈は石英-電気石脈、石英-緑泥石-セリサイト脈、緑泥石-炭酸塩脈であり、鉱石鉱物は黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、輝安鉱、鶏冠石などを含みます(Noklerberg et al.,2005)。鉱床サイズは小規模とされ、品位は不明です。

1995年にロシア科学アカデミー極東支部のPetrachenko氏により、千島列島の鉱化作用についての論文が公表されています。その中でシュムシュ島/パラムシル島の鉱床図が示されています。シュムシュ島の鉱床について北東部のコシュキナヤ地区にCu,Mo,Zn,Sb,Asなどの鉱床が示されています。

Paramushir島の鉱産図.jpg
図.シュムシュ島/パラムシルの鉱産図(Petrachenko,1995)

現在占守島の住民は灯台守とその家族だけで民間人はいません。また島への上陸はロシア連邦軍の許可が必要だそうです。

引用文献
ВСЕГЕИ(2001):M−56−XII,XVII,XVIII,XVIV; M−57−VII,XIII; M−56−XXIII,XXIX,M−56-XXVIII,XXIX,XXXIV,XXXV,M−56−XXXIII,XXXIV;L-56-III,IV,L-56-II,III,VII,VIII,IX Геологическая карта российской федерации. Серия Курильская.
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
Petrachenko E.D.(1995):Mineralization of the Kuril Island Arc., Resource Geology Special Issue, No.18,271-276.
ラベル:千島列島
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 06:51| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月03日

パラムシル島の多金属鉱床

ソ連は1954年から長期調査研究計画に基づき、千島列島の多金属鉱床の調査を実施しました。その結果、1961-1962年に国後島でヴァレンチナ鉱床が発見されました。この発見により、探査の対象はウルップ島(得撫島)、パラムシル島(幌筵島)まで拡大されました。
これまでのところ、ヴァレンチナ鉱床を上回るものは見つかっていませんが、パラムシル島でも多金属鉱床が発見されています。特にリフォーヴィ鉱床と、ラードゥガ鉱床で調査が行われました。

リフォーヴィRifovoe鉱床はRifovoe岬の南側太平洋地区にある亜鉛-鉛鉱床です。
南2.5q付近と南1q付近の2地区に分かれ、それぞれの延長は300m前後、幅は数10m程度です。
鉱体は強い熱水変質を受けた厚さ数m程度の変質帯中に存在する鉱染鉱体〜細脈群で、鉱石鉱物は閃亜鉛鉱、方鉛鉱、メルニコフ鉱、黄銅鉱、黄鉄鉱を主体とし、緻密方鉛鉱-閃亜鉛鉱細脈も認められます。
鉱床規模は小規模とされ、品位は最大35%Zn,17%Pb(岸本,1981)を示す他、Auは最大1.5g/tAu含まれます(Noklerberg et al.,2005)。そのためロシアでは金鉱床として分類される場合もあります。

ラードゥガRaduga鉱床はクルゼンシュテルン岬の南西1.3kmにある亜鉛−鉛鉱床です。鉱床は中新世-鮮新世の火山岩類、凝灰岩類に胚胎し、大量の黄鉄鉱を伴う閃亜鉛鉱・方鉛鉱・黄銅鉱の鉱染体と細脈群からなっています。鉱染体は母岩の幅80m前後の鉱化帯中に、かなり均等に分布し幅1-3cmの開放割れ目中では良型な閃亜鉛鉱・方鉛鉱・黄鉄鉱の結晶が産出しています。

ロシア地質調査研究所VSEGEIの鉱産図(下図)のBがリフォーヴィ鉱床、Fがラードゥガ鉱床です。
パラムシル島地下資源.png
図.パラムシル島の鉱床図(VSEGEI,2001)

さらにパラムシル島の南西にある雲霧山(Carpinsky山)の変質帯発達域でレアメタルであるモリブデンの鉱物が1959年に発見されています。粘土変質とアルーナイト変質を被った安山岩質溶岩流および凝灰岩に微小鱗状の輝水鉛鉱が認められます。しかしながら鉱染状鉱体の規模は100×150mと小さく、Mo品位は0.01%(Noklerberg et al.,2005)ですので、経済的な価値はなさそうです。
また荒川岳(Vernadsky山)の火山岩中でも輝水鉛鉱が発見されています。

1995年にロシア科学アカデミー極東支部のPetrachenko氏により、千島列島の鉱化作用についての論文が公表されています。その中でパラムシル島の鉱床図が示されています。パラムシル島の鉱床について新第三紀の鉱床は●マーク、第四紀の鉱床は▲マークで示されています。モリブデンMoを伴う鉱床はパラムシル島には2ヶ所示されています。
Paramushir島の鉱産図.jpg
図.Paramushir島の鉱産図(Petrachenko,1995)

引用文献
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁、1981 年6 月
ВСЕГЕИ(2001):M−56−XII,XVII,XVIII,XVIV; M−57−VII,XIII; M−56−XXIII,XXIX,M−56-XXVIII,XXIX,XXXIV,XXXV,M−56−XXXIII,XXXIV;L-56-III,IV,L-56-II,III,VII,VIII,IX Геологическая карта российской федерации. Серия Курильская.
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
Petrachenko E.D.(1995):Mineralization of the Kuril Island Arc., Resource Geology Special Issue, No.18,271-276.
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 09:43| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月02日

オンネコタン島の銅鉱徴地

千島列島北部にあるオンネコタン島(温禰古丹島)は、ロシア語ではオネコタン島 (o.Онекотан)と呼ばれています。

オンネコタン島では島南西部を流れるアンギビАнгиби川河口近くに黄銅鉱の小露頭が見られるだけです。

m-5657-onekotan.jpg
図.オンネコタン島の100万分の一地質図(VSEGEI、1956)

オンネコタン島では銅鉱床はこれまで知られておらず、小規模な鉱徴地があるのみのようです。
またオンネコタン島では砂浜や河口付近の砂層中に、小規模なチタン砂鉄鉱床がありますが、その鉱量は少ないようです(岸本,1981)。


引用文献
VSEGEI(1956)M-56/57 Геологическая карта СССР Масштаб 1:1000000. Северная группа Курильских островов.
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁、1981 年6 月
ラベル:千島列島
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 10:41| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月27日

シムシル島の銅鉱床

千島列島中部にあるシムシル島(新知島)はロシア語でも島の名前はシムシル(Остров Симушир)となっています。
シムシル島の位置図を示します。シムシル島には銅−多金属鉱床(図中の◎)があります。
千島列島の分布と主要鉱床の位置.jpg
図.千島列島の分布と主要鉱床の位置(石原,1994)

シムシル島北部のドューシュヤナ湾からスレドニー湾にかけて小規模な銅-鉛-亜鉛鉱床であるDushnoe鉱床があります。Dushnoe鉱床は、走向20〜30mの多金属鉱脈からなります。
母岩は中新世後期の火砕岩であり、硫化物(鉱染状の黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、黄鉄鉱)を伴う熱水変質を受けています。

ロシア地質調査研究所VSEGEIから出版されているシムシル島の地質図を下に示します。
l-56-iiiiiviiviiiix-o-simushir-gosudarstvennaya-geologicheskaya-karta-rossiysko.jpg
図.シムシル島の20万分の一地質図(VSEGEI,1996)

Dushnoe鉱床周辺を拡大します。ドューシュヤナ湾бух.Душнаяには、ロシアではセカンダリークォーツサイトと呼ばれるいわゆる珪化岩のマークと、鉛Pbの鉱床が記されています。ロシア側の資料ではDushnoe鉱床は鉛Pb鉱床として登録されているようです。

l-56-iiiiiviiviiiix-o-simushir-Dushnoe.jpg
図.Dushnoe鉱床周辺拡大(ドューシュヤナ湾〜マーラヤ湾)

その他、マーラヤ湾бух.Малая沿岸地域にも珪化岩と銅鉱床があります。

引用文献
石原舜三(1994):千島列島における鉱化作用.地質ニュース.480 号、54-59 頁
ВСЕГЕИ(1996):L-55-II,III,VII,VIII,IX Геологическая карта российской федерации. Серия Курильская.
ラベル:千島列島
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 10:06| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月26日

ウルップ島の銅鉱床

ウルップ島(得撫島)はかつて「宝島」と呼ばれていたことがあります。
1938年(昭和13)11月18日の大阪朝日新聞のウルップ島の記事を抜粋します。

「宝島」の名でよばれている千島列島のウルップ島は政府の期待と注視を浴びて登場、全島これ悉く金だとの話題の謎をつくべくその瀬踏みとして商工省では今夏鉱山局平林技師および札幌鉱山監督局員二名を派遣、同技師らは二ヶ月にわたり無人の島内に乗込みキャンプを張って探鉱にあたったが同島は周囲二十里の大きい島で僅かに沿岸から一里奥の川岸に辿りつき周囲三里余を探鉱したにとどまるが、その鉱石は銅鉱で相当な金を含む豊富な鉱脈があることが確められた、この採取した鉱石は札幌鉱山監督局で分析中であり、まだ平林技師の報告書が完成されていないのでこの宝島についての発表は控えられている
しかし商工省ではこの島の銅金の埋蔵に対して希望を持ち明年度において全島にわたって徹底的調査を行う計画をたてその予算を計上、これが認められれば明年の四、五月から九月末までにかけて長期にわたる大調査隊を送り謎を秘めて眠る資源開発の第一着手たらしめようとしている


戦前よりウルップ島では銅を伴う金鉱脈が知られていたことがわかります。
現在ウルップ島では、サハリンの鉱山会社「クリルゲオ」社によって南西部にあるアインスコエ金鉱床(下図の2)の開発が進められています。ウルップ島は本当に宝島になったといえます。

ウルップ島の地質図および金鉱徴地.jpg
図.ウルップ島アインスコエ金鉱床の位置図(Kirillow et al.,2008)

ウルップ島の南西部では、1932年7月下旬(昭和7年)の第1回ウルップ島地質調査の際に、家間付近において多数の鉱脈露頭の存在を認められ、特に鯨湾沿岸にて優良な含金銀鉱石を採取されました(石原,1994)。
翌年以降、夏のシーズンに調査を進めた結果、家間湾から鯨湾にかけて3kmにわたって、多数の鉱脈あるいは鉱徴が確認されました。発見された鉱脈は第1号から第33号まで番号が振られました。
鉱床は海岸線にほぼ直行するN30-60Wの走向を持つ鉱脈からなり、脈幅は一般に1m以下、平均して50cm程度でした。
母岩は熱水変質を受けた珪化岩や珪化-セリサイト変質を受けた火山岩などで、概して広範囲に変質作用を被ります。
鉱石鉱物は黄鉄鉱、黄銅鉱を主体とし、少量の閃亜鉛鉱、方鉛鉱を伴います。また重晶石の板状結晶を第4号、第27号鉱脈に認めることが出来ます。

ロシア側はこのウルップ島の鉱床はユージュヌィ鉱床またはTetyaevskoe鉱床と呼んでいます。
鉱脈の規模は小さく、品位は鉱脈中で変動が大きいですが、0.12〜7.8%Cu、0.07〜2.7%Pb、0.06〜2.8%Znです(岸本,1981)。ソ連によって出版された25万分の一地質図にも鉱床の位置が示されています。

l-55-xxiv-l-56-xix-karta-poleznyh-iskopaemyh-sssr-seriya-kurilskaya.jpg
図.ウルップ島南西部の地質図(Желубовский,1966)

ウルップ島南西部を拡大します。オホーツク海の鷲ノ巣湾(M.Tetyaeva)にある多金属鉱床のマーク(18番)が戦前に日本により調査された鉱床です。
ウルップ島地質図拡大.jpg
図.ウルップ島南西部の地質図拡大

またウルップ島には中央〜北部にかけて以下の銅鉱床があります(岸本,1981)。
・中部の太平洋側にはドヴォイノイ鉱床(4条の黄銅鉱-方鉛鉱-閃亜鉛鉱-石英脈)
・北端部の東雲原半島にツマーン鉱床(閃亜鉛鉱-黄銅鉱鉱染鉱床)
・中部のオホーツク海岸近くにネプロイデシ鉱床(5条の黄銅鉱-輝銅鉱-石英脈)
いずれの鉱床も部分的には比較的高品位ですが、規模が小さく稼行には値しないそうです。

引用文献
Kirillov V. Ye., Antishin V., Pachin A., and Shchepotyev Yu. M.(2008): Gold Potential of Urup Island, Greater Kuril Range. Institute of Tectonic and Geophisics,Khabarovsk, Russia, Science Report (on website).
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁
石原舜三(1994):千島列島における鉱化作用.地質ニュース.480 号、54-59 頁
Желубовский Ю.С.(1966):L-55-XXIV-L-56-XIX Геологическая карта СССР. Серия Курильская.
ラベル:千島列島
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 10:25| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月24日

千島列島の銅鉱床(概要)

千島列島は列島全体がKuril鉱床区と呼ばれる、クリル火山孤に位置するAu-Ag浅熱水性鉱床、Cu-Pb-Zn多金属鉱床、Sn-硫化物脈、火山性硫黄鉱床、黒鉱型塊状硫化物鉱床、Mo-ポーフィリー鉱床からなる鉱床区に位置しています。
銅鉱床は主に鉛-亜鉛を伴う多金属鉱床として産します。

千島列島の分布と主要鉱床の位置.jpg
図.千島列島の分布と主要鉱床の位置(石原,1994)

南クリル(北方領土)にも銅鉱床はあります。
国後島にはルルイ(Dokuchaev)鉱床、ヴァレンチナ鉱床があります。
国後島の金属鉱床分布.jpg
図.国後島の金属鉱床分布(岸本,1981)

択捉島には恩根萌(Chistaya Rechika)鉱床、コルブシ鉱床があります。
択捉島金属鉱床分布図.jpg
図.択捉島の金属鉱床分布(岸本,1981)

国後島や択捉島の銅鉱床を詳しく説明したいのですが、「ロシアの地下資源」というタイトルのブログで、北方領土の資源についてこれ以上説明できません。
北方領土の地下資源については以下の姉妹ブログ「北方領土の地下資源について」にまとめていますので、
詳しく知りたい方は以下のリンクまでお願いします。
http://hoppouryoudonoshigen.seesaa.net/

千島列島の銅鉱床はいずれも小規模なものが多いですが、ウルップ島、シムシル島、パラムシル島、シュムシュ島にもあります。次の記事から各島の銅鉱床を紹介します。

引用文献
石原舜三(1994):千島列島における鉱化作用.地質ニュース.480 号、54-59 頁.
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁.
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 10:02| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月19日

占守島(シュムシュ島)の地下資源

占守島(シュムシュ島)は千島列島北東端の島で、ロシア語でも同じくシュムシュ島と呼ばれています。
シュムシュ島では小規模な銅-鉛-亜鉛の鉱徴地が知られています。

コシュキナヤ川の谷にはKoshkina Cu-Pb-Zn多金属脈鉱床があります。花崗閃緑岩や閃緑岩に隣接した熱水変質岩中に胚胎する走向200mの鉱脈からなっています。
鉱脈は石英-電気石脈、石英-緑泥石-セリサイト脈、緑泥石-炭酸塩脈であり、鉱石鉱物は黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、輝安鉱、鶏冠石などを含みます(Noklerberg et al.,2005)。鉱床サイズは小規模とされ、品位は不明です。

現在占守島の住民は灯台守とその家族だけで民間人はいません。また島への上陸はロシア連邦軍の許可が必要だそうです。

引用文献
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 10:36| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月18日

幌筵(パラムシル)島の地下資源

幌筵(パラムシル)島はロシア語でもパラムシル島と呼ばれています。パラムシル島には銅-鉛-亜鉛の多金属鉱床があり、ソ連により調査がなされています。

Rifovoe岬の南側太平洋地区にリフォーヴィRifovoe亜鉛-鉛鉱床があります。南2.5q付近と南1q付近の2地区に分かれ、それぞれの延長は300m前後、幅は数10m程度です。
鉱体は強い熱水変質を受けた厚さ数m程度の変質帯中に存在する鉱染鉱体〜細脈群で、鉱石鉱物は閃亜鉛鉱、方鉛鉱、メルニコフ鉱、黄銅鉱、黄鉄鉱を主体とし、緻密方鉛鉱-閃亜鉛鉱細脈も認められます。
鉱床規模は小規模とされ、品位は最大35%Zn,17%Pb(岸本,1981)を示す他、Auは最大1.5g/tAu含まれます(Noklerberg et al.,2005)。

クルゼンシュテルン岬の南西1.3kmにはラードゥガ鉱床があります。鉱床は中新世-鮮新世の火山岩類、凝灰岩類に胚胎し、大量の黄鉄鉱を伴う閃亜鉛鉱・方鉛鉱・黄銅鉱の鉱染体と細脈群からなっています。鉱染体は母岩の幅80m前後の鉱化帯中に、かなり均等に分布し幅1-3cmの開放割れ目中では良型な閃亜鉛鉱・方鉛鉱・黄鉄鉱の結晶が産出しています。

パラムシル島の南東にはレアメタルであるモリブデンの鉱徴地(Carpinsky Caldera)があります。粘土変質とアルーナイト変質を被った安山岩質溶岩流および凝灰岩に鉱染状の輝水鉛鉱が認められます。鉱床規模は100×150mと小さく、Mo品位は0.01%(Noklerberg et al.,2005)ですので、経済的な価値はなさそうです。

1995年にロシア科学アカデミー極東支部のPetrachenko氏により、千島列島の鉱化作用についての論文が公表されています。その中でパラムシル島の鉱床についても記述があります。パラムシル島の鉱床について新第三紀の鉱床は●マーク、第四紀の鉱床は▲マークで示されています。

Paramushir島の鉱産図.jpg
図.Paramushir島の鉱産図(Petrachenko,1995)


引用文献
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁、1981 年6 月
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
Petrachenko E.D.(1995):Mineralization of the Kuril Island Arc., Resource Geology Special Issue, No.18,271-276.
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 09:41| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月17日

新知島(シムシル島)の地下資源

千島列島中部にある新知(シムシル)島は火山島であり、ロシア語(Остров Симушир)でも島の名前はシムシルSimushirとなっています。
シムシル島には小規模な銅鉱床、銅亜鉛鉱床であるDushnoe鉱床があります。ドューシュヤナ湾近郊に鉱床は位置し、走向20〜30mの多金属脈からなります(Noklerberg et al.,2005)。
母岩は中新世後期の火砕岩であり、硫化物を伴う熱水変質を受けています。

北千島の鉱床位置図.jpg
図.北千島列島の鉱床位置図

その他、マーラヤ湾沿岸地域に銅鉱床、その南に方鉛鉱-閃亜鉛鉱鉱床がありますが、いずれも低品位・小規模だそうです(石原、1994)。
また新知火山には黄鉄鉱鉱床、ネルポチェカ岬にも黄鉄鉱鉱床があります(岸本,1981)。

引用文献
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
石原舜三(1994):千島列島における鉱化作用.地質ニュース.480 号、54-59 頁.
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 09:06| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウルップ島の金鉱徴地

ウルップ島の中央部、太平洋に面したLindenskayaエリアでは、複数の金の鉱徴地が認められています。

Lidinskayaエリアの鉱徴地.jpg
図.ウルップ島Lindenskayaエリアの地質図と鉱徴地(Kirillov et al.2008)

本地域では厚さ8〜90m、広さ180〜1000mの珪化帯が分布し、カオリン、セリサイト、明礬石を伴います。石英脈帯は5.4g/tAuを含み、最大6%Cu,1%Znを含むものもあるそうです。
鉱石鉱物は黄鉄鉱、黄銅鉱、白鉄鉱、ゲーサイト、閃亜鉛鉱、重晶石であり、キューバ鉱、銅藍、輝銅鉱、メルニコフ鉱、磁硫鉄鉱、リューコキシン、砒四面銅鉱、テルル鉱物などを伴います。試錐などの詳しい調査は行われていない模様ですが、今後の調査の進捗が待たれます。

引用文献
Kirillov V. Ye., Antishin V., Pachin A., and Shchepotyev Yu. M.(2008): Gold Potential of Urup Island, Greater Kuril Range. Institute of Tectonic and Geophisics, Khabarovsk, Russia, Science Report (on website).
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 07:20| Comment(0) | 千島列島 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする