2016年06月03日

チュクチ自治管区の金鉱床(まとめ)

チュクチ自治管区は、日本の約2倍の面積がありながら、人口はわずか5万人足らずの地域です。そしてソビエト連邦崩壊以降、過疎化が著しい地区でもあります。
過酷な自然環境(限られた探鉱シーズン)、乏しいインフラ、そして鉱山を稼働させるに至っては、地域の労働力不足がネックとなります。
Kinross のKupol 鉱山では約1,000 人の労働力を地元で確保するのに苦労したそうです。

チュクチ自治管区では優良な金の鉱床が多いのが特徴であり、開発中・稼働中の案件も多いです。低硫化型の鉱脈型鉱床として代表的なものはKupol鉱床があります。
Kupol鉱床は現在坑内掘りで開発中で、その産金量は極東ロシア最大です。

金を伴う斑岩型銅-モリブデン鉱床としては極東ロシア最大のPeschanka鉱床があります。Peschanka鉱床が発見されたのは1960年代ですが、これまで開発には至っていません。ゆっくりですが探鉱が進められ、開発に向けて進んでいます。
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2016年05月28日

チュクチ自治管区の金鉱床(Kupol鉱床)

Kupol鉱床はKinross社が100%権益を有する坑内掘り操業中の鉱脈型金銀鉱床です。
チュクチ自治管区のフラッグシップ的な鉱山であり、極東ロシアで最大級の産金量を誇る鉱山を、説明していきます。

Kupol 鉱山設備外観.jpg
図. Kupol 鉱山設備外観(Kinross 社Website)

1)位置及びアクセス
チュクチ自治管区第2 の都市、Bilibino市(人口5,000 人)より南に約300 qのウインターロードでサイトに到着可能です。夏季でも川を渡ることが出来る特殊車両ならばアクセスが可能です。
サイトには飛行場が整備され、夏季はヘリまたはセスナ機にて、Magadanから約2.5 時間、Bilibinoから1 時間で到達可能です。
Kupol鉱床位置図.jpg
図. Kupol鉱床位置図(Henderson,2011)

2)気候
Kupol鉱山は北緯66°47′に位置しており、北極圏に位置している鉱山です。
気候は厳しい冬季が8〜8.5 ヵ月続き、夏は短い。年間の平均気温は-13℃であり、気温変動は-58℃〜33℃です。日平均気温が0℃を超える日は年間50 日にも満たなく、9 月上旬には氷点下となります。
そのため9月中旬から降雪が記録されます。根雪はおよそ237 日間存在しますが、その厚さは平均38〜45cm です。年間を通じて、強風が吹くことが多いです。

3)沿革
1966 年:ソビエト政府による20 万地質図作成の際に石英脈が発見される。
1995 年:政府主導の本格的探鉱プログラム開始。沢砂地化探開始。
1996〜1998 年:マッピング、物理探査(磁力、比抵抗)、トレンチ調査(4 本)、試錐(2孔)。
1999 年:地元のMetall 社がKupol を含むライセンスの入札で、権益を獲得。
2001 年:トレンチ(31本)、試錐(26孔)、石英脈の詳細マッピング
2002 年:Bema社が権益の75%を獲得し、プロジェクトに参入。
2003 年〜:探鉱を継続、土壌地化探(7.8q2)、Infill試錐を実施。
2005 年:鉱量計算およびF/S が完了。
2006 年5 月:建設開始。
2007 年2 月:Kinross 社がBema 社を買収。
2008 年5 月:生産開始
2011 年4 月:Kinross 社が残りの権益25%を地元企業から購入し、権益100%となる。

4)地質概要
鉱床は白亜紀のオホーツク-チュコートベルトに位置しており、母岩は東側に緩く傾斜した安山岩〜玄武岩質安山岩溶岩および火山砕屑物です。
Kupol鉱床は低硫化型の浅熱水性Au-Ag鉱脈であり、鉱脈の走向は南北方向です。
金銀は銀黒部に富んでいる特徴があります。
鉱化帯は南から、South Extension、South、Big Bend、Central、North、North Extention の6 つに分かれており、その延長は南北合計3.9qに及びます。
その内、Big Bendが最も品位が高く、ボナンザとなっています。

5)岩相
Kupol鉱床の胚胎母岩は主に安山岩質の組成を持つ溶岩流や砕屑物からなります。安山岩質溶岩流は連続性がある塊状のユニットで、1〜4 oの自形長石斑晶が40〜60%を占め、斜方輝石、黒雲母を含みます。
安山岩質砕屑物は、火山灰質凝灰岩や火山礫凝灰岩などであり、層厚は概して5〜20mです。
流紋岩質ダイクは上述の岩相を貫く非顕晶質岩なダイクであり、流動縞状構造が認められることもあります。ダイクの走向はN〜NE で、傾斜はほぼ垂直に近く、その厚さは最大70mに達します。

Kupol鉱床地質平面図.jpg
図. Kupol鉱床地質平面図(Henderson,2011)

6)鉱脈
鉱脈は南北走向を持ち、傾斜は東に75〜90°です。脈の内部には角礫化が認められます。硫化物に富む(2〜7%)脈はボナンザとなっていて、銀硫塩鉱物が濃集した“銀黒”が認められます。
また櫛歯状の石英(アメジスト)や葉片状方解石を置換した石英なども認められています。
石英脈についてログの記載などに基づき、以下の産状が報告されています。
@塊状鉱脈
塊状からザラメ状の細粒石英からなる脈であり、概して炭酸塩に富む低温の後期ステージの産物。脈の中心部には櫛歯状のアメジストが認められることがある。
Aコロフォーム状〜累被状鉱脈
石英+硫化物/硫塩鉱物からなる銀黒と細粒石英とのリズミカルなバンドが発達する。コッケイド(輪状)構造、格子構造も認められる。
B角礫脈
角礫した石英脈からなり、基質には岩粉、硫化物、硫化物に富む石英などの異なる角礫タイプがある。
Cストックワーク状
主要鉱脈の上盤側および下盤側に発達しており、切り合い関係が認められる細脈の幅は10cm 以下である。一方、ストックワークに似るが、切り合い関係が認められない細脈群はシート状鉱条と呼ばれている。Kupol 鉱山では石英脈が10vol%以上占める産状をストックワーク/シート状鉱条と呼んでおり、その幅は最大55mに達する。

鉱化の中心であるBig Bend Zoneでは、鉱脈の走向は575mであり、北端は流紋岩質ダイク、南端は断層によって切られています。
脈幅は1〜22mで平均は4.85mです。
低品位のストックワーク/シート状鉱条を含めると幅は30mに達します。ただし鉱脈は中山を含むことがあります。
Big Bend Zone 91277 N の地質断面図.jpg
図.Big Bend Zone 91277 N の地質断面図(Henderson,2011)

7)変質
鉱床の変質は広域にはプロピライト変質であり、鉱床中心部に近づくにつれ、珪化、粘土化、ポタシック変質が強くなります。
特に鉱床の浅部では粘土化変質が卓越します。
プロピライト変質は緑泥石-方解石+セリサイト+黄鉄鉱+緑簾石からなり、鉱脈から400m以内の母岩で認められ、特に上盤側で発達しています。
粘土化変質は裂罅充填の炭酸塩鉱物と鉱染状黄鉄鉱を随伴し、特に凝灰岩質母岩で発達しています。
また鉱床北側では高度粘土化変質が認められます。
南側では硫酸塩鉱物に富んだ粘土変質が認められ、スメクタイト-カオリナイトが卓越しています。
珪化変質は概して弱いですが、ヴァギーシリカが認められることもあります。
脈際では珪化、氷長石、珪化変質が上盤側/下盤側の火山岩類に認められ、珪化は局所的に脈から40mに達することもあります。
地表付近では珪化-氷長石化(ポタシック変質)が卓越するようになります。

8)鉱化
Au-Ag品位は地表下250〜350mが最も品位が高いことが判明しています。
最も深い試錐でも銀黒は認められており、深部はOpenとされています。
地表での各ステージの切り合い関係から、本鉱床のステージは5つのステージに分かれています。
StageT:銀黒を含むコロフォーム状・累被構造状石英-氷長石
StageU:暗色の石英フラグメント、硫塩鉱物に富む基質を持つ石英-硫塩鉱物角礫
StageV:クリーム色〜黄色を呈する塊状石英±鉄明礬石からなる石英-鉄明礬石角礫
StageW:鉱脈の中心部に向かって最大4mに達するバンドを構成する塊状白色石英
StageX:晶洞を充填する櫛歯状のアメジスト

このうちAu-Ag品位が高いのはStageTとUです。
主要Au-Ag鉱石鉱物は、エレクトラム、含銀四面銅鉱、針銀鉱、ステファン鉱、濃紅銀鉱であり、若干ですがナウマン鉱も認められます。
他の鉱物として、黄鉄鉱、白鉄鉱、黄銅鉱、硫砒鉄鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、安四面銅鉱が産します。
ビジブルゴールドがしばしば確認されますが、そのサイズは3oを超えることはありません。
カオリナイト、イライト、スメクタイト、モンモリロナイトが主要な粘土鉱物であり、鉱床の上部では鉄明礬石、石膏を伴います。
地表下25〜40mまでは鉱石は酸化しており、割れ目沿いでは最大地下300mまで酸化が認められます。
酸化帯では硫砒鉄鉱の2 次鉱物としてスコロド石が認められることがあります。
流体包有物の均質化温度は160〜260℃を示します。鉱石中のAu:Ag 比は1:12となっています。

9)鉱量
2008年5月の生産開始から2014年までの7年間で8.13Mt@15.2g/tAu,190g/tAgの鉱石が採掘されました。
2014年12月末時点の可採鉱量(Proven&Probable)は7.62Mt@8.53g/tAu,110g/tAgとなっています(Sims,2015)。

10)衛星鉱体の探鉱
Kupol鉱床の周辺にも、複数の含金石英脈の存在が知られていて、Kinross社はこれまでマッピング、土壌地化探や試錐探鉱などの探鉱を積極的に推進してきました。特にKupol鉱床から東に4kmにあるMoroshka鉱床で大きな成果があり、2015年にPre-F/Sが完了しました。Moroshka鉱床では2016年も探鉱を継続し、2018年ごろの採掘開始が計画されています。

引用文献
Henderson R.D.(2011):Kupol Mine, Russian Federation, NI 43-101 Technical Report.,
Prepeard for Kinross Gold Corporation Report, p147.
Sims J.(2015):Kupol Mine,and Dvoinoye Mine Russian Federation National Instrument 43-101 Technical Report.Prepeard for Kinross Gold Corporation Report, p146.
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チュクチ自治管区の金鉱床(Klen鉱床)

Klen鉱床はチュクチ自治管区第2の都市Bilibinoより南西250kmに位置する金鉱床です。
Klen鉱床位置図.png
図.Klen 鉱床の位置図(Highland Gold Mining 社Website)

鉱床はNWトレンドを持った数百m〜1300mに達する炭酸塩鉱物-石英脈からなります。
鉱脈は鉱染状の黄鉄鉱、黄銅鉱、硫砒鉄鉱、自然金、輝銀鉱、銀四面銅鉱を含みます。
母岩の白亜紀の火山岩にはプロピライト化、珪化、セリサイト化が認められます。

Highland Gold Miningが2012年に本鉱床の権益を獲得しました。
埋蔵鉱量(Indicated+Inferred)は3.87Mt@5.04g/tAu,12.92g/tAg となっています。

表.Klen 鉱床の鉱量(Highland Gold Mining 社Website)
Klen鉱床の埋蔵鉱量.png

Highland Gold Miningはオープンピットによる開発を検討しています。
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2016年05月27日

チュクチ自治管区の金鉱床(Vesenny鉱床)

Vesenny鉱床はPeschanka鉱床より南南東約12 qに位置する浅熱水性金銀鉱床です。
この地区はかつてBaim川の砂金が着目された場所です。1965年の春に村が設立され、ロシア語で“春”を意味するVesenny村と名づけられました。
その後、山金が発見され、村には鉱山労働者などが集まり、村には学校や病院、ホテル、銀行なども造られました。
1982年のVesenny村(Wikipedia).jpg
図.1982年のVesenny村(Wikipedia)

Vesenny鉱床は炭酸塩鉱物-石英脈、変質した細脈、鉱化を受けた角礫岩からなります。
鉱脈はNE およびE-W トレンドの裂罅に規制されていて、それぞれの鉱体は延長150〜500mです。鉱床の母岩はプロピライト変質を受けたジュラ紀後期の粗面安山岩とそれを貫くジュラ紀後期から白亜紀後期にかけてのダイクです。

脈石鉱物は石英、方解石、菱マンガン鉱であり、氷長石、苦灰石、天青石、石膏を伴います。
鉱石鉱物は閃亜鉛鉱、方鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱、四面銅鉱、車骨鉱、エレクトラムでであり、少量の銀硫塩鉱物、黄錫鉱、マチルダ鉱を伴います。
Vesenny鉱床は中規模とされ、品位は3.6g/tAu、35g/tAg となっていました(Volkov et al.,2006)。

表.Baim(Baimsky) 地区の鉱床の平均品位(Volkov et al.,2006) .
Baim地区の鉱床の平均品位.png

しかし、1998年に鉱山は閉山となりVesenny村も廃村になりました。
現在は、Millhouse Capitalという投資会社の現地子会社GDK Baimskayaがこの地区の2033年までの探鉱ライセンスを所有しています。

引用文献
Volkov A.V., Savva N.E., Sidorov A.A., Egorov V.N., Sharavalov V.S., Prokofev V.Y., and Kolova E.E.(2006): Spatial distribution and formation conditions of Au-bearing porphyry Cu-Mo deposits in the Northeast of Russia., Geology of Ore Deposits, Volume 48, Number 6, 448-472.
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2016年05月25日

チュクチ自治管区の銅・金鉱床(Peschanka鉱床)

Peschanka鉱床はチュクチ自治管区第二の都市Bilibino 市(人口約5 千人)より南西約250km に位置する銅と金を含む斑岩型鉱床であり、極東ロシア最大の斑岩型鉱床であるとされています。
Peschanka鉱床の鉱石は銅を主体であり、金品位は平均0.32g/tAu と低品位です。
この鉱床は未開発ですが、鉱床規模が大きく、仮に開発されることになれば、産金量はチュクチ自治管区有数の規模となるでしょう。

Peschanka鉱床の発見は1960 年後半であり、その発見意義は、斑岩型銅鉱床のポテンシャルが、それまで銅は不毛と考えられていたロシア極東まで広がった重要な発見であったとされています(Kotlyar、1996)。
鉱床発見の手掛かりとなった土壌サンプリングでは、Cuの地化学アノマリーはバックグラウンド>50ppmCuに対し70〜120ppmCuと低く、他の一般的なポーフィリーと異なりアノマリー値はとても小さい特徴があります。この低いアノマリーの要因として、永久凍土における銅の溶脱などが指摘されています。

Peschanka鉱床では南北に伸長した白亜紀前期の石英モンゾ閃緑岩や花崗閃緑岩ポーフィリーがジュラ紀後期~白亜紀前期の花崗閃緑岩を主体とする母岩を貫いています。
Peschanka 鉱床およびVesennee 鉱床地質図.png
図.Peschanka鉱床の地質図(Noklerberg et al.,2005)

主にCu-Mo 鉱物を伴う硫化物細脈と鉱染が貫入岩側および母岩側に認められます。
変質は典型的なポーフィリーの変質であり、中心部にポタシック変質、フィリック変質が認められ、その外側にはプロピリティックなハロが広がります。ポタシック変質の変質年代は136Ma とされます(Nikolaev et al.,2012)。

鉱石鉱物組み合わせは
(1)フィリック変質を伴う輝水鉛鉱
(2)石英-セリサイト-緑泥石変質を伴う黄鉄鉱, 黄銅鉱
(3)石英-セリサイト変質・黒雲母変質を伴う黄銅鉱, 斑銅鉱, 四面銅鉱
(4)あらゆる変質タイプに伴われる硫化
の4 タイプがあります。

Zvezdov et al.(1993)の報告によると、鉱床の中心部は角礫が分布し、鉱化したモンゾナイトおよび石英モンゾナイトポーフィリーのフラグメントを含み、不毛石英によってセメントされています。
2次富化帯の厚さは数十mを超えません。
Peschanka 鉱床の地質断面図.png
図.Peschanka鉱床の地質断面図(Zvezdov et al.,1993)


鉱量は長らく940Mt@0.51%Cu,0.42g/tAu とされてましたが、深度700mまで試錐探鉱された結果、1,350Mt@0.61%Cu,0.32g/tAu(埋蔵金量432tAu)まで鉱量が増えています(Mining Journal ,2012)。

Peschanka鉱床の所有者は、Millhouse Capitalという投資会社です。
この投資会社はロシアの石油王であり超資産家でもあるロマン・アブラモヴィッチ氏の投資会社です。
同氏は前チュクチ自治管区知事でもあり、イングランドのサッカークラブのチェルシーのオーナーです。
現地子会社であるGDK Baimskaya は、2008 年の競売で本地区の25 年間のライセンスを10.78 億ルーブル(約26 億円)で獲得し、2010 年に約31,000mの試錐キャンペーンを行いました。
2008 年以来、内容は明らかになっていませんが100MUSD を投資したとされます。
Peschanka探鉱キャンプ.png
図.2010 年のPeschanka探鉱現場キャンプの様子(Google Earth, Panoramio より)

新聞報道等ではPeschanka鉱床や周辺鉱床などがあるBaimskaya地区では、GDK BaimskayaのAsset は銅量27Mt、金量1,600tもあるとされています。
2012 年初頭にはロシア最大の金生産会社であるPolyus Gold International が総額500MUSD でのオファーをしましたが、Millhouse は金額が十分ではないとして断っています。
2012 年6 月29 日の現地報道では、ロマン・アブラモヴィッチ氏は取材に対しBHPBilliton 社と交渉中であることを認めましたが、結局はこの話は流れてしまいました。
2016年5月の報道によれば、ロシア最大の産銅会社Norilsk Nickelが、アブラモヴィッチ氏が権益を持つBaimskaya地区の探鉱に参加することに興味を示しています。

引用文献
Kotlyar, B.B.(1996):Geochemical Exploration in the Former Soviet Union., Explore.,vol91,p1-10. April, 1996.
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
Nikolaev Yu.N., Baksheev I.A., Chitali-n A.F., Kal’ko I.A.(2012): The new data of geology,mineralogy, and geochemistry of the Baimka Cu-Au trend, Chukchi peninsula,Russia. Baikal International Conference "Geology of Mineral Deposits", p24-25.
Zvezdov V. S., Migachev I.F.,and Girfanov M.M. (1993): Porphyry copper deposits of the CIS and the models of their formation.,Ore Geology Reviews, 7,p551-549.
Mining Journal (2012): Mining Journal special publication – Russia Far East & Irkutsk, February 2012.
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2016年05月23日

チュクチ自治管区の金鉱床(Kekura鉱床)

Kekura鉱床は、Bilibino市の南約120 qに位置する低硫化型のAu-Ag鉱床で、現在Highland Gold Mining社が探鉱を実施しています。
Kekura鉱床位置図.jpg
図.Kekura鉱床位置図(Highland Gold Mininig社Website)

この地域は元々砂金が着目されていたエリアでした。いわゆる山金に関しては1990年以降に探鉱が開始され、5万および20万地質図作成などを通じ、成果を挙げてきました。
Kekuraのメイン鉱体ではトレンチ調査及び試錐探鉱が実施されました。

Kekura鉱床は白亜紀後期の閃緑岩-モンゾニ閃緑岩-花崗閃緑岩-花崗岩を母岩としています。鉱脈群は走向方向に1q以上、深部方向には350mまで続いているのが確認されています。
鉱化帯の厚さは80m〜120mあります。
鉱石鉱物は2〜3%の硫化物であり、硫砒鉄鉱を伴います。
自然金は単体であり、ビジブルゴールドの大きさは0.5〜1 oが一般的です。
0.01〜0.2oの細粒な金は硫砒鉄鉱に含有されることが多いとのこと。

金品位は2〜3g/tAuから数百g/tAuまで変動があります。2014年12月末時点での埋蔵鉱量はIndicated+Inferredで10.35Mt@8.7g/tAu(カットオフ品位0.8g/tAu)が計上されています(Highland Gold Mininig社Website)。

Highland Gold Mininig社はオープンピットと坑内掘りのコンバイン操業によるKekura鉱床の開発を進めており、2018年より商業生産を開始する予定となっています。
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図.Kekura鉱床の風景(Highland Gold Mininig,2015)

引用文献
Highland Gold Mininig(2015):Operations Overview & Project Update.Presentations. February 2015.p21.
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2016年05月21日

チュクチ自治管区の金鉱床(Karalveem鉱床)

Karalveem鉱床はチュクチ自治管区第2の都市ビリビノ(人口約5千人)の北約20kmに位置する金鉱床です。ビリビノBilibinoという都市名は、1920年代にソビエトの地質技師Yury Bilibin氏がこの地で金を発見したことから、Bilibin氏の名前から付けられました。
現在Karalveem鉱床では、Karalveem社により年間約1.5トンの金生産が行われています。

Karalveem鉱床は数mの幅を持った高傾斜の複数の石英脈からなる金鉱床で、三畳紀の斑レイ岩質シルと砂岩・頁岩との境界部に主に産します。
堆積岩類やシルは、グリーンシスト相を示しNWトレンドの褶曲に強く規制されていて、金鉱体もこの褶曲と断層運動に大きく規制されています。
Karalveem鉱床の地質平面図・断面図.jpg
図.Karalveem鉱床の地質平面図・断面図(Noklerberg et al.,2005)

鉱体付近の母岩では珪化-炭酸塩化のほか、硫化物鉱染も認められます。
鉱脈は95〜97%は石英で構成され、硫砒鉄鉱、灰重石、曹長石、アンケライト、白雲母などを随伴します。
また方解石、苦灰石、カリ雲母、方鉛鉱、自然金(ファインネス:780-812)、トパーズ、アクアマリン、閃亜鉛鉱、黄鉄鉱および磁硫鉄鉱が広く分布します。

自然金は主に粗粒石英や硫砒鉄鉱を切る青みを帯びた灰色石英細脈中に主に産します。地表付近では石英脈は晶洞を伴い、結晶が発達した石英が認められることもあります。粗粒の自然金は、樹枝状のものは稀で、塊状ものが最大1 pに達することがあるのがこの鉱床の特徴とされています。
一方、深部では金粒は細粒となり、硫砒鉄鉱中に点在するのが一般的な産状となります。

引用文献
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
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2016年05月15日

チュクチ自治管区の金鉱床(Dvoinoye鉱床)

Dvoinoye鉱床は、2010 年にカナダのKinross社が権益100%を獲得した浅熱水性金銀鉱床です。カムチャッカ半島よりさらに北の北極圏に鉱床は位置しています。本鉱床の近傍にはVodorazdelnayaと呼ばれる鉱徴地もあります。

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図.Dvoinoye鉱床位置図(Henderson,2011)

自然環境の大変厳しいところに位置している鉱山のうちの一つです。

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図.Dvoinoye鉱山のトラック(Kinross websiteより)

Dvoinoye鉱床では石英脈、炭酸塩-石英脈、硫化物-石英脈が珪化や硫化物を伴う角礫ゾーンに認められます。鉱脈は自然金、黄鉄鉱、黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、錫石、チタン鉄鉱および磁鉄鉱を含みます。鉱脈の方向はE-W 方向が卓越します。
ほとんどの鉱体は白亜紀前期の花崗岩体に隣接したデボン紀の砂岩や頁岩中に胚胎します。金を含んだ鉱化帯は幅100〜150mで、走向延長は1 qに及びます。
鉱脈中の硫化物の割合は1〜2%程度と低い特徴があります。

2015年12月末日時点での可採鉱量はP&Pで2.265Mt@18.1g/tAu です。
スコーピングスタディは2011 年1月に完了し、坑内掘りによる採掘を2013年10月より開始しました。
2020年までのマインライフを予定しています。
Dvoinoye鉱床で採掘された鉱石は90 q離れた同社のKupol鉱山までトラックで運ばれ、そこで処理されています。
Dvoinoye-mining.jpg
図.Dvoinoye鉱床での採掘(Kinross websiteより)

引用文献
Henderson R.D.(2011):Kupol Mine, Russian Federation, NI 43-101 Technical Report.,
Prepeard for Kinross Gold Corporation Report, p147.
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2016年05月13日

チュクチ自治管区の金鉱床(Mayskoe鉱床)

チュクチ自治管区の金鉱床のトップバッターとしてMayskoe鉱床(またはMaiskoe)を説明します。Mayskoe鉱床は北極海に面したPevek より内陸へ180qのところに位置しています。

Mayskoe鉱床位置図.png
図.Mayskoe鉱床位置図(Polymetal Internation Plc website)

この鉱床は1972 年に発見され、1974 年〜1986 年にかけて精力的に探鉱されました。2004 年にはHighland Gold 社が競売により鉱区を取得し、2005 年から2008 年にインフラ整備を行いました。2009 年には現在のオーナーであるPolymetal International 社が権益を購入し、2010 年にフィジビリティスタディF/S を完了させました。坑内掘りによる生産は2011 年に開始されました。

鉱床はN-S 方向の直線状シアゾーンに関連し、様々な走向傾斜を持ちます。
鉱化は細脈状帯と鉱染状帯からなり、含金黄鉄鉱と硫砒鉄鉱を含みます。母岩は砂岩、頁岩などです。堆積岩は石英-長石ポーフィリー、花崗岩、花崗閃長質ポーフィリーに貫かれています。

Mayskoe地質平面図.png
図.Mayskoe鉱床の地質平面図・断面図(Noklerberg et al.,2005)

鉱石は主として鉱染状で高品位の金が針状の硫砒鉄鉱や砒素に富む黄鉄鉱に含まれています。後期の石英-輝安鉱±自然砒の鉱化ステージも広く分布します。稀に輝水鉛鉱-石英脈、レアメタル-硫化物-石英脈なども産します。

鉱脈はこれまで300 条以上確認されていますが、鉱量が計上されているのは46 条でです。鉱脈の平均脈幅は0.8〜5.2m、酸化帯は地表から深度300mまで続いています。

可採鉱量(Proved & Probable)は2015年1 月1 日時点で6.45Mt@8.5g/tAu です。2014 年の坑内掘りによる鉱石採掘量の実績は653Kt@8.7g/tAu でした。
Mayskoe鉱床では、金が黄鉄鉱および硫砒鉄鉱に含まれるため、通常のシアンリーチングには向いていません。

そのため山元で浮選を行い、金品位を70〜100g/tAu に高めた硫化精鉱を生産しています。含金精鉱はPevek まで陸送され、その後、約4,800 qの海運によりハバロフスク地方のNikolaesvk-on-Amurまで運ばれます。そこから525 q離れた同社のAmursk POX hubプラントまで運ばれ、処理されます。

引用文献
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
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2016年05月10日

チュクチ自治管区の金鉱床(概要)

これからチュクチ自治管区の金鉱床を紹介していきます。チュクチ自治管区はカムチャッカ半島よりさらに北にあり、極東の中の極東とも言える地方です。

チュクチ自治管区位置図.jpg
図.チュクチ自治管区の位置図

チュクチ自治管区の面積は73万km2であり、日本のほぼ2倍弱。しかし人口は約5万人と極めて少なく、首府のアナデイリも人口約1万人の小さな街です。気候は冬の寒さは極めて厳しく、夏は短いです。
チュクチ自治管区の主な産業は鉱業(金、錫、石油、石炭)と水産などです。交通は隣接する州と陸路では繋がっていません。

チュクチ自治管区は、ベーリング海を挟んでアラスカの反対側にあり、地質的にもアラスカに似ていると言われています。そのためでしょうか、人口密度が極めて低い辺鄙な土地であるにもかかわらず、ソビエト時代から国家として精力的に調査がなされ、地質図が作成されています。
鉱床リストも整備され、Au-Ag鉱床は砂金、山金合わせて50鉱床がリストアップされています。

チュクチ自治管区のAu-Ag鉱産図.jpg
図.チュクチ自治管区のAu-Ag鉱産図

チュクチ自治管区鉱産図凡例.jpg
図.凡例

チュクチ自治管区には、外資が操業している金鉱山があります。Kinrossが操業している浅熱水性鉱脈型のKupol鉱床です。Kupol鉱床などを中心にチュクチ自治管区の金鉱床を紹介していきます。

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