2016年08月30日

カムチャッカ地方の銅鉱床(Tymlat鉱床)

2006年1月にNorilsk Nickel社はRio Tinto社と南東シベリア〜極東地域の探鉱を行うためにNorilsk社51%、Rio Tinto社49%の比率でモスクワに子会社RioNor Exploration社を設立しました。
2008年は極東ロシアにおいてポーフィリー型銅・金鉱床を対象に探鉱を実施しました。Tymlat鉱床はその探鉱案件のうちのひとつです。
カムチャッカ半島の根元、カラギンスキー湾に面したところにトゥイムラトTymlat村があります。この村から約10km内陸にポーフィリー型銅鉱床とされるTymlat鉱床があります。

Tymlat location.png
図.Norilsk Nickel社の案件と、Tymlat探鉱案件の位置図(Norilsk Nickel,2008)

2010年3月の各紙報道によれば、RioNor Exploration社の将来について討議したが、地元の干渉が多いため、Norilsk側は撤退を検討している模様とされていました。
それでもTymlat鉱区における金・銅開発案件については継続することが決定されており、2011年内に1万2,000mの試錐調査が計画されていると報道がありました。
その後、Tymlat鉱区に関する続報はありません。この鉱床に関する詳しい情報は分かりません。

Tymlatの他にも周辺にはTolyatovayam, Asuvayam, Storozhという鉱徴地があります。下図のTymlat鉱床から南西や西に位置する鉱徴地です。
Kamchatka porphyry.png
図.カムチャッカ地方のポーフィリー型銅鉱床位置図(Mihalasky et al.,2010)

引用文献
Norilsk Nickel(2008): Global Industry Leader. Norilsk Nickel, presentation. P17.
Mihalasky et al.(2010): Porphyry Copper Assessment of Northeast Asia−Far East Russia and Northeasternmost China. U.S. Department of the Interior U.S. Geological Survey.
Scientific Investigations Report 2010–5090–W.p118.
ラベル: カムチャッカ
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2016年08月24日

カムチャッカ地方の銅鉱床(Kirganik鉱床)

ペトロパブロフスク-カムチャッキーより北に250kmにあるKirganik鉱床(Kirganikskoe)を紹介します。

Kamchatka porphyry.png
図.カムチャッカ地方のポーフィリー型銅鉱床位置図(Mihalasky et al.,2010)

Kirganik鉱床は鉱染状鉱石とCu-Au 細脈状からなる銅のポーフィリー型鉱床で、鉱床は標高1700m以上の急峻な山地にあります。
Kirganik鉱床の地質平面・断面図を下図に示します。

Kirganik鉱床地質図.png
図 .Kirganik 鉱床平面・断面地質図(Zvezdov,1997)

ポーフィリー鉱床は母岩の白亜紀後期珪質火山岩類に貫入した厚さ100〜300m の形状を示し、延長は約1,200mあります。
主要鉱物は黄鉄鉱、黄銅鉱、磁鉄鉱、斑銅鉱、輝銅鉱、赤鉄鉱です。
高品位銅鉱は黒雲母変質、カリ長石変質を受けています。
また1%Cu 以上を示す高品位鉱の輝銅鉱-黄銅鉱-斑銅鉱を含む鉱石ではAuが含まれています。

カムチャッカ研究会(2000)によると、本鉱床は1950年代に鉱化露頭が発見され、トレンチ調査や浅所の試錐探鉱が実施されました。
1970年代には、地化学探査や物理探査が行われたほか、30を超えるトレンチ調査、試錐22孔が実施されました。
鉱業権は探鉱採掘権としてBHPが75%、Kamchatka Geological Committeeが25%のJVが所有していたとのこと。
鉱量は約250Mt@0.34%Cu,0.13g/tAuとされています。

本鉱床の北西約10kmにはKhimと呼ばれるCu-Au 鉱徴地があります。北数kmにはSukhoe(Icha)と呼ばれる鉱徴地、東数kmにはLazurnyと呼ばれる鉱徴地があります。
カムチャッカ中央部の鉱床群.png
図 .カムチャッカ中央部の鉱床群

引用文献
Mihalasky et al.(2010): Porphyry Copper Assessment of Northeast Asia−Far East Russia and Northeasternmost China. U.S. Department of the Interior U.S. Geological Survey.
Scientific Investigations Report 2010–5090–W.p118.
Zvezdov V. S.(1997): Geology and Genesis of the Kirganik gold-copper Deposit in Kamchatka. Otechestv. Geol. Vol.5, p13-17(in Russian).
カムチャッカ研究会(2000):カムチャッカ研究会平成12 年度現地視察団現地視察報告書「鉱物資源セミナー」.平成12 年10 月.


ラベル:カムチャッカ
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2016年08月21日

ロシアのレアアース生産量は世界何位?

不定期にお伝えしているロシアの資源ランキング。今回はレアアースを紹介します。
アメリカ地質調査所のデータから、2014年のレアアースの産出量を見てみましょう。
レアアース生産量ランキング表.png
レアアース生産量ランキング図.png
*生産量トン数はレアアース酸化物(REO)としてのトン数
*レアアーストン数はランタノイドとイットリウムを含む。スカンジウムは含まない。


2014年のレアアース生産量世界第一位は中国で、世界シェアの85%を占めています。ロシアの生産量は2,500tで、これは世界第4位でした。
2010年に尖閣諸島で起きた中国漁船の衝突事件をきっかけに、中国はレアアースの輸出規制を行いました。現在でも、中国が生産量のほとんどを占めていることには変わりありません。しかしながら中国にしかレアアースがない訳ではありません。
レアアースの鉱床自体は世界中にあります。しかし中国は安いコストで環境を顧みずに開発を進めるために、他の国では高品位鉱床や開発しやすい環境下の鉱床でしか生産ができないのです。

レアアースの埋蔵量でみると、ロシアは世界第2位の埋蔵量を占めています。
レアアース埋蔵量ランキング表.png
*USGS(2016)のロシア埋蔵量はNAとなっているため、木原(2013)による埋蔵量を使用。
*その他の国々の埋蔵量はUSGS(2016)のOther countriesの埋蔵量から木原(2013)のロシア埋蔵量を引いた数字。


ロシアで商業的にレアアースを採掘しているのはムルマンスク州のロヴォゼロLovozero鉱床です。
オペレーターであるLovozero Mining and Concentrating CompanyはロパライトLoparite精鉱を生産しています。
ロパライトは(Ce,Na,Ca)(Ti,Nb)O3の化学式を持つレアアースを含んだ灰チタン石グループの酸化鉱物です。
ロパライト精鉱はペルミ地方のSolikamskにあるプラントに運ばれ、ここでレアアース複合炭酸塩となります。
ロシア国内にはまだレアアースの分離・製錬設備がないため、中間生成物であるレアアース複合炭酸塩はほぼ全量輸出されます。

ロシアの主なレアアース鉱床はムルマンスク州やイルクーツク州に多くあります。
ロシアのレアアース鉱床図.png
図.ロシアの主なレアアース鉱床(大木、2011)

ロシアのレアアース鉱床はアパタイト鉱石タイプが多く、酸化物ΣREOの平均品位は0.4%以下で、他の国の開発中の鉱床に比べ低品位とされています(木原,2013)。

ロシアのレアアース生産量は世界何位?
(答え)2014年は世界4位(シェア2.0%)。
レアアースの生産は中国が大きなシェアを占める。
埋蔵量ではロシアは中国に次ぐ第2位。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 MOLYBDENUM.
木原栄治(2013):ロシア等における鉱業の現状.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構平成25年度第7回金属資源関連成果発表会会議資料.p23.
大木雅文(2011):ロシア・CIS レアアースビジネス情勢.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構平成23年度第9回金属資源関連成果発表会会議資料.p3.
ラベル:ランキング
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2016年08月19日

カムチャッカ地方の銅鉱床(Karagin Group鉱床)

カムチャッカ地方の東側、ベーリング海のカラギンスキー湾にカラギンスキー島Карагинский островがあります。
Karaginsky island.jpg
図. カラギンスキー島の位置(Google Earth)

この島は無人島ですが、北東部に銅-ニッケルの鉱床があります。
いくつかの鉱徴地(Монолитное、Маркеловское、железное)がありそれらをまとめてKaragin Group鉱床と呼ばれています。

白亜紀後期の蛇紋岩化した橄欖岩や蛇紋岩からなる鉱床で、スピライト-シルト岩層と超塩基性岩との接触部で品位が高いそうで、最大5%Cu まで達します。
鉱体は深度200mまで続く垂直なレンズ状の形状を示し、その延長は170m、厚さは25mです。
超塩基性岩中の鉱物組み合わせは
(1)黄銅鉱-キューバ鉱-磁硫鉄鉱でペントランド鉱を随伴
(2)黄銅鉱-磁鉄鉱で磁硫鉄鉱、ペントランド鉱を随伴
(3)磁鉄鉱-黄銅鉱-閃亜鉛鉱
の3タイプがあります。
スピライト-シルト岩層中にも少量ですが磁鉄鉱、磁硫鉄鉱、ペントランド鉱が含まれます。

鉱石の平均品位は3〜5%Cu, 0.5g/tAu,2〜5g/t Ag,0.5%Zn とされます。
カラギンスキー島はラムサール条約に登録されている島で、夏には花が咲き乱れるそうです。
この銅鉱床が開発されることはないと思います。
ラベル:カムチャッカ
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2016年08月13日

カムチャッカ地方の銅鉱床(概要)

極東ロシアの地下資源の紹介のコーナーは、カムチャッカ地方になります。
カムチャッカ地方はカムチャッカ半島に位置する行政単位の一つで、その首府は太平洋に面した不凍港であるペトロパブロフスク・カムチャッキーです。
カムチャッカ地方位置図.jpg
図.カムチャッカ地方の位置図

カムチャッカ地方は面積が47万km2もあり、実は日本よりも広い面積を有しています。一方、人口はわずか約36万で、人口密度は極めて低いです。
カムチャッカ地方の主な産業は漁業、林業、観光業などですが、近年、金鉱山による鉱業が盛んになってきました。
銅鉱床としては大規模なものは知られていません。

ロシア地質調査研究所VSEGEIのベースメタルの鉱産図には16鉱床がリストアップされています。

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図.カムチャッカ地方のベースメタル鉱産図(VSEGEI)

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図.カムチャッカ地方のベースメタル鉱産図の凡例拡大

凡例は上からニッケルNi,銅Cu,タンタル-ニオブTa-Nb、モリブデンMoとなっています。ニッケルは小規模鉱床、その他の金属は鉱徴地となっています。
銅鉱床は主に2ヶ所のエリアに分布しています。ひとつはベーリング海にある無人島カラギンスキー島にKaragan Groupと呼ばれる鉱床群があります。
もうひとつはポーフィリー銅(+モリブデン)鉱床と角
閃石岩質/橄欖岩質/斑レイ岩質Cu-Ni鉱床がカムチャッカ半島の中央部から南部にかけて分布します。

以降の記事で、代表的なカムチャッカ地方の銅(+ニッケル)鉱床について紹介していきます。
ラベル:カムチャッカ
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2016年08月07日

シュムシュ島の多金属鉱床(Koshkina鉱床)

シュムシュ島(占守島)は千島列島北東端の島で、ロシア語でも同じくシュムシュ島と呼ばれています。
シュムシュ島では小規模な銅-鉛-亜鉛の鉱徴地が知られています。

コシュキナヤ川の谷にはKoshkina Cu-Pb-Zn多金属脈鉱床があります。花崗閃緑岩や閃緑岩に隣接した熱水変質岩中に胚胎する走向200mの鉱脈からなっています。
ロシア地質調査研究所VSEGEIの鉱産図(下図)の@がKoshkina鉱床です。
シュムシュ島地下資源.png
図.シュムシュ島のKoshkina 鉱床の位置図(VSEGEI,2001)

鉱脈は石英-電気石脈、石英-緑泥石-セリサイト脈、緑泥石-炭酸塩脈であり、鉱石鉱物は黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、輝安鉱、鶏冠石などを含みます(Noklerberg et al.,2005)。鉱床サイズは小規模とされ、品位は不明です。

1995年にロシア科学アカデミー極東支部のPetrachenko氏により、千島列島の鉱化作用についての論文が公表されています。その中でシュムシュ島/パラムシル島の鉱床図が示されています。シュムシュ島の鉱床について北東部のコシュキナヤ地区にCu,Mo,Zn,Sb,Asなどの鉱床が示されています。

Paramushir島の鉱産図.jpg
図.シュムシュ島/パラムシルの鉱産図(Petrachenko,1995)

現在占守島の住民は灯台守とその家族だけで民間人はいません。また島への上陸はロシア連邦軍の許可が必要だそうです。

引用文献
ВСЕГЕИ(2001):M−56−XII,XVII,XVIII,XVIV; M−57−VII,XIII; M−56−XXIII,XXIX,M−56-XXVIII,XXIX,XXXIV,XXXV,M−56−XXXIII,XXXIV;L-56-III,IV,L-56-II,III,VII,VIII,IX Геологическая карта российской федерации. Серия Курильская.
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
Petrachenko E.D.(1995):Mineralization of the Kuril Island Arc., Resource Geology Special Issue, No.18,271-276.
ラベル:千島列島
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2016年08月03日

パラムシル島の多金属鉱床

ソ連は1954年から長期調査研究計画に基づき、千島列島の多金属鉱床の調査を実施しました。その結果、1961-1962年に国後島でヴァレンチナ鉱床が発見されました。この発見により、探査の対象はウルップ島(得撫島)、パラムシル島(幌筵島)まで拡大されました。
これまでのところ、ヴァレンチナ鉱床を上回るものは見つかっていませんが、パラムシル島でも多金属鉱床が発見されています。特にリフォーヴィ鉱床と、ラードゥガ鉱床で調査が行われました。

リフォーヴィRifovoe鉱床はRifovoe岬の南側太平洋地区にある亜鉛-鉛鉱床です。
南2.5q付近と南1q付近の2地区に分かれ、それぞれの延長は300m前後、幅は数10m程度です。
鉱体は強い熱水変質を受けた厚さ数m程度の変質帯中に存在する鉱染鉱体〜細脈群で、鉱石鉱物は閃亜鉛鉱、方鉛鉱、メルニコフ鉱、黄銅鉱、黄鉄鉱を主体とし、緻密方鉛鉱-閃亜鉛鉱細脈も認められます。
鉱床規模は小規模とされ、品位は最大35%Zn,17%Pb(岸本,1981)を示す他、Auは最大1.5g/tAu含まれます(Noklerberg et al.,2005)。そのためロシアでは金鉱床として分類される場合もあります。

ラードゥガRaduga鉱床はクルゼンシュテルン岬の南西1.3kmにある亜鉛−鉛鉱床です。鉱床は中新世-鮮新世の火山岩類、凝灰岩類に胚胎し、大量の黄鉄鉱を伴う閃亜鉛鉱・方鉛鉱・黄銅鉱の鉱染体と細脈群からなっています。鉱染体は母岩の幅80m前後の鉱化帯中に、かなり均等に分布し幅1-3cmの開放割れ目中では良型な閃亜鉛鉱・方鉛鉱・黄鉄鉱の結晶が産出しています。

ロシア地質調査研究所VSEGEIの鉱産図(下図)のBがリフォーヴィ鉱床、Fがラードゥガ鉱床です。
パラムシル島地下資源.png
図.パラムシル島の鉱床図(VSEGEI,2001)

さらにパラムシル島の南西にある雲霧山(Carpinsky山)の変質帯発達域でレアメタルであるモリブデンの鉱物が1959年に発見されています。粘土変質とアルーナイト変質を被った安山岩質溶岩流および凝灰岩に微小鱗状の輝水鉛鉱が認められます。しかしながら鉱染状鉱体の規模は100×150mと小さく、Mo品位は0.01%(Noklerberg et al.,2005)ですので、経済的な価値はなさそうです。
また荒川岳(Vernadsky山)の火山岩中でも輝水鉛鉱が発見されています。

1995年にロシア科学アカデミー極東支部のPetrachenko氏により、千島列島の鉱化作用についての論文が公表されています。その中でパラムシル島の鉱床図が示されています。パラムシル島の鉱床について新第三紀の鉱床は●マーク、第四紀の鉱床は▲マークで示されています。モリブデンMoを伴う鉱床はパラムシル島には2ヶ所示されています。
Paramushir島の鉱産図.jpg
図.Paramushir島の鉱産図(Petrachenko,1995)

引用文献
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁、1981 年6 月
ВСЕГЕИ(2001):M−56−XII,XVII,XVIII,XVIV; M−57−VII,XIII; M−56−XXIII,XXIX,M−56-XXVIII,XXIX,XXXIV,XXXV,M−56−XXXIII,XXXIV;L-56-III,IV,L-56-II,III,VII,VIII,IX Геологическая карта российской федерации. Серия Курильская.
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
Petrachenko E.D.(1995):Mineralization of the Kuril Island Arc., Resource Geology Special Issue, No.18,271-276.
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2016年08月02日

オンネコタン島の銅鉱徴地

千島列島北部にあるオンネコタン島(温禰古丹島)は、ロシア語ではオネコタン島 (o.Онекотан)と呼ばれています。

オンネコタン島では島南西部を流れるアンギビАнгиби川河口近くに黄銅鉱の小露頭が見られるだけです。

m-5657-onekotan.jpg
図.オンネコタン島の100万分の一地質図(VSEGEI、1956)

オンネコタン島では銅鉱床はこれまで知られておらず、小規模な鉱徴地があるのみのようです。
またオンネコタン島では砂浜や河口付近の砂層中に、小規模なチタン砂鉄鉱床がありますが、その鉱量は少ないようです(岸本,1981)。


引用文献
VSEGEI(1956)M-56/57 Геологическая карта СССР Масштаб 1:1000000. Северная группа Курильских островов.
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁、1981 年6 月
ラベル:千島列島
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2016年07月27日

シムシル島の銅鉱床

千島列島中部にあるシムシル島(新知島)はロシア語でも島の名前はシムシル(Остров Симушир)となっています。
シムシル島の位置図を示します。シムシル島には銅−多金属鉱床(図中の◎)があります。
千島列島の分布と主要鉱床の位置.jpg
図.千島列島の分布と主要鉱床の位置(石原,1994)

シムシル島北部のドューシュヤナ湾からスレドニー湾にかけて小規模な銅-鉛-亜鉛鉱床であるDushnoe鉱床があります。Dushnoe鉱床は、走向20〜30mの多金属鉱脈からなります。
母岩は中新世後期の火砕岩であり、硫化物(鉱染状の黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、黄鉄鉱)を伴う熱水変質を受けています。

ロシア地質調査研究所VSEGEIから出版されているシムシル島の地質図を下に示します。
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図.シムシル島の20万分の一地質図(VSEGEI,1996)

Dushnoe鉱床周辺を拡大します。ドューシュヤナ湾бух.Душнаяには、ロシアではセカンダリークォーツサイトと呼ばれるいわゆる珪化岩のマークと、鉛Pbの鉱床が記されています。ロシア側の資料ではDushnoe鉱床は鉛Pb鉱床として登録されているようです。

l-56-iiiiiviiviiiix-o-simushir-Dushnoe.jpg
図.Dushnoe鉱床周辺拡大(ドューシュヤナ湾〜マーラヤ湾)

その他、マーラヤ湾бух.Малая沿岸地域にも珪化岩と銅鉱床があります。

引用文献
石原舜三(1994):千島列島における鉱化作用.地質ニュース.480 号、54-59 頁
ВСЕГЕИ(1996):L-55-II,III,VII,VIII,IX Геологическая карта российской федерации. Серия Курильская.
ラベル:千島列島
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2016年07月26日

ウルップ島の銅鉱床

ウルップ島(得撫島)はかつて「宝島」と呼ばれていたことがあります。
1938年(昭和13)11月18日の大阪朝日新聞のウルップ島の記事を抜粋します。

「宝島」の名でよばれている千島列島のウルップ島は政府の期待と注視を浴びて登場、全島これ悉く金だとの話題の謎をつくべくその瀬踏みとして商工省では今夏鉱山局平林技師および札幌鉱山監督局員二名を派遣、同技師らは二ヶ月にわたり無人の島内に乗込みキャンプを張って探鉱にあたったが同島は周囲二十里の大きい島で僅かに沿岸から一里奥の川岸に辿りつき周囲三里余を探鉱したにとどまるが、その鉱石は銅鉱で相当な金を含む豊富な鉱脈があることが確められた、この採取した鉱石は札幌鉱山監督局で分析中であり、まだ平林技師の報告書が完成されていないのでこの宝島についての発表は控えられている
しかし商工省ではこの島の銅金の埋蔵に対して希望を持ち明年度において全島にわたって徹底的調査を行う計画をたてその予算を計上、これが認められれば明年の四、五月から九月末までにかけて長期にわたる大調査隊を送り謎を秘めて眠る資源開発の第一着手たらしめようとしている


戦前よりウルップ島では銅を伴う金鉱脈が知られていたことがわかります。
現在ウルップ島では、サハリンの鉱山会社「クリルゲオ」社によって南西部にあるアインスコエ金鉱床(下図の2)の開発が進められています。ウルップ島は本当に宝島になったといえます。

ウルップ島の地質図および金鉱徴地.jpg
図.ウルップ島アインスコエ金鉱床の位置図(Kirillow et al.,2008)

ウルップ島の南西部では、1932年7月下旬(昭和7年)の第1回ウルップ島地質調査の際に、家間付近において多数の鉱脈露頭の存在を認められ、特に鯨湾沿岸にて優良な含金銀鉱石を採取されました(石原,1994)。
翌年以降、夏のシーズンに調査を進めた結果、家間湾から鯨湾にかけて3kmにわたって、多数の鉱脈あるいは鉱徴が確認されました。発見された鉱脈は第1号から第33号まで番号が振られました。
鉱床は海岸線にほぼ直行するN30-60Wの走向を持つ鉱脈からなり、脈幅は一般に1m以下、平均して50cm程度でした。
母岩は熱水変質を受けた珪化岩や珪化-セリサイト変質を受けた火山岩などで、概して広範囲に変質作用を被ります。
鉱石鉱物は黄鉄鉱、黄銅鉱を主体とし、少量の閃亜鉛鉱、方鉛鉱を伴います。また重晶石の板状結晶を第4号、第27号鉱脈に認めることが出来ます。

ロシア側はこのウルップ島の鉱床はユージュヌィ鉱床またはTetyaevskoe鉱床と呼んでいます。
鉱脈の規模は小さく、品位は鉱脈中で変動が大きいですが、0.12〜7.8%Cu、0.07〜2.7%Pb、0.06〜2.8%Znです(岸本,1981)。ソ連によって出版された25万分の一地質図にも鉱床の位置が示されています。

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図.ウルップ島南西部の地質図(Желубовский,1966)

ウルップ島南西部を拡大します。オホーツク海の鷲ノ巣湾(M.Tetyaeva)にある多金属鉱床のマーク(18番)が戦前に日本により調査された鉱床です。
ウルップ島地質図拡大.jpg
図.ウルップ島南西部の地質図拡大

またウルップ島には中央〜北部にかけて以下の銅鉱床があります(岸本,1981)。
・中部の太平洋側にはドヴォイノイ鉱床(4条の黄銅鉱-方鉛鉱-閃亜鉛鉱-石英脈)
・北端部の東雲原半島にツマーン鉱床(閃亜鉛鉱-黄銅鉱鉱染鉱床)
・中部のオホーツク海岸近くにネプロイデシ鉱床(5条の黄銅鉱-輝銅鉱-石英脈)
いずれの鉱床も部分的には比較的高品位ですが、規模が小さく稼行には値しないそうです。

引用文献
Kirillov V. Ye., Antishin V., Pachin A., and Shchepotyev Yu. M.(2008): Gold Potential of Urup Island, Greater Kuril Range. Institute of Tectonic and Geophisics,Khabarovsk, Russia, Science Report (on website).
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁
石原舜三(1994):千島列島における鉱化作用.地質ニュース.480 号、54-59 頁
Желубовский Ю.С.(1966):L-55-XXIV-L-56-XIX Геологическая карта СССР. Серия Курильская.
ラベル:千島列島
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