2016年07月24日

千島列島の銅鉱床(概要)

千島列島は列島全体がKuril鉱床区と呼ばれる、クリル火山孤に位置するAu-Ag浅熱水性鉱床、Cu-Pb-Zn多金属鉱床、Sn-硫化物脈、火山性硫黄鉱床、黒鉱型塊状硫化物鉱床、Mo-ポーフィリー鉱床からなる鉱床区に位置しています。
銅鉱床は主に鉛-亜鉛を伴う多金属鉱床として産します。

千島列島の分布と主要鉱床の位置.jpg
図.千島列島の分布と主要鉱床の位置(石原,1994)

南クリル(北方領土)にも銅鉱床はあります。
国後島にはルルイ(Dokuchaev)鉱床、ヴァレンチナ鉱床があります。
国後島の金属鉱床分布.jpg
図.国後島の金属鉱床分布(岸本,1981)

択捉島には恩根萌(Chistaya Rechika)鉱床、コルブシ鉱床があります。
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図.択捉島の金属鉱床分布(岸本,1981)

国後島や択捉島の銅鉱床を詳しく説明したいのですが、「ロシアの地下資源」というタイトルのブログで、北方領土の資源についてこれ以上説明できません。
北方領土の地下資源については以下の姉妹ブログ「北方領土の地下資源について」にまとめていますので、
詳しく知りたい方は以下のリンクまでお願いします。
http://hoppouryoudonoshigen.seesaa.net/

千島列島の銅鉱床はいずれも小規模なものが多いですが、ウルップ島、シムシル島、パラムシル島、シュムシュ島にもあります。次の記事から各島の銅鉱床を紹介します。

引用文献
石原舜三(1994):千島列島における鉱化作用.地質ニュース.480 号、54-59 頁.
岸本文男(1981):千島列島の金属鉱物資源、地質ニュース、322 号、31-46 頁.
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サハリン島の銅鉱床(Novikovskoe鉱床とRys'e鉱床)

サハリン島は面積7.64万km2を持つ島で、北海道(面積7.81万km)よりもわずかに小さい島です。
サハリン島の東側には、Aniva-Nabil鉱床区と呼ばれるVolcanic Mn鉱床、Volcanic Fe鉱床と共にキプロス型の塊状硫化物銅鉱床が産するベルトがあります。
Aniva-Nabil鉱床区.jpg
図.サハリン島のAniva-Nabil鉱床区と銅鉱床の位置

サハリン州の州都であるユジノサハリンスクから内以東へ約80km、アニバ湾に面したノヴィコヴォNovikovo(日本名:弥満やまん)には、Novikovskoe鉱床があります。Novikovskoe鉱床はキプロス型塊状硫化物鉱床?とされる鉱床で、プロピリティック変質を受けた塩基性火山岩中に硫化物鉱染が認められます。
主要鉱石鉱物は黄銅鉱、黄鉄鉱であり、方鉛鉱、斑銅鉱、四面銅鉱、輝銅鉱、藍銅鉱を随伴します。
母岩は石英-セリサイト-炭酸塩からなる熱水変質を被っています。
鉱染帯の厚さは0.1〜0.7mと小規模とされ、平均品位は1%Cu, 0.1%Pb, 0.1%Znです。
この鉱床はロシア地質調査研究所が出版している地質図にも記載されています。
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図.ロシア地質調査研究所VSEGEI発行の地質図幅「L-54-XVIII」

Novikovo周辺を拡大した地質図を示します。図中の22番(銅鉱床のシンボル)がNovikovskoe鉱床です。
l-54-xviii-karta-Novikovskoe.jpg
図.Novikovo地区の拡大図

またサハリン島中部のテルペニア湾付近にもRys'eと名付けられたキプロス型塊状銅鉱床があります。
厚さ0.1~0.5mのゾーンに黄鉄鉱、黄銅鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、石英、セリサイト、緑泥石を含みます。
母岩は白亜紀前期の火山岩類とチャートです。
Rys'e鉱床は小規模とされ、平均品位は0.5~1.0%Cu, 0.1~0.2%Pb, 0.1~0.2%Znです。
タグ:サハリン
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2016年07月11日

サハリン州の銅鉱床(概要)

極東ロシアの銅資源について、まずは日本に近いサハリン州から説明していきます。
サハリン州は面積約8.7万km、人口約55万人の州で、ロシアでは唯一の島のみで構成される州です。
州都はユジノサハリンスク(人口約19万4千人)です。

サハリン州位置図.jpg
図.サハリン州位置図

サハリンの産業としては、資源エネルギー業(石油・天然ガス・石炭)、漁業・水産加工業、林業の3分野が
挙げられます。資源エネルギーはサハリン島北部オハ地区の豊富な化石燃料資源のおかげもあり、右肩上がりの成長を続けています。

しかし今回説明する銅の資源では、有望なものはこれまで発見されていません。
サハリン州の地質はその地勢からサハリン島とクリル(千島)列島に分けることができます。ロシア地質調査研究所VSEGEIによる地質図をみると、サハリン島の地質は南北に同じ地層が続いています。サハリン島の地質は道北の地質によく似ています。
クリル列島は若い火山島です。一部の島には深成岩がありますが、基本は若い火山岩が配列して分布しています。

サハリン州の地質図VSEGEI.jpg
図.サハリン州の地質図(VSEGEI)

サハリン島にはキプロス型と呼ばれるタイプの銅鉱床があります。
クリル列島には黒鉱型と多金属鉱脈型の銅鉱床があります。
次の記事でサハリン島の銅鉱床を取り上げます。
タグ:サハリン
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2016年07月10日

これがロシアの温泉マーク♨♨♨

経済産業省は2020年のオリンピックに向けて、JISで定めている案内用の図記号を外国人にも分かりやすく改訂をすすめます。
私たち日本人におなじみの温泉マーク♨は、外国人には「温かい料理」に見えるとのこと。
新しいマークでは3人が温泉につかっている構図が候補ですが、温泉関係者より「現行マーク♨は日本の文化の一部になっている」と存続を要望する声がありました。
そのため経済産業省の委員会では国際規格などとの併記で活用を続ける方向で調整することとなったそうです。

新しい温泉マーク案.jpg
図.新しい温泉マークの案

ロシアにもカムチャッカ半島〜クリル列島にかけて多くの天然温泉があります。また冬季オリンピックが開催されたソチでもサナトリーと呼ばれる温泉保養地設備が多くあります。
ロシアで温泉が利用されているのは下の図の2のエリアです。
またカムチャッカ半島〜クリル列島(赤色の3)では、地下の地熱エネルギーを活用して地熱発電所が稼働しています。

Geothermal area of russia.png
図.ロシアの地熱利用エリア(Svalova & Povarov,2015)

私はカムチャッカの温泉に入ったことがありますが、そこは温泉というより、野外の温水プールでした。水着を着たロシア人がプールに飛び込んで泳いでいました。
温泉にしてはぬるい温度、設備はプールそのものでした。

自噴している天然温泉は、ロシアが発行する地図にその位置が記入されていることがあります。
ロシア地質調査研究所VSEGEI発行が発行している20万分の1地質図には、Источники минеральных вод(鉱泉)が記入されています。温度に関する情報がないので、厳密には冷泉なのか温泉なのか区別がつきませんが、この鉱泉の地図マークは以下のようになっており、湯気があるように見えますね。

ロシアの温泉マーク.jpg
図.ロシアの温泉マーク(鉱泉の地図記号)

以下は国後島古釜布(ユジノクリリスク)周辺の地質図の拡大です。図面の下の方にある22番、23番が温泉の位置です。ここでは現在、メンデレーエフスカヤMendeleevskaya 地熱発電所が稼働しています。
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図.地質図幅「L-55-XXXII」古釜布周辺拡大(Желубовский,1964)

ロシアの温泉マークは私にはオタマジャクシにしか見えません。
地熱や温泉などの熱水系の学術的な論文でも温泉マーク(下図の10番)はやはりおたまじゃくしです。

Goryachii plaz.jpg
図.メンデレーエフ火山周辺の地質図と熱水系(Chudaev et al.,2008).

引用文献
Svalova,V., and Povarov, K.(2015):Geothermal Energy Use in Russia. Country Update for 2010-2015.Proceedings World Geothermal Congress 2015. Melbourne, Australia, 19-25 April 2015. p1-5.
Желубовский Ю.С.(1964):L-55-XXXII. Геологическая карта СССР. Серия Курильская.
Chudaev O., Chudaeva V., Sugimori K., Kuno A., and Matsuo M.,(2008): Composition and origin of modern hydrothermal systems of Kuril island arc. Indian.Journal of Marine Sciences.Vol.37(2).pp166-180.
タグ:ロシア
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2016年07月05日

ロシアのおすすめお土産-チャロアイトЧароит

シベリアでしか産出しない美しい鉱物チャロアイトCharoiteを紹介します。チャロ石と呼ばれることもあります。
charoite.jpg
図.チャロアイトの研磨した試料(幅5.5cm)
http://www.mindat.org/photo-203842.html

チャロアイトはラベンダー色を呈した絹糸光沢を持った鉱物で、研磨性が良いことから彫刻用の石材や装飾品として使用されます。

Charoite加工例.jpg
図.チャロアイトの加工例(Solyanik et al.,2008)

シベリアのサハ共和国オリョークミンスク地区を流れるチャラ川で地質調査を行っていた地質学者V.G Dietmar氏によって、1948年にこの紫色の鉱物は初めて記載されました。
しかし彼はこれを新鉱物とは思わず、角閃石の一種であるカミントン閃石と記載しました。
この地で1973年にが再び調査された結果、地質学者Yuri Rogovによりこの紫色の鉱物を含む鉱床が発見され、学術的な研究が行われました。
Rogov氏の奥さんである鉱物学者Vera Rogovaが1977年にカミントン閃石ではなく、新鉱物であることを発見し、1978年に新鉱物チャロアイトとして登録されました(Rogova et al.,1978)。
化学式は
(K,Ba,Sr)(Ca,Na)2[Si4O10](OH,F)・H2Oですが、以下の化学式もRozhdestvenskaya et al.(2010)により提唱されています。
(K,Sr,Ba,Mn)15-16(Ca,Na)32[(Si70(O,OH)180](OH,F)4・nH2O
更に不純物として微量のマンガンが含まれており、このマンガンが紫色の起因であると考えられています。

チャロアイトは世界で唯一シベリアでしか産出せず、鉱床の枯渇が心配されます。そのためサハ共和国政府はチャロアイトの年間採掘量を最大100トンに制限しています。
チャロアイトはロシアで切手のデザインにもなっています。
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図.2000年に発行されたチャロアイトの切手

Wikipediaによるとチャロアイトは世界三大ヒーリングストーンの一つとされるそうです。
モース硬度で5-5.5であり、宝石としてはやや硬度は低く、傷が付きやすいので注意が必要です。
チャロアイト装飾品.jpg
図.チャロアイトの装飾品(Yahoo画像検索結果)

私はパワーストーンをまったく信じませんが、チャロアイトが美しくて希少価値のある鉱物なのは間違いありません。
ロシアのお土産屋さんで板状に研磨されたチャロアイトを見つけて、日本に買って帰りました。
今ではネットショップで簡単にチャロアイトを買うことが出来ますが、皆さんもロシアに行く機会があれば、ロシアのお土産としていかがですか?

引用文献
Solyanik V.A., Pakhomova V.A., Ushkova M.A.,(2008):Charoite - A Champion among Mineralogical Discoveries in the Second Half of the 20th Century.The Journal of the Gemmological Association of Hong Kong.Volume XXIX.p77-80.
Rogova, V.P., Rogov Y.G., Drits V.A., and Kuznetsova N.N. (1978) Charoite - A New Mineral and a New Jewellery Stone. Zap. Vses. Mineral. Obshch., 107, pp 94-100 (in Russian).
Rozhdestvenskaya, I., Mugnaioli E., Czank M., Depmeier W., Kolb U., Reinholdt A. & Weirich T. (2010) The structure of charoite, (K,Sr,Ba,Mn)15-16(Ca,Na)32[(Si70(O,OH)180](OH,F)4.0.nH2O, solved by conventional and automated electron diffraction. Mineralogical Magazine, 74, 159-177.
タグ:ロシア
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2016年07月02日

極東ロシアの銅鉱床(概要)

このブログではロシアの地下資源を紹介していますが、ロシアは広いので先ずは日本に近い極東ロシアの資源を紹介しています。
ここからは銅鉱床の紹介になります。
ロシアは2014年実績で世界第7位の産銅国です。
しかし極東ロシアには稼働している銅鉱山はありません。タングステン鉱山や多金属鉱床の副産物として回収されているにすぎません。

大規模な銅鉱床としては、斑岩型銅鉱床Porphyry Copper depositと堆積性銅鉱床Sediment-hosted Copper depositの二つのタイプがあります。
アメリカ地質調査所USGSによる分布図をみると、極東ロシアには両方のタイプの銅鉱床があることが分かります。
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図.斑岩型銅鉱床と堆積性銅鉱床の分布(USGS)

斑岩型銅鉱床は環太平洋の地域に多いので、極東ロシアにもっとあってもよさそうな気がします。

極東ロシアで始めて斑岩型銅鉱床が発見されたのは、1960年代後半のことです。チュクチ自治管区のBaimsky地区でPeschanka鉱床が発見されたことにより、これまで銅は不毛と考えられた極東地区においても、斑岩型銅鉱床について注目が向けられるようになりました。
Zvezdov et al.(1993) はソビエトの斑岩型銅鉱床ベルトについて報告し、極東地区では4つのベルトについて記述しました。
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図.ソビエトの主なポーフィリーカッパーベルト(Zvezdov et al.,1993)

またVolkov et al.(2006)は、極東ロシアには110ヶ所を超える斑岩型銅-(モリブデン)鉱床があることを報告し、生成年代の異なる9つのベルトを定義しました。これらのベルトは太平洋側ほど生成年代が若い傾向があります。
Volkov et al.,2006.jpg
図.極東ロシアのCu-Moポーフィリーベルトの分布(Volkov et al.,2006)

それではこれから極東ロシアのいろいろな銅鉱床を紹介していきます。

引用文献
Zvezdov V. S., Migachev I.F., Girfanov M.M. (1993):Porphyry copper deposits of the CIS and the models of their formation.,Ore Geology Reviews, 7,p551-549.
Volkov A.V., Savva N.E., Sidorov A.A., Egorov V.N., Sharavalov V.S., Prokofev V.Y., and Kolova E.E.(2006): Spatial distribution and formation conditions of Au-bearing porphyry Cu-Mo deposits in the Northeast of Russia., Geology of Ore Deposits, Volume 48, Number 6, 448-472.
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2016年06月26日

ロシアではチェスはスポーツ?

頭脳を使うボードゲームであるチェスшахматыはロシアで盛んですが、実はロシアではチェスはスポーツに分類されます。
ロシア人にどうしてチェスがスポーツなのか質問しても、知らないНе знаюというそっけない回答が返ってきます。
とにかくチェスはロシアではスポーツなので、TVではスポーツチャンネルでチェスの試合が放送されます。

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ロシアにはカルポフとカスパロフという有名なチェスプレーヤーがいます。
アナトリー・カルポフは1951年生まれのチェスの世界チャンピオンです。カルポフは静かな手を非常に好み、難解な局面を避けようとします。チェスは駒を取り戻すことができないため、間違いに気付いた時には修正できないような捨て駒作戦は立てません。派手な打ち方はせず、急がず慎重に少しずつ優位になる手を打つ名プレーヤーです。

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第15代、第17代公式世界チャンピオン アナトリー・カルポフ(Wikipedia)

ガルリ・カスパロフは1963年アゼルバイジャン生まれの天才チェスプレーで、15年もの間チェスの世界チャンピオンのタイトルを保持し続けた人物です。カスパロフは10歳の時にチェスの学校に入り、英才教育を受けました。1980年の世界ジュニアチェス選手権で優勝し、10代から将来有望な若手として注目を浴びました。
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第16代公式世界チャンピオン ガルリ・カスパロフ(Wikipedia)

1984年のチェス世界選手権で、世界チャンピオンであった王者カルポフに、若き天才プレイヤーとなったカスパロフが挑戦しました。後に伝説の死闘となる勝負は先に6勝した方が勝ちという条件で始まりました。勝負は最初はカルポフが優勢で先に4勝しました。その後17局連続引き分けとなり、第27局でカルポフが勝ち5勝0敗22引き分けとし王手をかけました。
しかしその後カスパロフは引き分けで粘り、ついに第32局でカスパロフが初勝利しました。その後5週間にわたり引き分けが続きましたが、カスパロフは次第に巻き返してきました。
第48局でカルポフ側の5勝3敗40分となったところで、ソ連スポーツ省(やはりチェスはスポーツですね)から圧力がかかり国際チェス連盟は対戦を中止すると発表しました。こうして5カ月に及ぶ名勝負は勝者が決まらないまま幕を閉じました。

1985年の再戦は、伝統的な24局マッチで行われました。第1局からカスパロフが勝利し、最終的にカスパロフが5勝3敗15分で勝利し、当時の史上最年少世界チャンピオンとなりました。
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1985年の世界チャンピオン決定戦(Wikipedia)

カスパロフは1993年まで世界チャンピオンの座を守りましたが、カスパロフからチャンピオンを奪ったのもカルポフでした。

カルポフとカスパロフという名プレーヤーのお陰で、ロシアでのチェス人気は高いです。チェスのルールはそんなに難しくありませんので、たいていのロシア人はチェスができます。
あなたがロシア語を話せなくても、ロシア人とチェスで楽しむことができます。
知っておかなければいけない単語はチェック(王手)にあたるシャフшах、チェックメイト(詰み)にあたるマットматだけです。チェスという単語シャフマティшахматыは、チェック+チェックメイトが合わさってできた単語です。
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2016年06月21日

サハ共和国の金鉱床(Nezhdaninskoye鉱床)

ロシア企業のPolyus Gold社が2006年に権益を獲得した金鉱床であるNezhdaninskoye鉱床を紹介します。Nezhdaninkaと表記されることもあります。
鉱床はヤクーツクの東約480kmに位置しています。

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図.Nezhdaninskoye鉱床位置図(ロシア語版Wikipedia)

1973年から1993年まで一時期採掘され、およそ2百万トン(平均品位7.6g/tAu)の鉱石が採掘されましたが、その後金価格の低迷により閉山となりました。

金を含む鉱石は以下の3箇所に存在します。
(1)最大幅40m、延長5.4kmに及ぶ高傾斜のシアゾーン
(2)幅1.2m、延長200mの石英脈
(3)シアゾーン中のレンズ状石英脈

鉱脈は石英、炭酸塩、硫砒鉄鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、灰重石、セリサイト、曹長石、黄銅鉱、四面銅鉱、輝安鉱、自然金、Pb-Cu硫塩鉱物を含みます。
前期の自然金-黄鉄鉱-硫砒鉄鉱脈と後期の自然金-硫化物-石英脈があります。
母岩は石炭紀からペルム紀の砂岩および頁岩で、主に珪化変質を受けています。
鉱床は深部方向に1,000m以上続くとされ、ボーリングの他、7つのレベルで坑道探鉱が行われています。

Nezhdaninskoye deposit.png
図.Nezhdaninskoye鉱床の風景

この鉱床はロシアでも大規模金鉱床とされ、ロシア語版Wikipediaでは117つの鉱体の内、37つの鉱体で鉱量が評価され、埋蔵金量は680tAuとなっています。

2015年12月にPolymetal International社はPolyus社とNezhdaninskoyeの開発についてJV契約を締結しました。この時の公表された鉱量は123.262Mt@5.13g/tAuであり、埋蔵金量は632tAuとなっています。Polymetal International社が投資をして、フィージビリティ・スタディを完成させれば、権益の50%を獲得してオペレータとなる契約となっています。
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2016年06月19日

ロシアの天然ガス生産量は世界何位?(2015年版)

2016年6月イギリスの石油大手BPはStatistical Review of World Energy 2016(世界エネルギー統計2016)を発表しました。
2015年の国別天然ガス生産量が判明しましたので、2015年版のロシアの天然ガス生産量を説明します。
(→2014年の天然ガス生産量ランキングはこちら
天然ガス生産量ランキング表2015.png天然ガス生産量ランキング図2015.png

かつてはロシアが世界最大の生産国でしたが、2009年にアメリカに抜かされ、現在ロシアは世界2位となっています。アメリカの生産量が急激に増加したのは、シェールガスが商業ベースに乗ったことが大きな理由となっています。
第3位はイランです。イランは2015年にカタールを抜かし第3位になりました。イランは実は世界最大の天然ガス埋蔵量を持っています。ロシアの埋蔵量は世界2位です。
第4位以降はカタール、カナダ、中国、ノルウェー、サウジアラビア、アルジェリア、インドネシアと続きます。

ロシアの天然ガスは主に北極海に面したヤマル半島で産出します。ヤマル半島からヨーロッパの国々にパイプラインで送られていますが、備蓄が効かないパイプライン輸送は末端の需要に大きく左右されやすい特徴があります。
ロシア-欧州天然ガスパイプライン網.jpg
図.ロシアから欧州への天然ガス・パイプライン網(荒井,2014)

2015年のロシアの天然ガス生産量は5,730億m3でしたが、そのうち約3分の1にあたる1,930億m3がパイプラインで輸出されました。2015年の天然ガスの輸出先ランキングは以下です。
1位 ドイツ 452億m3
2位 トルコ 266億m3
3位 イタリア 240億m3
4位 ベラルーシ 168億m3
5位 ベルギー 109億m3
6位 フランス 95億m3
7位 ポーランド 88億m3
8位 ウクライナ 70億m3
9位 ハンガリー 58億m3
10位 カザフスタン 50億m3

一方、日本はロシアから天然ガスを輸入していますが、ロシアと日本の間にはパイプラインがありませんので、天然ガスは積み出し港で液化されLNG(液化天然ガスLiquefied Natural Gas)として専用の船で日本まで運ばれます。

東シベリア・極東ロシアのパイプライン.png
図.東シベリア・極東ロシアのパイプライン(荒井、2014)

2015年のロシアのLNG輸出量は145億m3でしたが、そのうち約8割に当たる115億m3が日本向けでした。日本への天然ガスはサハリン島北部で産出したものがほとんどです。

日本は外国とのパイプラインがないため、天然ガスをLNGで輸入しています。2015年の輸入実績は1,206m3でした。2015年の日本のLNGの輸入先ランキングは以下です。
1位 オーストラリア 250億m3
2位 カタール 219億m3
3位 マレーシア 203億m3
4位 ロシア 115億m3
5位 インドネシア 78億m3
6位 UAE 77億m3
7位 ナイジェリア 65億m3
8位 ブルネイ 59億m3
9位 オマーン 47億m3
10位 パプアニューギニア 30億m3

オーストラリアは2015年実績で世界第14位の天然ガス生産量(498億m3)でしたが、LNGの輸出はほぼ日本向けです。以下に天然ガスの輸送方法(パイプライン・LNG)ごとにわけた輸出のフォロー図を示します。
天然ガスフロー.jpg
図.2015年の天然ガス(パイプライン・LNG)輸出フロー(BP,2016)

ロシアの天然ガス生産量は世界何位?
答え:2015年は世界第2位。

引用文献
BP(2016):Statistical Review of World Energy 2016.
荒井智裕(2014):どこに向かうのかロシア−東方に敢然と流れ出す石油天然ガス−.石油・天然ガスレビュー.2014.9 Vol.48 No.5.p55-67.



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ロシアの原油生産量は世界何位?(2015年版)

2016年6月にイギリスの石油大手BPはStatistical Review of World Energy 2016(世界エネルギー統計2016)を発表しました。それでは2015年の国別原油生産量を見てみましょう。
(→2014年の原油生産量ランキングはこちら

原油生産量ランキング表2015.png
原油生産量ランキング図2015.png
(注)原油生産量は、原油、シェールオイル、オイルサンド、NGLを含み、バイオマス、石炭派生物、天然ガスなどによる液体燃料は除きます。

2015年の原油生産量第1位はアメリカでした。2014年に39年ぶりに1位に返り咲いたアメリカが首位を維持しました。世界生産量の14%を占める12,704バレル/日の生産量で、前年比+8.4%の増となっています。
第2位は前年同様サウジアラビア、ロシアも第3位を維持しました。

アメリカは、「シェール革命」によるシェールオイルの増産が寄与して生産量が毎年増えています。アメリカではこれまで原油を輸出することが禁止されていましたが、生産量が増えすぎた結果、原油在庫が増えるという事象が発生しました。そのためアメリカは40年ぶりに原油の輸出を再開しました。

アメリカやカナダの北米のシェールオイルが着目されていますが、ロシアではシェールからの原油生産はほとんどないとされています。でもシェールオイルは北米の専売特許ではありません。ロシアにも実はシェールオイル・シェールガスはあります。
アメリカエネルギー情報局US Energy Information Administration(EIA)による世界のシェールオイル・シェールガスの分布図を示します。
赤色はシェールオイル・シェールガスの埋蔵量が計算されている盆地です。肌色は存在が確認されているものの、埋蔵量が計算されていない盆地です。
ロシアにも広くシェールオイル・シェールガスが分布しているのがわかります。今後探査が進めば埋蔵量も増えてくるでしょう。ただしロシアの場合、コストの安い油田がありますので、わざわざコストが高くつくシェールオイルを現時点で活用する必要性があまりありません。
シェールガスシェールオイル分布.jpg
図.世界のシェールオイル・シェールガス分布図(EIA website)

世界第4位原油生産量はカナダ、第5位は中国となりました。第6位のイラクは前年8位より順位を上げました。第10位にはベネズエラが入りましたが、実はベネズエラは現在、世界最大の原油埋蔵量を持っています。ベネズエラのヘビーオイル(超重質油)も埋蔵量に加算されるようになったため、10年前の2005年末に比べ3.75倍に埋蔵量が増えました。

最後に日本とロシアの原油輸入・輸出状況をBP(2016)から説明します。
日本は2015年に1,678万トンの原油を輸入しました。その内、83.2%にあたる1,397万トンは中東の国々からの輸入です。ロシアからの原油輸入量は142万トンで、日本の輸入量の8.5%でした。
ロシアは2015年に2,547万トンの原油を輸出しましたが、ヨーロッパ向けが62.2%の1,585万トンでした。日本への輸出量は142万トンですので、ロシアの原油輸出量の5.6%は日本向けです。

ロシアの原油生産量は世界何位?
答え:2015年は世界3位。

引用文献
BP(2016):BP Statistical Review of World Energy June 2016
posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 04:05| Comment(0) | 生産量国別ランキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする