2016年06月18日

サハ共和国の金鉱床(Tabornoe鉱床とGross鉱床)

ロシアやアフリカで金鉱山を操業するNordgold社のTabornoe鉱床を紹介します。この鉱床は現在Neryungri鉱山として開発されています。サハ共和国第2位の都市で炭鉱街があるネリュングリNeryungri(人口約6万)が位置するNeryungri地方に鉱山があることからNeryungri鉱山と呼ばれています。
Nordgold社は2007年にTabornoe鉱床を含む鉱山の権益を、現在も露天掘りで操業を続けています。バム鉄道のIkabya駅より125q北東に位置しています。

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図.Neryungri鉱山(Tabornoe鉱床)位置図(Nordgold,2016a)

この鉱床ではオープンピット採掘、ヒープリーチングにより金を生産しています。しかしながら冬の寒さが大変厳しく、冬のリーチング操業では浸出液が凍結するため困難です。そのため金の大部分は夏〜秋に生産されています。
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図.Neryungri鉱山Tabornoe鉱床オープンピット(Nordgold,2016b)

2015年は4.211Mt@0.69g/tAuの鉱石が処理されてました。2015年の金生産量は84.1kozでした。
2015年12月末時点の可採鉱量(Proven&Probable)は32.6Mt@0.73g/tです。
2016年からは周辺の衛星鉱体であるTrench7とTyomnyの開発も始まります。
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図.Tabornoe鉱床の衛星鉱体と2016年試錐計画(Nordgold,2016c)

またNordgold社はNeryungri鉱山より5km東にあるGross鉱床の開発も行っています。可採鉱量は370.43Mt@0.73g/tAuが計上されています。2016年より開発を進め、2年以内に生産を開始する予定です。マインライフは17年が予定されています。
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図.Gross鉱床試錐現場(Nordgold,2016a)

引用文献
Nordgold(2016a):Nordgold: Exploring for Resource Growth. Howard Golden, Exploration Director / NORD LI (LSE). PDAC Presentation. March, 2016.p18.
Nordgold(2016b):2015 Integrated Report.p329.
Nordgold(2016c):Nordgold: Exploring for Resource Growth Howard Golden, Exploration Director. Presentation. April 14, 2016.p35.
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2016年06月09日

ロシアのモリブデン生産量は世界何位?

地下資源の産出量国別ランキングは、今回、レアメタルの一つであるモリブデン(元素記号Mo)を紹介します。
モリブデンは二硫化モリブデンが潤滑油やエンジンオイルの添加剤に用いられることがありますが、メインの用途は各種合金鋼の添加元素に利用され、硬化を高めるために使用されます。
それではアメリカ地質調査所のデータから、2014年のモリブデン産出量を見てみましょう。
モリブデン生産量ランキング表.pngモリブデン生産量ランキング図.png

モリブデン生産量第一位は中国でした。次にアメリカ、チリ、ペルーと続き、ロシアは世界第8位の4,800トン(世界シェア2%)の生産量でした。
モリブデンの鉱物はいろいろがありますが、モリブデンの資源としては重要なのは輝水鉛鉱Molybdeniteです。モリブデンの鉱山には主に2種類あります。輝水鉛鉱を主体とするプライマリーMo鉱山と、斑岩銅鉱床で銅精鉱の副産物として回収されるバイプロダクトMo鉱山の2種類です。
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図.2011年の主要Mo操業鉱山(中山、2013)

モリブデン生産量第1位の中国は90%以上がプライマリーMo鉱山です。第2位のアメリカは両方あります。第3位のチリ、第4位のペルーはほとんどがバイプロダクトMo鉱山です。

世界第8位のロシアでは主要なMo鉱山は、2つのプライマリーMo鉱山があります。上図の36番のSorsky鉱山、37番のZhireken鉱山です。いずれの鉱山もSRK社というロシアのモリブデン生産会社により、オーピンピットにて採掘が続けられている鉱山です。

Sorsky鉱床は1937年に発見され、1950年より採掘がはじまりました。現在の年間採掘量はおよそ10Mtです。
Zhireken鉱床は1958年に発見され、1961-66年に一時採掘されました。1988年以降採掘が再開され、現在の年間採掘量はおよそ4Mtです。

ロシアのモリブデン生産量は世界何位?
(答え)2014年は世界第8位。ロシアの主要モリブデン鉱山はSorsky鉱山、Zhireken鉱山の2つ(プライマリーMo鉱山)。

引用文献
USGS(2016):Mineral Commodity Summaries 2016 MOLYBDENUM.
中山健(2013):モリブデン、タングステンおよびバナジウム 資源の存在状況と探査・生産動向.平成24年度(第10回)金属資源関連成果発表会.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構.平成25年3月.頁29.
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2016年06月07日

サハ共和国の金鉱床(Kuranakh鉱床)

Kuranakh鉱床はPolyus Gold International 社が露天掘りで操業を続ける金鉱山で、2015年は144.7KozAuの生産がありました。Kuranakh鉱床の位置を示します。
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図.Kuranakh 鉱床位置図(Polyus Gold International 社Website)

鉱床は11もの鉱体からなり、これらの鉱体はジュラ紀の砂岩などの堆積岩中に胚胎しています。
鉱体は伸長したレンズ状の形状をなしており、その厚さは1mから数十mです。
金粒は細粒で概して直径3μm以下であり、黄鉄鉱と共生しているそうです。

鉱山は40 年にわたって操業が続けられ、これまでおよそ75Mt が採掘されました。
2015年の鉱石採掘量は3.996Mt@1.31g/Auでした。

Kuranakhピット.png

Kuranakh採掘.png
図.Kuranakh 鉱床のオープンピット(Polyus Gold International 社Website)

Polyus Gold International 社のWebsiteによるとKuranakh 鉱床の2015年12月末時点可採鉱量(Proven and Probable)は53.9Mt@1.38g/tAuです。
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2016年06月06日

サハ共和国の金鉱床(概要)

極東ロシアの金鉱床の紹介は、いよいよ極東最大の面積を持つサハ共和国を説明します。サハ共和国は面積は310万km2で、アルゼンチンの国土の広さを上回ります。人口は約95万人。
州都はヤクーツク(人口約22万)です。
サハ共和国位置図.jpg
図.サハ共和国位置図

サハ共和国には石油、天然ガス、石炭、金、銀、ダイヤモンドなど非常に多様かつ豊富な地下資源があります。特に、ロシア全土で産出するダイヤモンドの99%がサハ共和国産です。ロシアは世界第1位のダイヤモンド生産量を誇ります。

サハ共和国の産業は、鉱業の他、木材産業、木材加工業があります。
ヤクーツクまで鉄道を延長する計画があるものの、実現には至っていません。
アムール州からヤクーツクまでは幹線道路があります。しかしヤクーツクからマガダンに至るコイルマ道は幹線道路といえどもほとんどが未舗装です。道路の舗装率は約8%です。

サハ共和国の地質の大部分はシベリアクラトンであり、地質的には極東よりもシベリアの一部であると言えます。原生代の火成岩体はサハ共和国の南側に認められます。ジュラ紀から白亜紀にかけてのYasachnaya River火山深成岩帯はマガダン州からサハ共和国の南東部まで続きます。
ロシア地質調査研究所VSEGEIのAu-Ag鉱産図によると、金鉱床はサハ共和国の東側および南側に多く分布しています。
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図.サハ共和国のAu-Ag鉱産図(VSEGEI)

サハ共和国ではダイヤモンド鉱床の他、金-銀鉱床、錫-タングステン鉱床、ウラン鉱床などがあり、稼働している鉱山も多いです。
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2016年06月04日

ロシアでは新婚カップルは合理化?を迫られる?

チュクチ自治管区の金鉱床の紹介が終わったのでここで休憩。

ロシアでは新婚カップルは合理化?を迫られるというお話。
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ロシアでは、新婚カップルに対して友人達がみんなでゴーリカ!ゴーリカ!Горька!Горька!と囃し立てます。ゴーリカГорькаとはロシア語で苦いという意味です。"苦いから甘いキスを見せてくれよ"つまり新婚の二人に対してキスしてと盛り上げているのです。

日本人の私には合理化!合理化!とカップルに対してスローガンを言っているように聞こえます。別々に暮らしていた二人が一緒に生活するのですから、生活費は合理化されますよね?
タグ:ロシア
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2016年06月03日

チュクチ自治管区の金鉱床(まとめ)

チュクチ自治管区は、日本の約2倍の面積がありながら、人口はわずか5万人足らずの地域です。そしてソビエト連邦崩壊以降、過疎化が著しい地区でもあります。
過酷な自然環境(限られた探鉱シーズン)、乏しいインフラ、そして鉱山を稼働させるに至っては、地域の労働力不足がネックとなります。
Kinross のKupol 鉱山では約1,000 人の労働力を地元で確保するのに苦労したそうです。

チュクチ自治管区では優良な金の鉱床が多いのが特徴であり、開発中・稼働中の案件も多いです。低硫化型の鉱脈型鉱床として代表的なものはKupol鉱床があります。
Kupol鉱床は現在坑内掘りで開発中で、その産金量は極東ロシア最大です。

金を伴う斑岩型銅-モリブデン鉱床としては極東ロシア最大のPeschanka鉱床があります。Peschanka鉱床が発見されたのは1960年代ですが、これまで開発には至っていません。ゆっくりですが探鉱が進められ、開発に向けて進んでいます。
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2016年05月28日

チュクチ自治管区の金鉱床(Kupol鉱床)

Kupol鉱床はKinross社が100%権益を有する坑内掘り操業中の鉱脈型金銀鉱床です。
チュクチ自治管区のフラッグシップ的な鉱山であり、極東ロシアで最大級の産金量を誇る鉱山を、説明していきます。

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図. Kupol 鉱山設備外観(Kinross 社Website)

1)位置及びアクセス
チュクチ自治管区第2 の都市、Bilibino市(人口5,000 人)より南に約300 qのウインターロードでサイトに到着可能です。夏季でも川を渡ることが出来る特殊車両ならばアクセスが可能です。
サイトには飛行場が整備され、夏季はヘリまたはセスナ機にて、Magadanから約2.5 時間、Bilibinoから1 時間で到達可能です。
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図. Kupol鉱床位置図(Henderson,2011)

2)気候
Kupol鉱山は北緯66°47′に位置しており、北極圏に位置している鉱山です。
気候は厳しい冬季が8〜8.5 ヵ月続き、夏は短い。年間の平均気温は-13℃であり、気温変動は-58℃〜33℃です。日平均気温が0℃を超える日は年間50 日にも満たなく、9 月上旬には氷点下となります。
そのため9月中旬から降雪が記録されます。根雪はおよそ237 日間存在しますが、その厚さは平均38〜45cm です。年間を通じて、強風が吹くことが多いです。

3)沿革
1966 年:ソビエト政府による20 万地質図作成の際に石英脈が発見される。
1995 年:政府主導の本格的探鉱プログラム開始。沢砂地化探開始。
1996〜1998 年:マッピング、物理探査(磁力、比抵抗)、トレンチ調査(4 本)、試錐(2孔)。
1999 年:地元のMetall 社がKupol を含むライセンスの入札で、権益を獲得。
2001 年:トレンチ(31本)、試錐(26孔)、石英脈の詳細マッピング
2002 年:Bema社が権益の75%を獲得し、プロジェクトに参入。
2003 年〜:探鉱を継続、土壌地化探(7.8q2)、Infill試錐を実施。
2005 年:鉱量計算およびF/S が完了。
2006 年5 月:建設開始。
2007 年2 月:Kinross 社がBema 社を買収。
2008 年5 月:生産開始
2011 年4 月:Kinross 社が残りの権益25%を地元企業から購入し、権益100%となる。

4)地質概要
鉱床は白亜紀のオホーツク-チュコートベルトに位置しており、母岩は東側に緩く傾斜した安山岩〜玄武岩質安山岩溶岩および火山砕屑物です。
Kupol鉱床は低硫化型の浅熱水性Au-Ag鉱脈であり、鉱脈の走向は南北方向です。
金銀は銀黒部に富んでいる特徴があります。
鉱化帯は南から、South Extension、South、Big Bend、Central、North、North Extention の6 つに分かれており、その延長は南北合計3.9qに及びます。
その内、Big Bendが最も品位が高く、ボナンザとなっています。

5)岩相
Kupol鉱床の胚胎母岩は主に安山岩質の組成を持つ溶岩流や砕屑物からなります。安山岩質溶岩流は連続性がある塊状のユニットで、1〜4 oの自形長石斑晶が40〜60%を占め、斜方輝石、黒雲母を含みます。
安山岩質砕屑物は、火山灰質凝灰岩や火山礫凝灰岩などであり、層厚は概して5〜20mです。
流紋岩質ダイクは上述の岩相を貫く非顕晶質岩なダイクであり、流動縞状構造が認められることもあります。ダイクの走向はN〜NE で、傾斜はほぼ垂直に近く、その厚さは最大70mに達します。

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図. Kupol鉱床地質平面図(Henderson,2011)

6)鉱脈
鉱脈は南北走向を持ち、傾斜は東に75〜90°です。脈の内部には角礫化が認められます。硫化物に富む(2〜7%)脈はボナンザとなっていて、銀硫塩鉱物が濃集した“銀黒”が認められます。
また櫛歯状の石英(アメジスト)や葉片状方解石を置換した石英なども認められています。
石英脈についてログの記載などに基づき、以下の産状が報告されています。
@塊状鉱脈
塊状からザラメ状の細粒石英からなる脈であり、概して炭酸塩に富む低温の後期ステージの産物。脈の中心部には櫛歯状のアメジストが認められることがある。
Aコロフォーム状〜累被状鉱脈
石英+硫化物/硫塩鉱物からなる銀黒と細粒石英とのリズミカルなバンドが発達する。コッケイド(輪状)構造、格子構造も認められる。
B角礫脈
角礫した石英脈からなり、基質には岩粉、硫化物、硫化物に富む石英などの異なる角礫タイプがある。
Cストックワーク状
主要鉱脈の上盤側および下盤側に発達しており、切り合い関係が認められる細脈の幅は10cm 以下である。一方、ストックワークに似るが、切り合い関係が認められない細脈群はシート状鉱条と呼ばれている。Kupol 鉱山では石英脈が10vol%以上占める産状をストックワーク/シート状鉱条と呼んでおり、その幅は最大55mに達する。

鉱化の中心であるBig Bend Zoneでは、鉱脈の走向は575mであり、北端は流紋岩質ダイク、南端は断層によって切られています。
脈幅は1〜22mで平均は4.85mです。
低品位のストックワーク/シート状鉱条を含めると幅は30mに達します。ただし鉱脈は中山を含むことがあります。
Big Bend Zone 91277 N の地質断面図.jpg
図.Big Bend Zone 91277 N の地質断面図(Henderson,2011)

7)変質
鉱床の変質は広域にはプロピライト変質であり、鉱床中心部に近づくにつれ、珪化、粘土化、ポタシック変質が強くなります。
特に鉱床の浅部では粘土化変質が卓越します。
プロピライト変質は緑泥石-方解石+セリサイト+黄鉄鉱+緑簾石からなり、鉱脈から400m以内の母岩で認められ、特に上盤側で発達しています。
粘土化変質は裂罅充填の炭酸塩鉱物と鉱染状黄鉄鉱を随伴し、特に凝灰岩質母岩で発達しています。
また鉱床北側では高度粘土化変質が認められます。
南側では硫酸塩鉱物に富んだ粘土変質が認められ、スメクタイト-カオリナイトが卓越しています。
珪化変質は概して弱いですが、ヴァギーシリカが認められることもあります。
脈際では珪化、氷長石、珪化変質が上盤側/下盤側の火山岩類に認められ、珪化は局所的に脈から40mに達することもあります。
地表付近では珪化-氷長石化(ポタシック変質)が卓越するようになります。

8)鉱化
Au-Ag品位は地表下250〜350mが最も品位が高いことが判明しています。
最も深い試錐でも銀黒は認められており、深部はOpenとされています。
地表での各ステージの切り合い関係から、本鉱床のステージは5つのステージに分かれています。
StageT:銀黒を含むコロフォーム状・累被構造状石英-氷長石
StageU:暗色の石英フラグメント、硫塩鉱物に富む基質を持つ石英-硫塩鉱物角礫
StageV:クリーム色〜黄色を呈する塊状石英±鉄明礬石からなる石英-鉄明礬石角礫
StageW:鉱脈の中心部に向かって最大4mに達するバンドを構成する塊状白色石英
StageX:晶洞を充填する櫛歯状のアメジスト

このうちAu-Ag品位が高いのはStageTとUです。
主要Au-Ag鉱石鉱物は、エレクトラム、含銀四面銅鉱、針銀鉱、ステファン鉱、濃紅銀鉱であり、若干ですがナウマン鉱も認められます。
他の鉱物として、黄鉄鉱、白鉄鉱、黄銅鉱、硫砒鉄鉱、閃亜鉛鉱、方鉛鉱、安四面銅鉱が産します。
ビジブルゴールドがしばしば確認されますが、そのサイズは3oを超えることはありません。
カオリナイト、イライト、スメクタイト、モンモリロナイトが主要な粘土鉱物であり、鉱床の上部では鉄明礬石、石膏を伴います。
地表下25〜40mまでは鉱石は酸化しており、割れ目沿いでは最大地下300mまで酸化が認められます。
酸化帯では硫砒鉄鉱の2 次鉱物としてスコロド石が認められることがあります。
流体包有物の均質化温度は160〜260℃を示します。鉱石中のAu:Ag 比は1:12となっています。

9)鉱量
2008年5月の生産開始から2014年までの7年間で8.13Mt@15.2g/tAu,190g/tAgの鉱石が採掘されました。
2014年12月末時点の可採鉱量(Proven&Probable)は7.62Mt@8.53g/tAu,110g/tAgとなっています(Sims,2015)。

10)衛星鉱体の探鉱
Kupol鉱床の周辺にも、複数の含金石英脈の存在が知られていて、Kinross社はこれまでマッピング、土壌地化探や試錐探鉱などの探鉱を積極的に推進してきました。特にKupol鉱床から東に4kmにあるMoroshka鉱床で大きな成果があり、2015年にPre-F/Sが完了しました。Moroshka鉱床では2016年も探鉱を継続し、2018年ごろの採掘開始が計画されています。

引用文献
Henderson R.D.(2011):Kupol Mine, Russian Federation, NI 43-101 Technical Report.,
Prepeard for Kinross Gold Corporation Report, p147.
Sims J.(2015):Kupol Mine,and Dvoinoye Mine Russian Federation National Instrument 43-101 Technical Report.Prepeard for Kinross Gold Corporation Report, p146.
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チュクチ自治管区の金鉱床(Klen鉱床)

Klen鉱床はチュクチ自治管区第2の都市Bilibinoより南西250kmに位置する金鉱床です。
Klen鉱床位置図.png
図.Klen 鉱床の位置図(Highland Gold Mining 社Website)

鉱床はNWトレンドを持った数百m〜1300mに達する炭酸塩鉱物-石英脈からなります。
鉱脈は鉱染状の黄鉄鉱、黄銅鉱、硫砒鉄鉱、自然金、輝銀鉱、銀四面銅鉱を含みます。
母岩の白亜紀の火山岩にはプロピライト化、珪化、セリサイト化が認められます。

Highland Gold Miningが2012年に本鉱床の権益を獲得しました。
埋蔵鉱量(Indicated+Inferred)は3.87Mt@5.04g/tAu,12.92g/tAg となっています。

表.Klen 鉱床の鉱量(Highland Gold Mining 社Website)
Klen鉱床の埋蔵鉱量.png

Highland Gold Miningはオープンピットによる開発を検討しています。
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2016年05月27日

チュクチ自治管区の金鉱床(Vesenny鉱床)

Vesenny鉱床はPeschanka鉱床より南南東約12 qに位置する浅熱水性金銀鉱床です。
この地区はかつてBaim川の砂金が着目された場所です。1965年の春に村が設立され、ロシア語で“春”を意味するVesenny村と名づけられました。
その後、山金が発見され、村には鉱山労働者などが集まり、村には学校や病院、ホテル、銀行なども造られました。
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図.1982年のVesenny村(Wikipedia)

Vesenny鉱床は炭酸塩鉱物-石英脈、変質した細脈、鉱化を受けた角礫岩からなります。
鉱脈はNE およびE-W トレンドの裂罅に規制されていて、それぞれの鉱体は延長150〜500mです。鉱床の母岩はプロピライト変質を受けたジュラ紀後期の粗面安山岩とそれを貫くジュラ紀後期から白亜紀後期にかけてのダイクです。

脈石鉱物は石英、方解石、菱マンガン鉱であり、氷長石、苦灰石、天青石、石膏を伴います。
鉱石鉱物は閃亜鉛鉱、方鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱、四面銅鉱、車骨鉱、エレクトラムでであり、少量の銀硫塩鉱物、黄錫鉱、マチルダ鉱を伴います。
Vesenny鉱床は中規模とされ、品位は3.6g/tAu、35g/tAg となっていました(Volkov et al.,2006)。

表.Baim(Baimsky) 地区の鉱床の平均品位(Volkov et al.,2006) .
Baim地区の鉱床の平均品位.png

しかし、1998年に鉱山は閉山となりVesenny村も廃村になりました。
現在は、Millhouse Capitalという投資会社の現地子会社GDK Baimskayaがこの地区の2033年までの探鉱ライセンスを所有しています。

引用文献
Volkov A.V., Savva N.E., Sidorov A.A., Egorov V.N., Sharavalov V.S., Prokofev V.Y., and Kolova E.E.(2006): Spatial distribution and formation conditions of Au-bearing porphyry Cu-Mo deposits in the Northeast of Russia., Geology of Ore Deposits, Volume 48, Number 6, 448-472.
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2016年05月25日

チュクチ自治管区の銅・金鉱床(Peschanka鉱床)

Peschanka鉱床はチュクチ自治管区第二の都市Bilibino 市(人口約5 千人)より南西約250km に位置する銅と金を含む斑岩型鉱床であり、極東ロシア最大の斑岩型鉱床であるとされています。
Peschanka鉱床の鉱石は銅を主体であり、金品位は平均0.32g/tAu と低品位です。
この鉱床は未開発ですが、鉱床規模が大きく、仮に開発されることになれば、産金量はチュクチ自治管区有数の規模となるでしょう。

Peschanka鉱床の発見は1960 年後半であり、その発見意義は、斑岩型銅鉱床のポテンシャルが、それまで銅は不毛と考えられていたロシア極東まで広がった重要な発見であったとされています(Kotlyar、1996)。
鉱床発見の手掛かりとなった土壌サンプリングでは、Cuの地化学アノマリーはバックグラウンド>50ppmCuに対し70〜120ppmCuと低く、他の一般的なポーフィリーと異なりアノマリー値はとても小さい特徴があります。この低いアノマリーの要因として、永久凍土における銅の溶脱などが指摘されています。

Peschanka鉱床では南北に伸長した白亜紀前期の石英モンゾ閃緑岩や花崗閃緑岩ポーフィリーがジュラ紀後期~白亜紀前期の花崗閃緑岩を主体とする母岩を貫いています。
Peschanka 鉱床およびVesennee 鉱床地質図.png
図.Peschanka鉱床の地質図(Noklerberg et al.,2005)

主にCu-Mo 鉱物を伴う硫化物細脈と鉱染が貫入岩側および母岩側に認められます。
変質は典型的なポーフィリーの変質であり、中心部にポタシック変質、フィリック変質が認められ、その外側にはプロピリティックなハロが広がります。ポタシック変質の変質年代は136Ma とされます(Nikolaev et al.,2012)。

鉱石鉱物組み合わせは
(1)フィリック変質を伴う輝水鉛鉱
(2)石英-セリサイト-緑泥石変質を伴う黄鉄鉱, 黄銅鉱
(3)石英-セリサイト変質・黒雲母変質を伴う黄銅鉱, 斑銅鉱, 四面銅鉱
(4)あらゆる変質タイプに伴われる硫化
の4 タイプがあります。

Zvezdov et al.(1993)の報告によると、鉱床の中心部は角礫が分布し、鉱化したモンゾナイトおよび石英モンゾナイトポーフィリーのフラグメントを含み、不毛石英によってセメントされています。
2次富化帯の厚さは数十mを超えません。
Peschanka 鉱床の地質断面図.png
図.Peschanka鉱床の地質断面図(Zvezdov et al.,1993)


鉱量は長らく940Mt@0.51%Cu,0.42g/tAu とされてましたが、深度700mまで試錐探鉱された結果、1,350Mt@0.61%Cu,0.32g/tAu(埋蔵金量432tAu)まで鉱量が増えています(Mining Journal ,2012)。

Peschanka鉱床の所有者は、Millhouse Capitalという投資会社です。
この投資会社はロシアの石油王であり超資産家でもあるロマン・アブラモヴィッチ氏の投資会社です。
同氏は前チュクチ自治管区知事でもあり、イングランドのサッカークラブのチェルシーのオーナーです。
現地子会社であるGDK Baimskaya は、2008 年の競売で本地区の25 年間のライセンスを10.78 億ルーブル(約26 億円)で獲得し、2010 年に約31,000mの試錐キャンペーンを行いました。
2008 年以来、内容は明らかになっていませんが100MUSD を投資したとされます。
Peschanka探鉱キャンプ.png
図.2010 年のPeschanka探鉱現場キャンプの様子(Google Earth, Panoramio より)

新聞報道等ではPeschanka鉱床や周辺鉱床などがあるBaimskaya地区では、GDK BaimskayaのAsset は銅量27Mt、金量1,600tもあるとされています。
2012 年初頭にはロシア最大の金生産会社であるPolyus Gold International が総額500MUSD でのオファーをしましたが、Millhouse は金額が十分ではないとして断っています。
2012 年6 月29 日の現地報道では、ロマン・アブラモヴィッチ氏は取材に対しBHPBilliton 社と交渉中であることを認めましたが、結局はこの話は流れてしまいました。
2016年5月の報道によれば、ロシア最大の産銅会社Norilsk Nickelが、アブラモヴィッチ氏が権益を持つBaimskaya地区の探鉱に参加することに興味を示しています。

引用文献
Kotlyar, B.B.(1996):Geochemical Exploration in the Former Soviet Union., Explore.,vol91,p1-10. April, 1996.
Noklerberg et al.(2005): Metallogenesis and Tectonics of the Russian Far East, Alaska, and the Canadian Cordillera. U.S. Geological Survey., Professional Paper 1697.
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posted by 日露資源ポテンシャル研究所 at 10:24| Comment(1) | チュクチ自治管区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする